2007年10月7日
太宰治 『走れメロス』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

体育の日を前に「走る」をキーワードに選んだのが、太宰治の「走れメロス」。暴君ディオニスに捕らえられた主人公メロスが、親友を人質に残し帰郷するという物語。3日目の日暮れまでに町に戻らないと親友の命がない。そこでメロスは走り続けます。教科書にも載っているので、誰もが読んだことのある短編小説。しかし読み直してみると、あらためて様々な魅力を感じる作品です。そのひとつが「文体」の素晴らしさ。「メロスは激怒した。」ではじまる冒頭の部分を読んだだけでも、小川洋子さんは「しびれてしまった」とか。研ぎ澄まされた文章を読んで「やはり小説は文体が作っていく」と感じたそうです。

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