2009年11月08日
『アポリネール詩集』 (新潮文庫)

日本にアポリネールの詩を伝えたのは、詩人でフランス文学者の堀口大学です。実は彼がアポリネールの存在を知るようになったのも、なんとマリー・ローランサンだったとか。第一次世界大戦の最中、戦禍を逃れてマドリッドにいた時のこと。ローランサンもまた結婚したドイツ人画家とこの町に亡命していました。そこで二人は意気投合し、堀口大学は、ローランサンから絵の手ほどきを受け、また素晴らしい詩人の存在も教えられました。それがかつての恋人であり、当時、前衛的な詩人だったアポリネール。つまりローランサンは、詩「ミラボー橋」が生まれるきっかけになっただけでなく、日本における「フランス詩」の歴史を変えた人物とも言えるのです。

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