カミングアウトすることが正解だと思わないでほしいです。
2022
放送後記

カミングアウトすることが正解だと思わないでほしいです。

こもり校長

毎週月曜日のこの時間は、『SOCIAL LOCKS!』。生まれた環境のこと、性のこと、障がいのこと、さまざまな生徒の声を届けていきます。

ぺえ教頭

今夜、声を届けてくれるのは…!

ネコ69

兵庫県 17歳 高校2年生 RN ネコ69です。
僕は、体は女性ですが、性の自認は、女性と男性との中間の「中性」です。ずっと自分のジェンダーは女性なのだと思い込んでいましたが、中学3年生の時、女子生徒でもスラックス、いわゆるズボンの制服を選択できることになったことがきっかけで、「本当はスカートが嫌」で、「スラックスが良い」、「女性でいたくない」、「自分は男性寄りなんだ」と自覚するようになりました。

今は高校に入り、自分のジェンダーについて、先生には伝えています。学校で着替える時、女子生徒の中で着替えることは嫌だったからです。
今は1人、保健室で着替えをしています。

そんな中で、今悩みがあります。それは先生たちが自分のジェンダーを親に伝える、いわゆるアウティング(第三者にこれまで公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を伝えられること)しようとしたり、自分のジェンダーのことを親に話すように言ってきたり、話せる場をつくろうとしていることです。

僕は自分のジェンダーのことを親に話したことがありません。家にいる時は好きな服を着られるし、不便に思うことはありません。なので、今は親には伝えなくてもいい、と思っています。
いつか伝えたいと思える日が来たら、自分のタイミングで話そうと思っています。

確かに、カミングアウトすることで自分らしく過ごせるようになるのは、素敵なことだと思います。でも、カミングアウトすることが正解だとは思わないでほしいです。自分が不便に思わない環境であれば、しなくてもいいと思います。
そして、カミングアウトの強制はしないでほしいです。

こもり校長
こもり校長

「“多様性”という言葉を使うことに対して僕は疑問を持っているよ」っていうことは僕1人の意見としてはあるんだけども、「ボーダーレスな世の中にしよう」という活動を否定するつもりもないし、多様性というものが世の中に広がっていくこと自体を反対してるわけでもないし、言ってくれたみたいに、みんなが自分らしく過ごせるってことは本当に素敵なことだと思うから、俺もものすごく賛成なんだけど…なんだか、世の中が多様性を求めることによって、それが強要っぽくなっちゃう瞬間ってあるよねって思う。

ネコ69のこの状況って、今の時代の“はざま”に挟まれた感じがするというかね

ぺえ教頭
ぺえ教頭

もちろん、「どういうセクシャルも認めてほしい」って気持ちは我々にもあるんだけど、カミングアウトすることが正解じゃない人もいるだろうしね。
やっぱり自分のジェンダーというものは自分で切り開いていってほしいし、強要されるものでもないし、特に親へのカミングアウトは、私もどうしても自分で自分の口から伝えたかったから。

先生も心のどこかで「良かれと思って」とか、お母さんやお父さんにも認めてほしくて「伝えようかな」って思ってくれたのかもしれないけれども、そこは本人ともう少し話した上で考えてほしかったよね。

こもり校長

本当に今の10代だけじゃなく、大人にもこの声が届いてほしいなと思う。

ぺえ教頭

そうだね。でも、今はそういう時なんだろうね。さっき校長も言っていたけど、“はざま”っていう。

こもり校長

そう。これって誰も悪くないじゃない。でもこれは、時代というものの、はざまの溝(みぞ)だと思うのよ。

ぺえ教頭

いろんな年代の人が理解をしなきゃいけないって、本気のところにたどり着いてきた感じがするよね。

こもり校長

ネコ69、声を届けてくれてありがとう。

『SOCIAL LOCKS!』では、引き続き色々な生徒の声を届けていきます。

ぺえ教頭

みんなにわかってほしいのにわかってもらえないこと、毎日の中で“もっとこうなればいいのに”と思っていること、ぜひ直接届けてください。特設サイトで待ってます!

2022.6.20カミングアウトすることが正解だと思わないでほしいです。
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