2009年11月08日
『アポリネール詩集』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

シャンソンの名曲にもなっている「ミラボー橋」。この詩の作者は、19世紀の終わりにローマで生まれ、20世紀のはじめにパリで活躍した詩人「アポリネール」です。彼がこの詩を書いたのは、ある大きな恋がきっかけでした。アポリネールは、当時、交流のあったピカソの個展会場で、まだ画学生だった頃のマリー・ローランサンに出会い、恋に落ちてしまいます。ところが二人の恋は長くは続きませんでした。「ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ われらの恋が流れる」と綴ったアポリネール。二人の気持ちがまだ寄り添っていた頃、アポリネールが、彼女に会いに行くために毎日渡ったのが「ミラボー橋」だったのです。

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