2009年12月06日
開高健『輝ける闇』 (新潮文庫)

開高健さんというと、釣りや世界を旅したルポルタージュでも知られています。実は開高健さんが釣りをはじめたのも、「輝ける闇」がきっかけだったとか。この小説を書くために2年間ぐらい家にこもり、歩かない生活をしていたため、これではいかんということで釣りに行くようになったそうです。その後、開高健さんにとって釣りは人生の大切な一部になっていきます。原稿用紙に向かってばかりいると、言葉のボリュームや質、臭い、味もわからなくなってしまうとか。そのことは生前のこんな言葉でも伝わってきます。「原稿用紙の上で、すべてが分解してしまう。これじゃ、私は自殺するしかないんで、それで、魚釣りに出かけるわけね。」

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