2009年12月06日
開高健『輝ける闇』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今年は開高健さんの没後20年。12月9日の命日を前に、代表作のひとつ「輝ける闇」を取り上げました。1958年に「裸の王様」で芥川賞を受賞した開高健さん。60年代には、朝日新聞社の臨時海外特派員としてベトナム戦争を取材。その体験をもとに書き上げたのが「輝ける闇」です。この小説を読んで小川洋子さんは「政治的な言葉で語れないものが文学にはある。」と感じられたとか。開高健さんご自身も生前こんな言葉を残されています。「発表当時、私が文学で書いていることを、政治で批評されたのが不満でならないのです。何も知らない若い世代に、白紙の心で読まれたいもの。そして素直な意見を聞きたいものと思っています。」

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