2008年10月26日
吉本ばなな『キッチン』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。」という文章からはじまる「キッチン」。1987年に発表され、海燕新人文学賞にも輝いた吉本ばななさんのデビュー作です。この物語の主人公・桜井みかげは、唯一の肉親である祖母を亡くし天涯孤独に。しかし祖母と暮らしていたその家に、田辺雄一という人物が訪ねてくるのです。その青年は、祖母が生前、親しくしていた花屋さんのアルバイト。それをきっかけに、みかげは、雄一の家に居候することに。そして雄一の母えり子と3人の同居がはじまります。しかし女性だと思っていたえり子が実は男性で、なんと雄一の父親だったということがわかるのです。

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