2010年02月07日
武者小路実篤『友情』 (新潮文庫)

「友情」の主人公・野島がそうであったように、これを書いた武者小路実篤も、とことん苦しみながら正直に生きようとする前向きな人だったのではないでしょうか?実際に、親友だった作家の志賀直哉も「実篤には自分にない日向性があり、慰められ、勇気づけられる不思議な力がある。」と言っています。40歳の頃から絵筆をとり、野菜の絵に「仲よき事は美しき哉」などの言葉を添えた作品でも知られる武者小路実篤。そこにもポジティブパワーがあふれています。83歳の時に綴ったのは「この道より我を生かす道なしこの道を歩く」という力強い言葉でした。その7年後の1976年、武者小路実篤は90歳で亡くなっています。

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