2009年03月29日
遠藤周作『海と毒薬』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

第二次世界大戦の末期、実際に起こった恐るべき事件を題材にしている「海と毒薬」。その事件とは、九州のある大学付属病院でアメリカ軍の捕虜を生体解剖したというもの。遠藤周作さんは、この事件に触発されフィクションとして作りあげたのが「海と毒薬」です。生体解剖に参加することになってしまった医学生や看護師の心の内側に小説を通して迫っていきます。「自分がその時代の同じ立場にいたら、どうしていただろうか。」この小説を読んでいる間、常に頭から離れないのはこの疑問。遠藤周作さんは読者ひとりひとりに問いかけながら、「日本人とはいかなる人間なのか」ということを描いていきます。

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