今夜の授業を職員のジェーンが振り返り!
SCHOOL OF LOCK!今夜は元生徒でもある「週刊文春」編集部
村井弦先生が来校!!
授業テーマは
村井先生に聞いてみたいこと!!!
雑誌や本の編集に興味がある生徒はもちろん、10代の君が村井先生に聞きたいこと、質問を直接、村井先生本人に質問していってもらいました。
1人目に電話を繋いだ生徒 RN:
ぱくちーが村井先生に聞いてみたいことは
週刊で雑誌を編集していてネタに困ることって無いんですか?というもの。週刊誌は毎週読み応えのある記事を途絶えることなく出しているけど、同じクオリティをずっと保つのも大変だと思うしネタに困る事ってないのかな?と、ふと思う事があるというRN:ぱくちー。そんな素朴な疑問に村井先生は「正直、編集者も毎週困ってます、、!」と回答!でも、一つネタがあったとしたら切り口を変えてみたり、違う角度から考えてそれを記事にしています。と話を聞かせてくれました。
2人目に電話を繋いだ生徒 RN:
みかんさらだが村井先生に聞いてみたいことは
一冊の雑誌を作るのにどれだけの仕事量や時間がかかるんですか?というもの。本が好きで出版業界に興味があるというRN:みかんさらだ。まだはっきりとした夢を持っているわけではないけどもし自分が将来、雑誌の編集者になったとき、編集者って仕事量が凄い多いイメージなので自分にそれが務まるのかが不安なので教えて欲しい。と話を村井先生に質問をしていきました。
3人目に電話を繋いだ生徒 RN:
アンディのおもちゃが村井先生に聞いてみたいことは
メディアとか関係のない大学からでも方向転換は出来ますか?というもの。今、大学2年生で最近になって出版業界が気になるようになったというRN:アンディのおもちゃ。でも今通っている大学はメディアと関係ないし、せっかく通っているならその勉強に関係する仕事に就かなきゃ、、と思ってしまい、何を調べて何から始めればいいのかも分からないと質問&相談をしていきました。
その話を受けて村井先生からは「実は自分も大学では経済を勉強していたのでメディアに関係ないところにいたし、周りの編集者をみていても世界を放浪していたっていう人がいたりとか、面白いバックグラウンドを持っている人も多いので、今学んでいる事についてはそこまで気にしなくていいと思いますよ。」と話をきかせてくれました。また村井先生からは「とにかく本を読んで欲しいし本屋さんにも行って欲しい。面白そうだなと思った本は、苦手意識を持たずに手に取って読んで欲しい。いつか面接などで必ず役に立つから。」とアドバイスを送っていきました。
「週刊文春」編集部・村井弦先生来校!!! 出版業界のアレコレ!! 色々と聞いて行きました。
『 3日目 』
こもり校長「今週のSCHOOL OF LOCKはスペシャル授業WEEK!
月曜日は
Mrs. GREEN APPLE先生が生放送教室から生ミセスLOCKSを 届けてくれたり」
ぺえ教頭「月曜日は校長のお誕生日で、生徒のみんなから、校長の27歳の目標を決めてもらったりもしましたね」
こもり校長「昨日
火曜日は、VTuberの
白上フブキ先生と
尾丸ポルカ先生が来校してくれました」
ぺえ教頭「いや本当に忘れられない日になりました」
<BGM ぽ / 尾丸ポルカ>
こもり校長「お、来ました! 『ぽ』ですか」
ぺえ教頭「昨日盛り上がりすぎて、校長の声ちょっと枯れてるもんね(笑)」
こもり校長「そう。本当に昨日たぶん笑いすぎてしゃべりすぎて、声が枯れちゃって。今日も朝から仕事だったんだけど“あれ、声が…”って。たぶんポルカ先生に声帯ごと(笑)」
ぺえ教頭「持っていかれたね〜」
こもり校長「最後“ここにある〜”とか言ってたの、あれ俺の声だったんじゃないかな」
ぺえ教頭「ポルちゃん、校長に声帯を返してあげて」
こもり校長「ポルカ先生、返してください〜」
ぺえ教頭「喉仏ごといかれたからね。ポルカの勢い」
こもり校長「(笑) でも、むちゃくちゃ楽しかったよね」
ぺえ教頭「楽しかったです。VTuberに一気に興味が沸きましたね」
こもり校長「やっぱ触れたことのないさ…」
ぺえ教頭「(笑) なんか切ない声ね〜 でも私、フブポルロスです」
こもり校長「分かるよ。あの賑やかな感じってなかなかないもんね」
ぺえ教頭「なんか恋しくなってます。フブキ、ポルカ、また来てね」
こもり校長「すぐ来てほしいと思ってる」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「そして3日目の今夜は、
『週刊文春』編集部次長・電子版コンテンツディレクターの村井弦先生と一緒に授業を行っていきます!」
こもり校長「聞いたところによると、村井先生はSCHOOL OF LOCK!の元生徒ということで」
村井先生「そうなんですね。今から16年ぐらい前だと思うんですけど、高校生の時に
アジカンLOCKS!をめちゃくちゃ聴いてたんですよ。なので、16年ぶりに母校に帰ってきたという。まさかこんな形で帰ってくるとは当時は思いもしませんでしたけど(笑)」
こもり校長「で、その当時のアジカンLOCKS!で行われていたアジカン先生の楽曲『君の街まで』のコピーバンドの日本一を決める『君の街まで』コピー企画で村井先生が最優秀賞に輝いているんですよね(笑)」
村井先生「そうなんですよね。当時、高校生で軽音楽部に所属をしてまして、それこそアジカンのコピーバンドをやっていたんです。で、コピーバンドをやっていたら、アジカンのラジオでまさかのコピーバンドの日本一を決めようと企画が始まったので、これを送るしかないと思って送ったら、なんと日本一になってしまったと」
ぺえ教頭「最優秀賞ってすごいね」
こもり校長「
その時のアジカンLOCKS!の黒板では“100分の1”って書かれてて」
ぺえ教頭「だから、かなり熱心な生徒…」
村井先生「いや相当熱心な生徒でしたね」
こもり校長「そうだし、かつアジカンが大好きだったってことですよね」
村井先生「当時、本当に大好きでしたね」
こもり校長「世代は違うんですけど、僕もアジカンが大好きで、アジカンの曲で人生のターニングポイントの時に背中を押してもらったみたいなこともあるので。やっぱアジカン先生、最高ですよね」
村井先生「最高ですね。SCHOOL OF LOCK!に出ると思って、当時聴いてた曲を聴き直したんですけど、いやエモいですね」
こもり校長「エモいですよね。最高ですよ。
そして、最優秀賞に選ばれたにもかかわらず、なんと連絡先を書いてなくて、そのアジカン先生から連絡をちょうだいという電報が届いたっていう(笑)」
村井先生「そうなんですよね(笑) アホですよね。電話番号もメールアドレスも書かないで、住所だけ書いて送ったていう」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「でも、どうやって分かるんですか?」
村井先生「あ、なんか家に電報が来てるって親が言ってて“え、電報!?”みたいな」
こもり校長・ぺえ教頭」「(笑)」
村井先生「“電報って何?”って感じじゃないですか。そしたら、アジカンLOCKS!から電報が来てて“連絡してください”みたいなことが書いてあって、連絡したら“あなたたちのが一番になりましたよ”ってお話でしたね」
こもり校長「嬉しいですよね」
ぺえ教頭「電報で届くってのもいいわね」
こもり校長「何か通だよね。さあ今夜は、そんな元生徒でもある、週刊文春の村井先生と一緒に授業を行っていきます。お仕事について、この後いろいろ聞かせていただこうと思います!」
♪ 君の街まで / ASIAN KUNG-FU GENERATION
こもり校長「これですよ」
ぺえ教頭「しかも、さっきのすごい話を聞いた後に、これを聴くと沁みるわね」
こもり校長「沁みますよ。これをコピーバンドしたわけですもんね」
村井先生「懐かしいですね。まさか、このスタジオでこの曲を聴けるとは思いませんでしたね」
こもり校長「村井先生、高校時代は音楽に没頭されていたということですけれども、当時から今の仕事には興味はあったんですか?」
村井先生「いやいや、当時は本当に音楽ばかりやってましたから、授業もサボって軽音楽部の部室でドラム叩いたりしてて。全くと言っていいほど、音楽以外のことをほとんど何も考えてなかったに等しい、そんな高校時代だと」
こもり校長「どうやって、このお仕事に就かれるんですか?」
村井先生「大学に入って、大学でもバンドをやってたんですけど、大学3年間バンドやっても、ちょっとバンドを職業にして…というのはなかなか難しいなと思った時に、他に何か好きなことはあるかな?と思った時に、本を読むのは結構好きだったんですね。で、バンドもある種、創作活動じゃないですか。自分が作った曲をみんなに聴いてもらうような形で。それを活字の世界でもできないかなみたいなことをちょっと思って、出版社を受けてみようかなと思って受けて、今の文藝春秋に入ったと。そういう感じですね」
こもり校長「じゃあ、何事も点で見ずに線で繋げてみると、意外と共通点があるということですね?」
村井先生「ありますね。出版の仕事と音楽の仕事って、高校の時はあまり関係ない感じに見えてたんですけど、でも“何かものを作って、多くの人に届ける意味では非常に共通しているな”というのを、就活の時にちょっと気が付いたんですよね。だから、自分がこれまで音楽でやっていたことを活字の世界でちょっとやってみたいな、みたいなところで編集者になりたいなって思ったのはありますね」
こもり校長「やっぱ張り込みとかもやるんですか?(笑)」
村井先生「私は入社して一番最初に『週刊文春』に入ったので、入ったばかりの頃は張り込みとかもちょっとやってたんですが、僕は今また『週刊文春』にいますけど、他の部署にも結構長いこといて、月刊誌が一番長かったんですね。6年近く、同じ『月刊文藝春秋』にいたので、どっちかというと、張り込みというより編集的な仕事の方が多かったなと思いますね」
こもり校長「今の“電子版のコンテンツディレクター”っていうのは、一体何をするんですか?」
村井先生「『週刊文春』は紙の雑誌だと思うんですけど、それを、スマホとかパソコンでも読んでもらいたい、と。やっぱり紙の部数っていうのがだんだん少なくなっていく中で、皆さんスマホで読む人は非常に増えていると。だったら、スマホで1人でも多くの人に読んでもらうにはどうしたらいいのかな、みたいなところを考えていく仕事ですね」
こもり校長「今夜は、生徒のみんなから
村井先生に聞いてみたいことを募集します!」
ぺえ教頭「“将来、雑誌の編集の仕事をしたいのですが、今は何をやっておくべきですか?”とか“編集の仕事で、幸せな瞬間とかつらい瞬間とか教えて欲しいです”とかね。そして“スキャンダルを出して嫌な気持ちになることはありますか?”とかね(笑)」
こもり校長「雑誌や本の編集に興味がある生徒はもちろん、10代の君が村井先生に聞きたいこと質問を送ってきて欲しいと思っていますが、どんなことでも大丈夫ですか?」
村井先生「NGの質問はないので、ぜひ何でも聞いてください」
こもり校長「それはそれで、こっちがドキッとしますよね」
ぺえ教頭「そうですね(笑)」
■
いろんな記事が週刊文春に載っていると思うのですが、この記事はこの日に出そうとか記事を出す日にちは決まっているんですか?
ルルカ
-/14歳/埼玉県
村井先生「これは比較的直前に決まることが多いです。週刊誌は週に1冊出ますので、発売日がだいたい木曜日なんですけど、その2日前に『校了』と言って締め切りになるんですね。だから、締め切りの日に“これを入れよう”と決まることもあるので、最短だと2日前に急遽記事を入れる…みたいなこともあります。
一方で、例えば連載小説みたいなものとかは決まってたりはするんですけど、いわゆるニュース系の記事は本当に直前に突っ込むみたいな感じで記事になることの方が多いですかね」
ぺえ教頭「“今だ!”って出すってことね」
村井先生「“取ったらすぐに出す”みたいなイメージですかね」
こもり校長「きっと急に来るんでしょうね」
ぺえ教頭「なんかドキドキしてるわね(笑)」
■
ご自身が編集した雑誌なのか出回っているのを見た時、どんな気持ちになりますか?
もしあったら教えてください。
ハルハアケボノ カレーハノミモノ
男性/13歳/北海道
村井先生「やっぱり嬉しいですよね。特に僕は雑誌の編集者なので、自分のやった記事っていうのは、雑誌の中の1つのパーツではあるんですけれども、やっぱり本屋さんとかに行って開いて、自分が担当した記事が載っていたら、“これは一体自分が知らないどれだけの人が見てくれているんだろう”ということを考えると、すごく嬉しいですよね。なんか、アジカンLOCKS!で自分のコピーバンドの曲がかかったのを聴いた時に近い感覚、みたいな。“俺の演奏、めちゃくちゃな人に聴かれているんじゃないの?”みたいなのと一緒ですよね。担当した記事については」
こもり校長「誰がどういう風に思って、何を感じているのかみたいなことも…」
村井先生「ありますからね。特にネットの時代になったんで、結構感想はダイレクトに届くようになってますし。それは僕が入社した頃よりも読んでくれた人の声はかなり届きやすくなっているかなと、環境的に思いますね」
こもり校長「ちょっと深いことばかりです。なかなか作っている側というのは、お話が聞けないじゃないですか。我々は表に出たものを見て、そこで何を感じるかですけど、やはり作り手の方にもそういうバックボーンがあるんだ、それこそ村井先生だったら、音楽と文章が似ているところがあるんだとか、そういうのを聞くと、すごく興味深い話も多いです。
“音楽”と“文春”というのが身近な感じはないですが、実は村井先生は、“アーティストに小説を書いてもらう”ということをされたりしていらっしゃいます。僕の先輩である小林直己先生が連載されていたこともありますし。こういうのは直接お頼みになるんですか?」
村井先生「そうですね。今、私は週刊誌ですけれども、これは月刊誌の部署に入ってそのデジタル版の担当している時に、“どうも小林直己さんは文章を書くのが得意らしい”“お書きになるのもすごく好きだ”とかいう情報がありまして。であれば、ちょっと連載をしてもらうのがいいんじゃないかとう声が内部で上がりまして。
で、実際にお会いしたら、非常に誠実で、本当に真面目で、文章に対してもストイックな方だったので、連載をしてもらって。それが最終的に本になっているという感じですね」
こもり校長「出た時もびっくりしましたよ。直己さんが本出したんだって。でも、すごくキャラに合っているというか。そこから本を出すというのは、直己さん自身にとっても絶対にキャリアにもなりますし、キャラにも合っているし、素晴らしいなって思いました。どうですか、教頭? 今後、連載みたいなのは?」
ぺえ教頭「私?」
村井先生「書くのはどうですか?」
ぺえ教頭「この間、エッセイ本を出したばかりというのもあって…まぁ何かあれば、お力になれれば…」
村井先生「なるほどですね」
ぺえ教頭「(笑) 私だったら何ができるのかしらね。何の連載ができるのかしら?」
こもり校長「今の世の中のエッセイ書けるんじゃない」
ぺえ教頭「あと、イイ男の話とか?」
村井先生「はいはい(笑)」
ぺえ教頭「“こういう男がいいんじゃない?”みたいな話はできるかもしれない」
村井先生「でも、まさに編集者というのは、そのためにいて。要するに、これまで文章を書かないところで活躍していた人が、いわゆる活字の世界でどういう才能を花開かせることができるのか、そのお手伝いをするのが我々編集者なので。こういうお話をしていく中で“あ、だったらぺえさん、この切り口で書きましょうよ”みたいなところから入ってくると、そういう風に作品ができていきますので。直己さんもまさにそうで、最初の連載のタイトルが『EXILEになれなくて』ってタイトルだったんですよ」
こもり校長「そうでしたね」
村井先生「EXILEなのに『EXILEになれなくて』というタイトルでやっていて。そういうところに、どういうような切り口で書いていくかを一緒に相談するのが編集者の仕事と」
ぺえ教頭「今度、エッセイ本お送りしますね。読んでみてください」
村井先生「はい。読ませてください」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「やめなよ。ここでの急な売り込み(笑)」
ぺえ教頭「売り込みしないと。やっぱり貪欲にいきますよ(笑)」
こもり校長「まぁ次長さんだからね」
村井先生「楽しみにしてます」
ぺえ教頭「ありがとうございます(笑)」
■
村井先生に聞いてみたいこと
どんな職業でも、辛い事や楽しい事って有ると思いますが、編集者という仕事で挫折しそうになるのってどんな時ですか?
それでも、編集者の仕事をずっと続けていられるのはなぜですか?
ウサギのみるく
男性/17歳/東京都
2022-06-15 18:20
村井先生「これは結構本質を突いている質問だなと思うんですけど。やっぱり編集者って雑誌でも本でもそうなんですけど、自分が担当したものについては、世の中に出るまで、すべての責任をその編集者が負うわけですよね。それは小さい記事でも1冊の本でもそうですけど、“ああ、もう、ちょっと無理だ。もうやめちゃえ”とか“誰かがやってくれるや”は通用しないんです。それは入社1年目の社員でも20年のベテランでも一緒でして、世の中に出るまで、その責任を全部負うっていう、結構このプレッシャーは大きいですよね。
“これ、果たして形になるのかな。もうダメかも”って思うことはありますけど、でも、それを乗り越えて世の中に出て、多くの人が読んで、感想が届くことを経験すると“やっぱり編集者って楽しいよな” って思える。辛いこともあるけど、読んでくれる人の声が届くことで、やっぱりもうちょっと続けたいな…ってことがある。そんな山あり谷ありの仕事だなと、個人的には思ってます」
ぺえ教頭「正直辛いことと楽しいことだったら、どっちの方が多いですか?」
村井先生「時間的にいうと、うーんって悩んで苦しんでいる時間の方が長いかもしれないですね。でも、1回世の中に出てしまうと、そんな苦しんでいたことなんか忘れるぐらい嬉しいですし、それがさらに売れたりとか、たくさん人に読んでもらったりってなると、そういう辛い時のことはちょっと忘れちゃいますよね」
こもり校長「確かに、評価されるというのも大事ですもんね」
■
村井先生に質問したいこと!
今は雑誌をオンライン版としてスマホなどで見れるようになりましたが、電子媒体と紙媒体の違いは何だと思いますか?
こもちゃん大好きひーちゃん
女性/17歳/山形県
2022-06-15 19:02
こもり校長「こういうの聞きたいね」
ぺえ教頭「これは面白いね」
村井先生「ちょっと難しい話になっちゃうかもしれないんですけど、紙の雑誌からオンライン版になった時って、その記事が全部フラット化するんですね。要するに、長い記事も短い記事も、雑誌では扱いが大きい記事も扱いが小さい記事も、ネットに出すと、受け手の側は同じような扱いに見えるんですね。つまり、非常にそのコンテンツの価値がフラット化して届く。
だから、新聞の広告とかで週刊誌の広告を見たことある方はいるかと思うんですけど、右側と左側に大きい記事がバーンって出てて、真ん中の方に小さい記事があるんですけど、その時代は、真ん中の記事をやっている人は、やはり“右と左の大きい記事の方が価値があるよね”ってなんとなく思ってたんですけど、ネットに出ると、それが全部同じに見えるんですね。
だから、それはいい面では、小さい記事をやっていた人も胸を張って“この記事をやった”と言えるようになるけれども、逆に“ちょっと俺は小さい(記事だ)からいいや”って、ちょっとした手抜きみたいなものが通用しない時代になってきている面もあるかなと思っていて。そういう意味で、すごくその雑誌媒体って大きな変革期にあるなと、個人的には思っているところですね」
こもり校長「その角度で聞くと確かにそうですね。世の中、確かにいろんなニュースが本当にあるじゃないですか。ポジティブなものもあれば、それこそネガティブなものもあったりとか。でもそういう感情のものが意外とフラットになってるというか」
村井先生「フラットになりますよね。こちらとしては“こういう意図で読んでほしい”っていうことが、ネット上に入った時にちょっと違う方向で読まれてしまったりとか、そういった意味でのフラット化みたいなのも起きているし…。ネット上でいわゆるすごくバズった記事を紙で探すと、“え、どこにある? こんなちっちゃいところのこれなんだ”ってことが結構頻繁に起きるようになってる。そんな時代ですよね」
こもり校長「ちょっと今のは、自分らでは見えない視点かもね」
ぺえ教頭「見えないね」
こもり校長「続いて、生徒から直接村井先生に聞いてみたいことを電話でぶつけてもらいましょう」
ぱくちー 長崎県 16歳
こもり校長「学年は?」
ぱくちー「高校2年生です」
ぺえ教頭「お、中2高2は…
好きにしなさい」
ぱくちー「
はい。了解です!」
ぺえ教頭「ありがと〜」
こもり校長「村井先生に聞いてみたいことは、どういうこと?」
ぱくちー「
毎週1週間で雑誌を出版されていると思うんですけど、そんな中で正直ネタに困ることってないんですか?」
こもり校長「確かに聞いてみたい(笑) でも、どうして聞いてみたいの?」
ぱくちー「毎週ボリュームもすごいと思ってて、でも正直少なからずネタに困ることとかあると思ってて、そんな時ってどうしてるのかなって」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「そうね。純粋な疑問だよね。週刊って大変だと思いますけど、どうなんですか?」
村井先生「正直、毎週ネタに困り続けてますよ。毎週毎週ネタがあれば、そんな楽なことはないし。記事の本数を作るのは非常に大変な中で週刊誌を作ってるのはあるんですけども、そこで編集者っていうのは腕の見せどころなんですよね。
つまり、ぱくちーさんが想像している週刊誌の記事っていうのは、いわゆるニュースですよね。僕らの業界では“生ネタ”というんですけれども、そのニュースというのは、やっぱり正直、そんなにはないですよ。だけど、そういう時に記事を作る時に、“ああ、このAという物事があった時に、どういう切り口から記事にすれば新しい記事として読んでもらえるだろうか”というのを考えるのが編集者の仕事なんですね。
だから、“今、このドラマが流行っている。じゃ、こういう切り口で記事にしたら、多くの人が面白いと思ってもらえるよね”とか、“今この人が来ている。じゃあ、この人の関係ある何とかさんにインタビューすれば記事になるよね”と。その、いわゆる生ネタじゃないところで頭を使って記事を作っていくのが編集者の仕事の大きな1つなので、それは楽しさであり、辛いところでもある感じなんです。
正直、ネタに困ることないのかと言われれば、毎週困ってますけど、頑張るしかない、みたいなところですかね」
ぱくちー「(笑)」
こもり校長「でもそれって、1個の種があるからこそ、切り口を変えてみて…ということもできるじゃないですか。その話の種のストックみたいなのは、何となくは持っているんですか?」
村井先生「その話の種は、例えば、“こもりさんが今すごく来ている”っていうんだったら、これ自体が話の種になるわけですね。“こもりさんという人にどういう切り口で記事にすればいいか”なので、別に何か火種じゃなくても、全然記事の企画っていうのは成立するので、その生ネタになりそうな、ちょっと火が付いてるネタじゃないところから記事を作っていく、みたいなところが、実は一番面白いところだったりします」
ぺえ教頭「角度を変えてね。想像力ね」
こもり校長「やっぱりすごいな。ぱくちー的には、自分で置き換えて考えると、大変だなと思う?」
ぱくちー「めちゃ思います」
こもり校長「(笑) だって、自分で作って考えるってすごいことだよね。難しいこともあるだろうし。ぱくちーは宿題とか、リミット、締切みたいなのを決められていると頑張れる方?」
ぱくちー「ギリギリになって頑張れる方です(笑)」
こもり校長「(笑)」
ぺえ教頭「私もそうよ(笑)」
こもり校長「超えちゃうことはないの?」
ぱくちー「あんまりないです」
村井先生「それは偉いですね。我々編集者からするとありがたい筆者ですよね(笑)」
こもり校長「締め切りを守ると言うのは…」
村井先生「守らない人…いや、もうちょっとここだけの話、いっぱいいますからね。だから、もっと前に送ってくれって設定しちゃったりしてね」
こもり校長「でも、マジで締め切りを早く言うってあるんですか?」
村井先生「正直ありますね」
こもり校長「(笑)」
ぺえ教頭「そうだよね。私とか早く言われるタイプだと思う。なかなか出さないから」
こもり校長「スイッチ入らない人ってことね。でも、それで焦ってスイッチ入る作者さんとかもいらっしゃる?」
村井先生「ありますあります。それは本当に人の性格と一緒で、ギリギリまで絞り出す人と早目に片付けてしまった方がいいものができる人って、本当にタイプによって違うので。そもそも、その人のタイプに合わせて、編集者も一緒に仕事の仕方を考えていくみたいなところはありますね」
こもり校長「だから、コミュニケーションって大事と言われるところは、そことかにも…」
村井先生「まさにそうですね。1人として同じ人はいないので、その人といかにいいものを作れるかを考えて、それぞれとの働き方を考えるのが編集者の仕事ですね」
こもり校長「すごいな。やっぱそっちの側から見ることってなかなかないからね」
ぺえ教頭「私なんて切羽詰まっないと出てこないもん」
村井先生「そういうタイプの人も結構多いです」
こもり校長「(笑)」
ぺえ教頭「“もうヤだ〜”って方が何か言葉だ出てくる(笑)」
こもり校長「ぱくちーは毎週ボリュームある雑誌を見ているとそういうことを思うんだ。“今週は大丈夫なの?”って」
ぱくちー「思います」
こもり校長「確かにすごい数だもんね。これは気になることではあったけど、ちょっと聞けて良かったね、編集者も困ってるって(笑)」
ぱくちー「はい、勉強になりました」
村井先生「編集者みんな困ってますよ。もう毎週毎週脳みそを絞って、企画を考えて」
こもり校長「じゃこれからも、そういうのを知った上でコンテンツ楽しんでって」
ぱくちー「はい」
こもり校長「ありがとうね」
ぺえ教頭「ありがと〜」
村井先生「ありがとうございました」
ぱくちー「ありがとうございました」
♪ TEENAGER / フジファブリック
こもり校長「確かに週刊って大変ですね」
村井先生「冷静になって考えてみると、1週間にあの雑誌1冊作ってるって結構なハードワークだなぁって思いますよ」
こもり校長「そういう意味では、“今週出るものを今週中に作る”みたいな感じですか? それとも、もう2週前ぐらいには出来上がっている部分もある?」
村井先生「ある程度出来上がっているものと、今週作るものが半々になっていっているみたいな感じですね。例えば漫画とか連載小説みたいなものはある程度早めから進行できるけれども、ニュース記事はもうこの週に熱いものをやりたいので、ギリギリまで引っ張る。その前からあるストックと今週のものを合体させて1冊になって世の中に出ていく…というのが基本的な週刊誌かなと思いますね」
こもり校長「早くやりたくてもできないというのがありますよね」
村井先生「ジレンマですね」
こもり校長「しびれる〜」
■
私は将来編集者になりたいと思っています。
そこで質問なのですが、高校生の今のうちからやっておくべきことはありますか?
ミッフィー
-/15歳/北海道
村井先生「いわゆる編集者に必要な資格みたいなものって当然ないので、わざわざ何かを準備しているからなれるものでもない、と僕は思うんですけど、唯一言えることとしては、“自分は何が面白いのか”ということを人に自分の言葉で伝えることができる人というのが、非常に編集者に向いているんですね。
つまり、なんとなく人生を生きているんじゃなくて“自分はこれが面白いと思う”というのがあって、それを誰かに対して“これはこういう理由で面白いんだよ”って自分の言葉で説明できる人って、非常に編集者っぽいですよね。企画のプレゼン会議って、それ以外の何者でもないので。
なので、高校生のうちからできることとしては、自分が楽しいものというのをとことんやる、と。その自分が今楽しいと思っていることを、周りの友達に自分の言葉を伝えていく、共有していく。そういったことをやっていくことが大事かなと思うんですね」
こもり校長「なるほど。じゃあ、“意外とこれは自分が嫌だ”もそうですね」
村井先生「まさに。自分の感情を自分の言葉にして周りに伝えるって意味では、まさにそれも同じですよね」
こもり校長「学生時代、なんとなく過ごしちゃってたからなぁ。ダンス以外、好きなものなかったですもん」
ぺえ教頭「でもミッフィーは聞けて良かったね」
こもり校長「そうだね。じゃ明日からちょっと友達に伝えてみよう。好きな食べ物からまず」
村井先生「ぜひやってみて欲しいですね」
■
村井先生に聞いてみたいこと!
少し前から、休刊誌が増えましたよね。
出版界の売上はマイナス成長というニュースも見た事が有ります。
ぶっちゃけ、ホントにそうなのでしょうか?
それでも、出版界に夢を持っている生徒に向けてポジティブなメッセージをお願いしたいです!!
ウサギのみるく
男性/17歳/東京都
2022-06-15 21:49
村井先生「はい。これは正直、数字として出ているものは隠してもしょうがないですから。やはり紙の雑誌とか本の部数というのは、昔に比べたら圧倒的に減っているのは事実ですね。だから、ファッション誌とかも休刊のニュースとか結構あったりしますし。特に雑誌が厳しい業界にはなっていることも事実ではあるんですけど、ただ一方で、私が今やっているデジタルの仕事なんていうのは、まさにこれから伸びていく領域でもありますから、自分のやりたいことを表現するという場所が紙からデジタル媒体に変わるという意味では、やることはそんなに変わらないんですね。“自分の面白いことを伝えていく”という意味では。
なので、出版というと紙をイメージするかもしれないんですけど、それ以上にいろいろな領域が今広がっていますので、面白いことをやりたいという人は、ぜひ出版業界を目指してほしいなと、個人的には思いますね」
こもり校長「そうですよね。選択肢が増えてきたというところで言うと、“紙でやりたい”ってこだわりがあるならば、まだ選択肢もありますし。でも“面白いものを届けたい”志向でいるんだったら、デジタルも同じことってことですね」
村井先生「同じです。面白いものを持っていて、紙で出すかデジタルで出すかって選べるようになったのは昔にはなかった点ですから。選択肢が逆に増えたと思って、ポジティブに考えてもらえると、僕は嬉しいなと思います」
こもり校長「確かに。だから、さっきのフラット化の話を聞くと、なおのことだと思います。昔はジレンマがあったと思うんですよ。自分が面白いと思ったものを出したくても、記事になったとしても、読めないぐらい小さかったものが、今、デジタルで出せばバズる可能性がある」
村井先生「全然あるので。むしろチャンスは増えているんじゃないかと個人的には思いますよね」
こもり校長「確かに、世の中の流れだけで見ると雑誌がなくなっていて“またあの雑誌も休刊ですか。どんどん雑誌にできることはなくなっているんですか”と思う反面、できることの方が増えてきているんじゃないかなってところは、見ていると思いますね」
ぺえ教頭「評価できるところがしっかり評価されていくということにもつながっているんじゃない?」
村井先生「まさにそうですね。これまで隠れてしまって、なかなか評価されにくかったものがフラットになったわけですから、逆に評価されやすくなったとも言えるのでね」
こもり校長「でも反面、厳しいんですよね(笑)」
村井先生「そう。厳しくもなっているという」
こもり校長「ですよね。つまんないものはつまんないって言われちゃうっていう」
村井先生「まさにそうですね」
ぺえ教頭「シビアな部分もあるんだよね」
こもり校長「そう。だから、そういうのも分かった上で目指すっていうのは、やりがいはあるのかもしれないですね」
村井先生「やりがいはすごくあると思いますね」
■
村井先生に質問
どうやって芸能人のスキャンダルを仕入れているんですか?
天パあざらし
女性/12歳/東京都
2022-06-15 21:40
こもり校長「いいね。12歳っていう若々しい質問だね」
村井先生「直球で来ましたね。これは、週刊文春には私みたいな編集者と、あと記者が何人かいるんですけれども、やはり記者が端緒となる情報を誰かから聞いてきたり、紙とか証拠などを得て、“こういう情報がどうやらあるらしい”というところからすべてが始まりますよね。
ただ1つ言いたいのは、“これって本当なの? 聞いた話を出しているだけなんじゃないの?”みたいなことを言う方も結構いるんですけど、そこが素人とプロの違いは、その端緒となった情報を、もう何重にも裏をとって、本当に間違いない情報なのかというのを、お金と時間をかけて取材をして、裏取りをして、“本当にこれは事実だ”と思ったものが記事として出ている、ということですよね」
こもり校長「プロと素人の違いらしいよ」
ぺえ教頭「私のって何か聞いたことある?」
村井先生「僕は少なくともないですね」
ぺえ教頭「OK」
こもり校長「うわ。俺はその振り、絶対できないもん」
ぺえ教頭「校長もないと思うけど」
こもり校長「別に何かあるわけではないけど、“ちょっと飲んでた場所に一緒にいた人の話を聞いたことあります”だけでも、俺はちょっと酒癖がいい方ではないから…」
ぺえ教頭「いいのよ。別に自分で開示しなくても」
こもり校長「こういうのは自分で先に言っておかないと」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「暴れるとかはないよ。でも、ちょっと楽しくなっちゃって“ネガティブになっているアイツって情報を聞いたことあります”と言われても恥ずかしいから、先に言っとこうかなと思って」
ぺえ教頭「(笑)」
村井先生「ただ、情報はいろいろありますけど、これは本当に出す意味があるのかと、出す価値があるのかっていうのは、僕らはすごく判断してますからね」
ぺえ教頭「ちょっと待って。私、価値なさそうだな(笑)」
こもり校長「(笑)」
ぺえ教頭「今のところ、紙媒体でもデジタルでも、私のネタあんまり必要とされてないかもしれない」
こもり校長「いやいや、デジタルでは欲しいですよ」
村井先生「もしかしたらあるかもしれないですけど、ただ“”飲んでたよみたいな話を出したところで、“ではどういう意味があるのか”みたいな。そういうのを僕ら編集者はすごく議論をするんですね。これを記事にして意味があるのか、と。これを報じることによって、一体何を伝えたいのか、という。そこがないものは記事にしてもしょうがないですからね」
こもり校長「確かにそうですね。じゃ、大丈夫だ」
ぺえ教頭「私は大人しく生きているから」
村井先生「大人しく生きていただければ大丈夫だと思います」
こもり校長「大人しくとか言ってる(笑)」
ぺえ教頭「(笑)」
■
村井先生に聞いてみたいこと
よく人気芸能人が文春に撮られ記事が出されると、文春の記事に対してや出版社などへの、そのファンの方たちやSNSでの色々批判な声とか心無い言葉とかをよく目にします。
もし差し支えなければ、そういったときの心境とか知りたいです。。。
たいさっきー
女性/19歳/千葉県
2022-06-15 22:20
村井先生「これも結構よくいただく質問ではあるんですけれども、やっぱり周りの声、周りに何を言われてるか、周りにどう見られているかっていうことよりも、“自分がこの仕事をやるのか”ということについて、自分自身で納得しているか…っていうところがポイントだと思うんですね。
どんなものを出しても、いろいろな意見というのは当然あると思いますし、ないよりある方が僕は健全だと思うけれども、“そういう声があったとしても、自分はこれをやっているんだ”ということを、自分自身が納得できているかっていうところで、僕らは仕事をしていますよね。
だから、僕自身のことで言うと、いろいろな部署に行きますけど、例えば週刊誌にいるのであれば、僕は“物事を知る権利”というのは人々にとってすごく大切だと思っているから、“みんなが知らない”というものはない状態…つまり、何かを伝えて、知りたいという人に今隠されている情報を伝えていくという、それが僕らのやっている仕事の意義であり、意味であると思っているので、それを信じている限り、いろんな人はいろんな意見があるかもしれないけど、自分はこの仕事をやっているんだと。これが自分の仕事であるというのを自分自身で納得した上で、今、週刊誌の仕事をしている部分はかなりありますよね」
こもり校長「確かにいろいろな声がありますもんね」
■
スキャンダルを報道する側はどう思っているんですか?
ニュースを見ている側だとまたかと思っているんですが、どうなんですか?
毎日がエブリデイ
男性/14歳/北海道
村井先生「これも先程の質問にかなり近いかなと思いますけれども、少なくとも僕はこの雑誌に所属してこの仕事をしている以上、さっきも伝えましたけれども、“これは皆さんが知るべき情報である”と思ったものは、芸能スキャンダルや政治とか経済とか関わらず、記事にして出していると。
それに対していろいろなご感想はあるかもしれないけれども、少なくとも僕であったり、うちの雑誌の編集長や編集部員は、これはみんなが知るべきだと思って書いている記事なので、それを僕らが伝えるということには意味があると思っているから、この仕事ができている…というのはあるなと。先ほどの質問の答えとちょっと似ちゃうんですけど、自分自身が納得してやっていることが重要なので、それを少しでも理解してもらえると嬉しいなと思いますね」
ぺえ教頭「自分自身がやっていることには、納得して?」
村井先生「納得してやらないと、ちょっとつらくなる時もありますから」
こもり校長「まだまだ直接村井先生に聞いていきたいと思います!」
みかんさらだ 長崎県 16歳
こもり校長「学年は?」
みかんさらだ「高校2年生です」
ぺえ教頭「あ、中2、高2は…
好きにしなさい」
みかんさらだ「
好きにします!」
ぺえ教頭「ありがと〜」
こもり校長「長崎県16歳だから、もしかしたら、ぱくちーと近いかもね。さっき10時台に電話した子も16歳長崎県の子だったのよ。お友達の可能性あるよ」
ぺえ教頭「ホントだ(笑) もしかしたら近いところにいるかも」
こもり校長「ね。みかんさらだが村井先生に聞いてみたいことはどんなこと?」
みかんさらだ「
1冊の雑誌を作り上げるのに、どれだけの仕事量や期間がかかるのかを知りたいです」
村井先生「雑誌ということの質問だと思うんですけど、まずそもそも、雑誌作りは完全なるチームワークなんですね。今、私がいる週刊文春については、50人以上の人間が1週間一緒に頑張って雑誌1冊を出しているということなので、1つを全部一人作っているわけではないというところがまず大前提としてあります。
その上で仕事量なんですけど、そのチームワークの中の1記事を自分で担当しているので、“これだけやりなさい”と言われてやるというよりは、自分で仕事量はある程度調節できますよね。自分がそのパーツを作れば、その週の自分の仕事は完了なので、ある程度自分でかける時間はコントロールできると。
だから、いっぱい熱量込めて時間をかけて作る人もいれば、ささっと作る人もいますし、その辺はもう自分のさじ加減で仕事ができるのが1つ編集者の仕事の特徴かなと思いますね」
みかんさらだ「お〜」
こもり校長「みかんさらだは、どうしてこの質問を聞いてみたいと思ったの?」
みかんさらだ「もともと私は本が好きで、出版の業界に興味があって、将来何か出版の会社に就けたら、編集者をやってみたいなと思っていて。でも、就いてみたいんですけど、仕事量とか大変なイメージがあるので、自分にできるか不安で聞いてみたいなって思いました」
こもり校長「雑誌を作るという時に、先ほど“自分の中でペース配分を決められる”とおっしゃっていましたけれども、初めて入った時とか、そろそろ1年目2年目、雑誌を作り始めた頃でもいいんですけれども、それはどんどん自分で理解してペース配分できるものなんですか?」
村井先生「当然、最初から自分ではできないですから、先輩の働き方を見ながら、“こういう風に働くんだな”というのは、背中を見ながら先輩に従ってやっていく時期はあります。でも数年経ってくると、“あ、これはこれぐらいで済むんだな”とか“むしろ、ここはちょっと残業したり、夜遅くまでやってもうちょっと頑張ってみよう”とか、その辺の力の抜き加減とか入れ加減がちょっと分かってくるようになるので、そうなると、だいぶ自分の時間を作りながら働けるようになってくる、という感じですよね」
こもり校長「じゃ、みかんさらだは、ちょっと出版みたいなところに今は興味が向いているんだ?」
みかんさらだ「はい」
こもり校長「作ってみたいと思うこともあるってこと?」
みかんさらだ「そうですね。アーティストの人とか芸能人の人とかに興味があるので、そういう人の記事とか書けたらいいなと思います」
こもり校長「まあ、それこそ連載とかで、アーティストの方、バンドの方、タレントの方と一緒に仕事するってことももちろんありますもんね?」
村井先生「もう全然ありますよね。私がまさに小林直己さんを担当させていただいたりとか、それ以外にも一緒にお仕事させていただいた方はいっぱいいますけど、そういったことができるのも編集の仕事の1つの醍醐味ですからね」
こもり校長「確かにそうですよね。それは、アイデアとか企画とかを考えるというところも、自分の仕事のペース配分の中には組まれているんですか?」
村井先生「もちろんそうですよね。だから、いわゆる出社して自分のデスクに座ってパソコンを開いて打って帰るだけが仕事じゃないのが、編集者ですよね。それこそお風呂に入っている時に“このアーティストにこのテーマで書いてもらったら面白いじゃん”って思いついたりもするわけですから。そういう意味では、“365日全部仕事”という感じでもありますよね」
こもり校長「確かにそうですよね。でも、ただ今の村井さんのお話を聞くと、すごくやりがいはあるし、ポップな面もすごく見えるんですけど、もちろん大変なこともありますよね」
村井先生「大変なこともありますよ。夜中までなかなか形にならなくて仕事を続けたりとか、それこそ朝早く起きたりとか。時間は結構…それはラジオ局のお仕事もそうだと思うんですれど、定時に始まって定時に終わるみたいな感じではないですよね。
ただ、それもある種の楽しみの1つでもあります。いわゆる普通の9時5時で働いてるサラリーマンの人ができないことをできていると、僕自身は思ったりして、それ自体も楽しんだりしている面もありますから。その辺はすべてひっくるめて編集者の仕事を楽しんでもらえると嬉しいなと思いますね」
こもり校長「みかんさらだ、どう? 村井先生にいい面もあれば、大変な面もあると聞いてみて?」
みかんさらだ「やりがいがある仕事っていうのは、結構楽しそうだなって思いました」
村井先生「嬉しいですね」
こもり校長「なんとなくやりがいのある仕事じゃなくて、“あ、そこに自分の熱量をかけてみたいな”とも思うもんね」
みかんさらだ「はい」
こもり校長「まだ今、高2ということで、いろいろ自分の選択肢が増えてくる時期だと思うけど、ちょっと編集っていう道も視野に入れながら、ちょっと極めてみてよ」
みかんさらだ「はい」
こもり校長「質問ありがとね」
ぺえ教頭「ありがと〜」
村井先生「ありがとうございます」
みかんさらだ「ありがとうございました」
♪ 私小説 / Tele
アンディのおもちゃ 長野県 19歳
こもり校長「今アンディのおもちゃが聞きたい質問ってどんなこと?」
アンディのおもちゃ「最近、雑誌編集とかの仕事について興味を持ち始めたんですけど、大学では全然メディアとかと関係のないことをやってるんですけど、そこからの方向転換は今からでも間に合いますか?っていうのと、あと、具体的にどうしていったらいいのか。今は全くわからないので」
村井先生「質問が具体的ですね」
こもり校長「村井先生的にはどうなんですか? 今、メディアとか関係ない大学、学部に行ってますけど、言うなればもう19歳で仕事っていうのが見えてきた時に方向転換していくって」
村井先生「もう全然アリですよね。という僕自身、別に文学部とかじゃないんですよ。僕、商学部にいたんで。大学で簿記の勉強とかしてたんですよ。簿記とか経済とかやってて、そういう意味では全く、もうほとんど出版の勉強なんて何一つしてこなかったですけど、そんなことよりも、“活字の本とか雑誌が好きなんだ”と。“自分はこういう本とか雑誌の記事を作りたい”みたいなことをちゃんと自分の言葉でプレゼンテーションできる能力に尽きると思うので、今勉強してることとか、今いる大学の専攻とかっていうのは、ほとんど気にしなくていいと思いますね。
特に編集者なんて資格がある職業ではないので、むしろ熱い思いを持っている人の方が編集者に向いてるんじゃないかなという気がしますよね」
こもり校長「逆に、編集になりたくてずっと一直線に来たよりは、遠回りした方が良かったなと思うこととかもあります?」
村井先生「全然ありますよね。むしろ周りの“すごいな”と思う編集者を見ると、本当にいろんなバックグラウンドを持ってきている人が多いですよね。文学の勉強をしている人じゃなくて、それこそ世界を放浪してきましたとか、大学にはほとんど行かないで音楽活動をやってましたとか。もうあらゆる経験を出版の仕事に活かすという方に頭を切り替えた方が、むしろ出版社に入るという意味では近道かもしれないですよね」
ぺえ教頭「何を学んでいるかよりも、人生経験の方が」
村井先生「逆に言うと、人生経験がない人でも、自分はこういうことをしたいと、こういう本に感動して、自分もこういうものを世の中に届けたいんだっていうことが自分の言葉で言えれば、もう全然それで編集者の資格があるなと個人に思いますからね」
こもり校長「アンディのおもちゃ、どう?」
アンディのおもちゃ「自分の中で、今やっていることに通ずることで職業を考えているところがあって、こういう勉強をしてるからこういう方向に行かなきゃいけないのかなとか、選択肢が狭まってたんですけど、今の話を聞いて、自分がやっていることよりも、今言っていたように、人生経験とか、この雑誌や本にすごい惹かれたっていう自分の経験を大事にしたいなってすごく思いました」
こもり校長「確かに、自分が時間をかけてやってきたものを信じてやりたいという気持ちが強くなると、選択肢もちょっとだけ少なくなっちゃう時もあるもんね」
アンディのおもちゃ「はい」
こもり校長「そういう意味では広がったね」
ぺえ教頭「声まで明るくなったもんね」
村井先生「良かったです」
こもり校長「でも実際、具体的にここから編集に入りたいとなった時に、大学2年生で19歳、ここからやるべきことって?」
村井先生「これは、僕はぜひ大学1〜2年の人にオススメしたいんですけど、とにかく本を読んでほしいですよね。本屋さんに行くと、本当にいろんな本が置いてあります。で、普段たぶんインターネットとか見てて載っていないような本もあるので、“ああ、面白そうだな”と思った本は、ちょっと高いかもしれないけど、手に取ってみて、ぜひどんどん読んでほしいですね。
本当にたくさん本を読んでいる人ほど、“この子、本が好きなんだな”と出版社の社員は思いますから。ぜひ本を読んでみるというところからスタートしてもらえるといいんじゃないかなと思います」
こもり校長「現に、ここから就活で編集になりたいって時に、そういう出版社さんとかにアタックしに行けば可能性ってあるんですか?」
村井先生「全然もう。新卒採用は毎年やってますから。普通の企業と同じようにエントリーシートを出して、面接をして、内々定をもらって入社するっていうのは、本当の普通の会社と同じなので、その面接の時に、話すネタとして“私この本を読みました。この雑誌を見てました”って言うと話が盛り上がりますよね。僕も面接官を数年やってますけど、この子本当にたくさん読んできたんだなって思うと好印象になりますもんね。そういう意味でぜひ本は積極的に読んでほしいですね」
こもり校長「ちょっと今のは結構具体的に見えたんじゃない?」
アンディのおもちゃ「はい。私、今まで正直本を読むのがすごく苦手で。で、学校の授業で、好きな本について紹介するとなった時に、その時は本があんまり読めないから雑誌となって、雑誌というのにすごくこだわったというか、興味を持ったのがそこがきっかけなんですけど、やっぱ今のを言われて、やっぱり自分で挑戦しなきゃいけないなって思ったし、本屋さんに行くことも普段あんまりないので、自分の表紙が気に入ったとか、そういう本を手に取ってみたいなって思いました」
こもり校長「ちょっと急に見えたね」
村井先生「何か見えた感ありますね」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「だって、つい4分ぐらい前までは“何していいか分からない”って言ってたんですよ」
村井先生「視界がクリアになってもらえたら嬉しいですね」
こもり校長「やっぱり聞くもんだなって思っちゃったな。聞いてみて良かったと思うもんね?」
アンディのおもちゃ「はい。よかったです」
こもり校長「ちょっと見えた自分の目標に向かって、純粋に突き進んで。応援しているよ」
アンディのおもちゃ「ありがとうございます」
ぺえ教頭「頑張ってね。バイバーイ」
アンディのおもちゃ「ありがとうございます」
♪ 未来 / NONA REEVES
こもり校長「やっぱ時間は有限だから、分かるに越したことはないし、今から編集を目指したいという生徒の子は、今日聴いてくれてる中で、たぶん結構いると思うんだけど、1秒でも多く、本を愛せるかどうか。明日から変わってくるなって、すごくグッときた」
今日の黒板
『言葉の力』
村井先生「これは出版社に限らないんですけど、僕らっていうのはやっぱり言葉を介して全ての人とコミュニケーションを取って意思疎通を測ってますよね。何をするにも言葉を使わないと人と意思疎通を出来ないというわけなんで、みなさん是非その自分の言葉というものを意識して普段から言葉を使うようにしてほしいなと思います。
自分の好きなものだったり嫌なものだったり、これがしたいとかこれが欲しいっていうものを誰かから借りてきた言葉ではなくて、自分の言葉でしっかりと伝えるようになると、伝えられるようになると、そうすると、いろんな文章を書けるようになりますし喋れるようにもなるし、それはもう出版の仕事だけじゃないところでも生きてくる力なので是非これを意識して 過ごしていただけるといいなと思います」
♪ エンパシー / ASIAN KUNG-FU GENERATION0:00
こもり校長「SCHOOL OF LOCK!そろそろ下校の時間です!
今日、村井先生のお話を聞かせていただいて、エンパシーを感じた生徒もすごい多いと思うわけ。自分が伝えたかったことはこれか、みたいな。でも、最初はたぶん何も言葉にするのができなくても、それをやり続けることに意味があるし、やはり音楽の力ってすごいなというのを改めて感じるので」
ぺえ教頭「私たちも言葉の力を大切にしていきたいよね(笑)」
こもり校長「そうだね。いつか、電話に出てくれたり、聴いてくれた生徒にお世話になる日が…」
村井先生「来るかもしれないですよね」
こもり校長「いろいろな意味でね(笑)」
ぺえ教頭「(笑)」
こもり校長「さぁ、SCHOOL OF LOCK!は明日夜10時に再び開校!」
こもり校長「起立! 礼!」
こもり校長・ぺえ教頭・村井先生「また明日〜〜〜〜〜〜!!!!」
Music
2022.06.15PLAYLIST
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バンドマンから編集者へ「週刊文春」編集部・村井弦がSCHOOL OF LOCK!に来校
「週刊文春」編集部の村井弦さんが、6月15日(水)放送のTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にゲスト出演。担当業務や学生時代のエピソードなど、パーソナリティのこもり校長とぺえ教頭の質問に答えました。