2008年10月26日
吉本ばなな『キッチン』

発表された当時、今までにない新しい文学として注目された吉本ばななさんの「キッチン」。21年ぶりにあらためて読んでみると、作品の持つ輝きは少しも消えていないことに驚きます。それはこの小説に普遍的なものがあるから。そしてどんな時代に読んでも、希望を与えてくれる作品だからです。主人公のみかげをはじめ、登場人物は誰もが人の死を乗り越えて健全に生きています。その前向きな姿勢が、読む人の心にも勇気を与えるのです。当時、吉本ばななさんはこんな言葉を綴っています。「克服と成長は個人の魂の記録であり、希望や可能性のすべてだと私は思っています。」ばななさんのこの言葉は、小説「キッチン」に生き続けているのです。

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