会場が真っ暗になった。誰でも分かる始まりの合図。歓声が起こる。そして、チャイムが鳴った。聴き慣れた、いつものあのギターの。この音の意味を知っているって意味だけにおいては、会場のほぼ全員が同じ存在。…あー、もう泣いちゃってるじゃんかよ、って横に立っていた制服女子の涙を横目、ステージにはやしろ教頭が登場。さらに大きな歓声。安心できるいつもの声。一人でずっと隅っこに立ってオドオドしていたアイツも、やしろ教頭が出てきたら、知ってる友達がやっと一人見つかったみたいな顔をした。いいね、いいね。 「この中で、10代の人?」 会場の9割が手を挙げる。そりゃそうだ。そのための夜なんだ、今日は。教頭はしばらく笑かし、沸かせ、そして。 「まずは…andymori!!!!」 「…Gallileo Gallilei!!!!」 「そして…世界の終わり!!!!」 「じゃあ早速、1番目に出てくるバンドを紹介しましょう…!!!」 この時点で、会場のみんなには当日のバンドの出演順は知らされていない。正直、もう順番なんてどうでもいいよって思っていたに違いないけれど、それでもドキドキは溢れる。 「まず登場するのは…」 …
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