心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
彫刻家で詩人でもある高村光太郎。彼が、妻・智恵子とのつながりの中で生み出した詩や散文をまとめ、智恵子の死後3年となる昭和16年に刊行したのが「智恵子抄」。この1冊には二人の強い結びつき。やがて精神に異常をきたしていく智恵子の様子。さらに死。高村光太郎の心を通した智恵子の姿や想いが刻まれています。「ただ自分の思っていることをあらわすにすぎない。」という言葉どおり、光太郎の詩はとてもストレート。だからこそ読む人の心にも強く響いてくるのです。小川洋子さんが好きな1篇は「人類の泉」という詩。光太郎の湧き出る想いが言葉となり、その言葉が壮大な世界を形成しているような作品です。
...続きを読む |