2009年05月24日
イプセン『人形の家』 (岩波文庫 ほか)

「人形の家」が発表されて130年。今でも世界各国で上演され、日本でも去年は宮沢りえさん主演の舞台が話題になりました。時代を越えてこの戯曲が受け継がれているのは何故なのか。翻訳された原千代海さんはこんなふうに書かれています。「イプセンがこの戯曲で示したのは、何よりも自分自身が何者なのか、まずそれを確かめるのが人間の義務であり、そういう人間になるべきだ、ということだと言ってよかろう。」「自分が何者なのか」という問いかけは確かに時代や国を越えたテーマです。小川洋子さんもこの戯曲を読んで「制度は変わっても人間の心は変わらない。」と話されています。時代を越えて生き残る文学は、自分を見つめるという普遍性を持った作品なのかもしれません。

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