2009年11月22日
三島由紀夫『金閣寺』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今から39年前の11月25日、衝撃的な形でこの世を去った三島由紀夫。その命日を前に代表作のひとつ「金閣寺」を取り上げてみました。日本海に突き出たうらさびしい岬に建つ寺の息子として生まれた主人公。彼は、青年になると京都の金閣寺に預けられ、そこで修行の日々を送るようになっていきます。やがて美しい金閣寺にひかれると同時に、拒まれているとの想いを抱き、その悩みの果てに火を放つ決意をするのです。実際におこった「金閣寺放火事件」を題材にして完成させた小説。主人公が放火に至るまでの出来事や心情がこまやかに描かれています。これを書いた時、三島由紀夫は31歳だったとか。あらためてその凄さを感じる作品です。

...続きを読む