2010年01月31日
大江健三郎『死者の奢り』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

大江健三郎さんの「死者の奢り」。この小説の主人公「僕」は、文学部に通う大学生。彼は、校内で募集している「あるアルバイト」をすることになります。それは医学部で解剖のために使う死体を処理する仕事。彼が地下への暗い階段を下りていくと、そこにはアルコールに浸かった沢山の死者たちが待っていたのです。小川洋子さんがこの小説を読んだのは大学1年。その時はじめて、死んでいる人と生きている人との関わりについて考えたそうです。10代で読んだ作品を大人になってあらためて読むのもいいもの。若い頃、「死者の奢り」を読まれた方は、その頃と感じ方が違う自分自身を発見できるかもしれません。

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