2009年04月19日
角田光代『対岸の彼女』 (文春文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2005年の直木賞受賞作、角田光代さんの「対岸の彼女」。主人公は二人の女性です。田村小夜子は5年前、寿退社して以来、子育てをしながら家にこもる毎日。3年前に生まれた娘あかりの公園デビューにもつまずき、人と交わることに自信をなくしています。一方、楢橋葵は、自分の会社をたちあげて活発で陽気な性格。物語は、小夜子が一念発起して働きに出ようと決心するところからはじまります。そして会社の面接に出かけ、社長の葵と出会うのです。性格も考え方も対照的に見える小夜子と葵。はじめは対岸にいる二人のように感じますが、しかし読み進めていくと二人の川がつながっていることがわかってきます。

...続きを読む