2009年09月27日
星野道夫『旅をする木』 (文藝春秋)

小川洋子さんが「旅をする木」を読むきっかけは、星野道夫さんと共通の編集者の方がいたから。そしてはじめて読んだ時「なんて素直な文章なのか」と感じたそうです。そこには自然に対する敬意があり、そして「目の前にある自然のほうが圧倒的だ」ということがわかっているエッセイ。写真家として大自然に向き合ってきた星野道夫さんだからこそ表現できる世界です。しかし残念なのは、この先、星野さんのあらたな言葉や写真に触れることができないこと。「旅をする木」を出版されたその1年後の1996年の夏、ロシアのカムチャツカ半島の取材に行かれて、ヒグマの事故にあい、43歳という若さで亡くなられています。

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