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『蟹工船』小林多喜二 |
「蟹工船」が発表されたのは1929年のこと。ちょうどこの年、ニューヨーク株式市場の大暴落が起こり、これをきっかけに世界恐慌となります。また日本では関東大震災の6年後。まさに生活にあえぐ人たちが増えた時代。社会の底辺で苦しむ人たちを描いた「蟹工船」に多くの人が共感したのではないでしょうか？しかし残念ながら当時「蟹工船」は発売禁止になってしまいます。社会主義革命を目指して創造されるプロレタリア文学は、当時、弾圧を受けていたからです。発売禁止という過去を持ちながら、それを越え、79年後に再びベストセラーとなった「蟹工船」。この作品が持つ底力をあらためて感じてしまいます。