2009年03月22日
チェーホフ『桜の園』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

桜の季節に選んだ1冊「桜の園」。ロシアを代表する劇作家アントン・チェーホフが1903年に書きあげた戯曲です。舞台は、農奴解放後となる帝政ロシア「ロマノフ王朝」の末期。主人公は南ロシアの地主であるラネーフスカヤ夫人とその家族です。物語はこの夫人が、5年ぶりに自分の領地「桜の園」に帰ってきたところからはじまります。彼女は夫の死後、パリで暮らしていましたが、外国生活の疲れと経済的な行き詰まりのため帰国。しかし「桜の園」もすでに借金の抵当に入っていました。そこに現れたのが、かつては農奴の息子で、今は裕福な商人となったロパーヒン。彼は「桜の園」を別荘地として売り出すことをすすめるのです。

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