2007年10月21日
宮本輝 『錦繍』

「錦繍の中で忘れてはならないのが脇役の存在」と小川洋子さん。特に有馬の現在の恋人である令子という女性が、とても魅力的だと感じたそうです。人生を投げそうになる有馬の側に寄り添い、明るく支える令子。物語の後半に微かな光を灯しています。
そしてこの物語をより心に刻んでくれるのが隅々に描かれている風景。亜紀と有馬が10年ぶりに再会する蔵王の紅葉。そして物語のラストに登場する京都・山科の紅葉。木々が燃えるように輝く季節で始まり終わる「錦繍」。秋にぜひ読みたい1冊です。

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