2008年11月30日
宇野千代『おはん』

11月28日は宇野千代さんの誕生日。明治30年、山口県の岩国で生まれ、亡くなるまでの98年間、作品だけでなく、生き方そのものが注目される存在でした。尾崎士郎や北原武夫、東郷青児との恋多き女性。また桜の花びらが印象的な着物デザイナー。しかしやはり宇野千代さんが最も大切にしていたのは「小説を書く」ということ。その想いは「おはん」の中にも感じられます。文庫本にして112ページとそれほど長くない小説なのに、かけた歳月は10年。だからこそ自ら「よい出来上がり」と納得する作品が完成したのです。宇野千代さんの文学に対する想いはこんな言葉にも表れています。「文学の仕事は、自分の心の底に秘めた本当の仕事である。」

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