4/9 SHIBUYA CLUB QUATTRO

やがて音が止まって、ステージには誰もいなくなった。大きな大きな拍手もいつか途切れた。横に立っていた女の子はドッと床に崩れて尻もちをつき、空を仰いだ。先程まで体を支配していた何かが、急にどこかへ出て行ってしまかったかのように。しかし彼女の顔を満たしているのは、力のない悲しみではなく、強さをはらんで凛とした顔。
会場のライトが、会場にいる全員の顔を照らす。汗で光ったみんなの顔は、どこか似ていた。そしてキミはしばらくの間余韻をじっくりと味わった後、キラキラとドキドキをおみやげに、来る時は入口だった出口の方にしぶしぶ足を向けた。

映画『LIVE OF ROOKIE』、これにてジ・エンド…?

否。そう、人生は映画なんかじゃない。美しいエンディングの先にも、連続した現実がある。

あの夜、奇跡的に出逢ったルーキーたちは、またそれぞれの軌道に戻っていった。この先また軌道が合えば出逢うだろう。そうでなければこれきりだろう。この世界の法則は、時に残酷だ。

でも、離れ離れになった訳じゃない。

andymori、Gallileo Gallilei、世界の終わり。あの夜あの場に居合わせたキミたち。そして、今これを読んでくれているキミ。

時代はキミたちを、もう一緒くたにしてこの地球に串刺しにしてしまっている。だって。andymori、Gallileo Gallilei、世界の終わり。彼らの音楽の無い地球を、キミたちは生きることができない。たとえ彼らが明日この地球から消え去ってしまっても、彼らの音楽は、もう、確かに存在しているのだから。

人生は映画じゃない。じゃあ何。それはLIVEだ。今の連続だ。ただし、リハーサルなんてない。1秒1秒が本番で現実。傷ついたって転んだってどうしようもなくなったって、編集してカットしてしまうことなんてできない。今を続けることでしか、LIVEは進行しない、成立しない。

LIVE OF ROOKIE。それはつまりキミの今。

今を愛せなくなることもある。どうしようもなくなることもある。それでもキミは生き続ける。生き続けることの価値を、実は他の誰よりも強く信じているから。

今を生きるルーキーたち。

ずっと格好よくなんて、生きられないぞ。
転んだって大丈夫。
ほら、横を見れば。

必死で生きてるヤツらが、少なくとも3バンド分。

彼らだって日々傷ついたり傷つけたり悩んだりもがいたり。
ただそれでもステージに立って、楽器を鳴らして、歌ってー

…そう。

同じ今を、生きている。




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