『リモート環境における "新しい逆電" の可能性』
サカナクション 2020.5.1 金曜日
山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている人はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。そして、サカナLOCKS!のインスタアカウントをフォローしてください。授業が始まりますよ。本日のサカナLOCKS!もリモート授業でお届けしています。」
聴取期限 2020年5月8日(金)PM 11:27 まで
「現在サカナLOCKS!では、生徒の皆さんに宿題として『STAY HOMEで変わったこと』というメッセージを募集していましたね。覚えていますか?既にたくさんの書き込みがきています。プレゼント効果で書き込みが増えているんだと思うんだけど、調べたら、うちにまだハブラシが300本くらいあったわ(笑)。こんなに宿題を提出してくれるなら、毎回1本ずつプレゼントしようかなって思うくらいですね。あと、ハブラシをプレゼントしてくれた歯科医の林先生から連絡がきて、「まだまだあるよ」ってメールがきました(笑)。このペースで書き込みをしてくれたら、サカナLOCKS!もまだまだ続けていけるかもしれないので、是非書き込みをお願いします。まだ宿題を提出していない生徒は、どんどん提出するように。宿題を提出してくれた生徒の中から2名、一郎先生の自宅で見つけたNF Tシャツと非売品のNFハブラシをセットにしてプレゼントする。」
「さて、今回のサカナLOCKS!ですが……SCHOOL OF LOCK!や、アーティストLOCKS!の授業を聞いていると、よく生徒と電話するじゃないですか。みんなも、"逆電"といえば、僕が「もしもし!サカナクションの山口一郎です!」って言ったら、「ラジオネーム○○です!」って言う、このキャッチボールまで出来上がっちゃっている、フォーマットがあるよね。あれは、スタジオに僕らがいて、スタジオに備え付けの電話から生徒に電話をかけているんですよ。家電(固定電話)ね。だから、生徒の声は音質悪いじゃない?その声がスタジオの"ミキサー"という音をまとめる機材を通じて聞こえてきているんですよ。だから、僕はスタジオのマイク、生徒は電話回線という……あの感じが逆電フォーマットのように聞こえていると思うんだけど、今回はリモート授業だからこそできる、新しい逆電の可能性を探っていきたいと思います。」
(……と、ここまで話したところで、一郎先生は何かに気がつきました。)
「……えーっと……音声は変わっているでしょ、これ?(※さきほどのトークよりも声の音質が良くなった) ……あのね、先生やらかしたんだわ。これもリモート授業ならではなんだけども。今ね、iPhoneのLighteningのマイクで録音(した音声をオンエア)ているんだけど、その前は……先生、ボイスメモの録音をし忘れちゃってて(笑)。ここからは音質のいいiPhoneで録っているわけ。その前はオンライン会議アプリの音声だったんだよなー。これは先生のミスなんだわ(笑)。今から僕の声はいい感じになっているはずだからな、その辺よろしく(笑)。」
では気を取るなおして、新しい逆電の可能性を探っていきましょう。今回は、ひとりの生徒に協力してもらって、いろいろな方法で授業に出演してもらいます。まずは、「 LINE電話 」を使った逆電=電話出演です。
<その?:LINE通話>
「LINE電話の場合、僕のLINEとつなぐわけにはいかないですから……というか僕、LINEやってないですから、そもそも。このリモートの状態では、僕と生徒がLINE通話をしても「音声の録音はできない」と。なので、生徒とサカナLOCKS!逆電専用のLINEアカウントでLINE通話をして、その音をリモートワーク中のサカナLOCKS!職員を経由して、僕の方にオンライン会議アプリを通じて音声を流してもらいます。これ、ややこしいんだけども(笑)。つまりは、僕と生徒はLINEで話すんだけど、本当はリモートアプリを通じて話をしているのよ。普通のLINE通話とはちょっと違うタイムラグがあったりするかもしれないんだけど、やったことないから分かんないんだよ。」
「メリットは、授業を聞いている生徒は、LINE通話の音質(通常の電話よりも良い)で聞くことができるのよ。普段は、ラジオ局にある家電なんだけど、LINE通話で、生徒の声が良い。先生の声も良い。だから、普通にゲストで来ているみたいに感じるかもしれないという可能性があるな。普段からこの方法でやったら良いんじゃないの?って思ってきちゃうけどね。デメリットは、何かと経由するところが多いから、経由するっていうことは、音もちょっと劣化するし、タイムラグも出てくるんだな。……やってみよう!前回、リモート放送の音質を比べる授業をやったじゃない。あれも、業界人から評判だったんだよ。」
「この実験に、生徒に協力してもらってLINEで話をしてみたいと思う。今回協力してくれるのは、北海道 15歳の女の子、ラジオネーム固ゆで派。彼女に協力してもらって、まずはLINE通話で連絡を取ってみるよ!」
山口「もしもし!」
(……すこし無音があって……)
固ゆで派「もしもし、固ゆで派です。」
(…………) ←無音
山口「もしもし、聞こえる?」
(…………)
固ゆで派「……聞こえます!」
(…………)
山口「サカナクションの山口一郎です。」
(…………)
固ゆで派「あ、固ゆで派です。」
(…………)
山口「今日はよろしくお願いします。実験にお付き合いください。」
(…………)
固ゆで派「はい、お願いします。」
(…………)
山口「ちょっとタイムラグが多分あるな、これ。」
(…………)
固ゆで派「そうですね。」
(…………)
山口「だから、文通みたいな感じで、話し終えたら「はい」って言っていこうか(笑)。」
(…………)
固ゆで派「ふふふ(笑)。はい。」
(…………)
山口「じゃあ……いつもの逆電と同じスタイルなんだけど、こういう感じで、LINE通話でやるのでよろしくお願いします。……はい。」
固ゆで派「よろしくお願いします。……はい。」
山口「ふふ(笑)。今、学校はどう?……はい。」
固ゆで派「ふふふ(笑)。休校です。……はい。」
山口「いつから休校ですか?……はい。」
固ゆで派「えーっと……4月24日くらいからですね。……はい。」
山口「固ゆで派は今高校何年生?……はい。」
固ゆで派「高校1年生です。……はい。」
山口「入学式はやりましたか?……はい。」
固ゆで派「小規模でやりました。……はい。」
山口「入学式に行ってから、学校にはまだ行っていないんですか?……はい。」
固ゆで派「いや、2週間くらいは行きました。……はい。」
山口「あ、じゃあ、2週間学校には行ったけど、そこから休校になっちゃったってことなんですね。……はい。」
固ゆで派「そうです。……はい。」
<ここで提案です!>
山口「これ、語尾に「はい」って付けているけど、これを編集で切ったら、ちゃんと会話が成立するかもしれないので、編集してもらいましょう。ここからは、会話の語尾に「はい」って付けていた部分を切って、編集したやつを聞いてみましょう。」
〜会話、再び〜
山口「固ゆで派は今高校何年生?」
固ゆで派「高校1年生です。」
山口「入学式はやりましたか?」
固ゆで派「小規模でやりました。」
山口「入学式に行ってから、学校にはまだ行っていないんですか?」
固ゆで派「いや、2週間くらいは行きました。」
山口「あ、じゃあ、2週間学校には行ったけど、そこから休校になっちゃったってことなんですね。」
固ゆで派「そうです。」
山口「せっかく高校が始まったのに、いきなり休校ってちょっと悲しいね。」
固ゆで派「そうですね(笑)。」
山口「ふふふ(笑)。友達とかは?2週間の間で新しい友達はできたの?」
固ゆで派「なんとなく……話せるような人は出てきました。」
山口「その友達って、LINEとかの連絡先を交換した友達もいる?」
固ゆで派「はい、います。」
山口「じゃあまだそんなに会ってないんだけど、LINEだけでは結構つながっているっていう新しい友達もいるわけだ。」
固ゆで派「そうですね、LINEでしか話したことがない人もいます。」
山口「学校が始まった時に、気分的にはどんな気分になるだろうね?普通は入学式から学校の生活って感じかもしれないけど……授業とかはどうしてるの?」
固ゆで派「授業は、オンラインとかはやってなくて、課題がどんと出されて、それを毎日やっていく感じです。」
山口「え!じゃあ、自習ってこと?」
固ゆで派「そうです。」
山口「それはもう……本当に自分で勉強しないと置いていかれるっていうか、自分次第なんだね。」
固ゆで派「そうですね……」
山口「部活とかは?最初の2週間でこれに入るって決めれたわけ?」
固ゆで派「はい。女子サッカー部に入部しました。」
山口「女子サッカー部に入ってるの?練習は?」
固ゆで派「練習はやったんですけど、休校中はやってないです。」
山口「じゃあ、まだ本当に部活に入った感じもないんだね。」
固ゆで派「そうですね。」
山口「……ちょっと、このLINE通話はラグがあってやりにくいな(笑)。じゃあ、一旦LINE通話を切って、次はオンライン会議アプリで連絡取ってみるぞ。」
固ゆで派「はい、分かりました。」
山口「じゃあ、一旦切るよー。」
固ゆで派「はい。」
以上、ここまでがLINE電話(+オンライン会議アプリ) での逆電でした。一郎先生的には、生徒とのタイムラグがあって、ふだん通りの会話のテンポが作れないのが、気になったそうです。それでは次のやり方を検証します。
山口「続いては『オンライン会議アプリ』で連絡を取ってみるぞ。これは、生徒がアプリをダウンロードしていて、会議用のURLというネット上の住所みたいなものを送れば生徒と会話することができます。メリットは、生徒のメールアドレスなどを知っていれば、URLを送って招待できると。で、生徒の顔を見ることができるのよ。これは非常に大きいと思う。表情を読み取れるし、どんな人か分かるっていうのは会話が広がるぞ。デメリットは、メイクしなければいけないっていうことも出てくるよね、女子の場合はね。男性だとそんなに気にしなくてもいいかもしれないけど、先生は寝起きむくむから、「むくんでるなー、こいつ寝起きだなー」って思われるのには演技できないなー。顔でわかっちゃう。そういう場合もあるな。あと、オンライン会議アプリの音質になっちゃうので、多少、聞きにくくなっちゃうかなと思う。では、早速やってみましょう。先ほどの、固ゆで派と繋がっております。」
<その?:オンライン会議アプリ>
山口「固ゆで派、聞こえるか?」
固ゆで派「聞こえます!」
山口「おー!これだと顔が見えるから会話しやすいな。ラグもないよね?大丈夫だよね?」
固ゆで派「大丈夫です。」
山口「(画面に映った背景をみて) 今、これはどこ?」
固ゆで派「自分の家です。」
山口「北海道の?自分の部屋?」
固ゆで派「はい。」
山口「兄弟は何人いるの?」
固ゆで派「兄弟は、下に小2の弟がいます。」
山口「じゃあ、長女だ。」
固ゆで派「はい。」
山口「これどう?話しやすい?」
固ゆで派「はい。」
山口「ちなみに、これは先生の家なのよ。」
固ゆで派「(画面に映った部屋をみて) わー……おしゃれですね。」
山口「おしゃれかな?(笑) ちょっと、先生の部屋見る?」
固ゆで派「見たいです……!」
山口「よし、山口部屋を案内してやるよ!」
固ゆで派「はい!」
(一郎先生が、オンライン会議中のパソコンを持って部屋を移動していく)
山口「これが、先生の部屋。こういう感じ。」
固ゆで派「おー、綺麗ですね。」
山口「綺麗じゃないでしょ、これ!(笑) どう考えても! で、いつもInstagram Liveやってるのは、ここ。ここがキッチンなのよ。」
固ゆで派「あー!」
山口「ここがキッチンで、ここでやってんの、いつも。で、こっちに映っているのが、先生が歌詞を書くテーブル。」
固ゆで派「おー……!」
山口「で、こっちが外って感じ。」
固ゆで派「おー、緑が多いですね。」
山口「そう。で、ここがリビング兼仕事場で、打ち合わせとかもここでやってるのよ。」
固ゆで派「あーそうなんですか。」
山口「これ、音的にはどう?LINEと比べて。」
固ゆで派「(私からの聞こえ方は)あんまり変わらないですね。」
山口「あんまり変わんないか。じゃあ、今はオンライン会議アプリで通話していたけど、一回ここで切るぞ。切って、次はInstagram Liveで話をしてみようか。」
固ゆで派「はい。」
山口「これ、どうする?顔映す?」
固ゆで派「あ、ぬいぐるみを……」
山口「ぬいぐるみを映すね。よしよし。じゃあ、そこで対談してみよっか。」
固ゆで派「はい。」
山口「じゃあ、一旦切るぞ。」
<その?:Instagram Live>
山口「では、最後はサカナLOCKS!のインスタアカウントを通じて『 Instagram Live 』を行い、そこで対談をしていきたいと思います。その音声をラジオ用に編集していきたいと思いますよ。これ、今Instagram Liveを見ている人がいるけども、ラジオ収録中だから。コメントとか拾わないからな(笑)。メリットとしては、インスタアカウントがあれば、電話番号などの個人情報をやり取りしなくても会話ができるっていうところかなと思います。デメリットは、たくさんの人に見られてしまうっていうところかな。本人以外からすると、「急に何が始まったの!?」って思うよね。途中から見るもいるわけだからね。何始まっちゃったの感は満載だと思います。この会話は聞かれてしまうんですが、顔は壁を映したり、ぬいぐるみを映したり、顔バレ防止をすることはできますので。……やってみるか! ラジオネーム固ゆで派につないでみたいと思います。……あれ?これ、固ゆで派がリクエストを送ってくれたらいいんだけど……ちょっと!みんな、リクエスト送るな!(笑)。……あ、いた!固ゆで派!OK、じゃあつなぐぞ。」
山口「固ゆで派!」
固ゆで派「こんにちはー。」
山口「こんにちはー。これ、顔が見れるのはオンライン会議アプリと一緒だね。声はどう?」
固ゆで派「聞こえやすいです。」
山口「お、これ聞こえやすい?」
固ゆで派「はい。」
山口「でもなんか……LINEでも話したし、オンライン会議アプリでも話したから、結構いっぱい話しちゃったな(笑)。」
固ゆで派「ふふふ(笑)」
山口「固ゆで派は、サカナクションは……好きなの?」
固ゆで派「好きです。」
山口「何で知ったの?サカナクション。」
固ゆで派「えーっと……お父さんですね。」
山口「お父さん?……ちょっと待って、お父さんいくつ?」
固ゆで派「47歳です。」
山口「近いぞ……歳、先生と!」
固ゆで派「ふふふ(笑)。」
山口「固ゆで派は、サカナクションの何の曲が好きなのかな?」
固ゆで派「セントレイとか……」
山口「おー!セントレイ!他は?他は?」
固ゆで派「あと……ボイル。」
山口「ボイル!いいねー……!あとは?あとは?」
固ゆで派「ふふ(笑)。あとは、ルーキーとか。」
山口「ルーキー!あー……じゃあ、ルーキー、歌ってやろっか?今。」
固ゆで派「えー……!!!……お願いします……!!」
山口「ちょっと待ってよ。サビだけ歌ってやろっか。」
固ゆで派「ありがとうございます。」
山口「「ルーキー」って……固ゆで派、今15歳だろ?多分、先生が15歳くらいの時に作った曲だぞ。」
固ゆで派「えー!」
山口「(ギターを鳴らしながら……) ちょっと待ってよ(笑)。今日1発目に歌うから声が出るか分からない(笑)。」
♪ ルーキー / 山口一郎 (弾き語り)
山口「……はい!(笑) ちょっとだけど。これね、もともと「サンデー」って歌だったんだよ。日曜日っていう歌だったんだけど、サカナクションになって、歌詞を書き換えて、メロディーもちょっと変えて。もともとは、16歳とかで作った曲だよ。」
固ゆで派「すごいですね……!」
山口「だから、高校生の頃のバンドコンテストみたいなやつに、この曲で出たのよ。」
固ゆで派「へー……!」
今回は3つの新しい逆電の方法を試していきました。授業を聞いている生徒の皆さんは、何か違いを感じたでしょうか。
山口「いやー、今日はいろいろ協力してくれてありがとね。」
固ゆで派「こちらこそ、ありがとうございます。」
山口「これからも応援してもらえるように、音楽がしっかり、コロナが治ってもちゃんと残るように頑張っていくので、固ゆで派も自分で勉強して……敵は自分だから。自分に負けないように頑張ってください。体に気をつけてね。」
固ゆで派「はい、ありがとうございます。」
山口「それじゃあ、さよなら。」
固ゆで派「さよなら。」
ということで、今回の授業も終了の時間になりました。
山口「LINE通話、オンライン会議アプリ、Instagram Liveとやってきましたけど、生徒的には、LINE通話の方が、顔が見れないから緊張しないんじゃないかなって思ったんだけど……どうなのかな。Instagram Liveは、先生慣れてるから、話を持っていきやすいなって感じがしたけど……生徒諸君はラジオを聞いてみてどうかな。顔が見えているのと見えていないので、会話のしかただったり、テンションみたいなものは違っているのかな。そういうところも違いが楽しめて面白いんじゃないかなと思います。でも、こういう風に逆電も音声が良かったりすると生徒諸君も聞きやすかったりするんじゃないかなと思うし、コロナが落ち着いてスタジオ収録になっても、ひょっとしたらラジオ局の電話を使わなくてもいい音でやった方がいいんじゃないかと思うし、顔を見て話せたりする方がいいんじゃないかと先生思ってきたなー。"ピンチをチャンスに変える"って言葉もあるわけだから。今後アップデートしていけるんじゃないかと思いました。リモート授業だからできる逆電の新しい可能性を探っていたら、リモート授業じゃない時にでも使えるという発見があったぞ。いろんなやり方があるってことと、リモート授業じゃなくても使えるってことが分かりました。」
聴取期限 2020年5月8日(金)PM 11:27 まで