2009年11月15日
宮本輝『骸骨ビルの庭』 (講談社)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今年6月に刊行された宮本輝さんの「骸骨ビルの庭」。この小説の主人公は、ヤギショウこと八木沢省三郎。彼は、25年間勤めた家電メーカーを早期退職し、不動産関連会社に再就職します。その赴任先が大阪の十三にある「骸骨ビル」と呼ばれる建物。ヤギショウの職務は、その「骸骨ビル」の住人たちを立ち退かせることにありました。しかし自らそこに暮らし、住人たちと接する中で、彼らとの絆が生まれ、そして住人たちの人生の軌跡を知っていくのです。「人はなぜ生きていくのか。それを物語の形で伝えてくれている作品。」と小川洋子さん。読みすすめていく中で、読者は、様々なことを感じ取れる小説です。

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