2010年01月10日
高野悦子『二十歳の原点』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

学生運動の嵐が吹き荒れていた1969年。この年の6月24日、京都の立命館大学に通う高野悦子さんが二十歳という若さで自ら命を絶ちました。亡くなったあと下宿から見つかったのは、大学ノートに綴られた日記。それをお父様がまとめられ同人誌に掲載。1971年には、新潮社から「二十歳の原点」として出版されベストセラーになりました。この日記は1月2日、高野悦子さんの二十歳の誕生日からはじまります。そこに綴られているこんな言葉。「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である。」その半年後に亡くなるとは思えないほど、高い理想にあふれた書き出し。未熟な自分をごまかさず、しっかりと向き合う気持ちが伝わってきます。

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