このところ、バック走行時のクルマが
死亡事故を起こすケースがたびたび報道されています。
今週はモータリングライター 藤田竜太さんにお話をうかがって
バック走行時の安全な運転を確認しました。





例えば、どんな事故が起こっているかというと
記憶に新しいところでは去年12月に東京都杉並区で歩道を歩いてた親子が
近くの自動車整備店からバックで出てきた乗用車にはねられて死亡する事故がありました。

また、去年のクリスマスにアイドルグループEEJUMPの元メンバーで
千葉県八街市の市議会議員になった後藤祐樹さんが
ガソリンスタンド内で突然バックしてきたトラックに
奥さんの車をぶつけられたとX(旧ツイッター)にアップして話題になりました。

藤田竜太さんも先週、自宅のすぐそばの月極駐車場で
お年寄りが運転する車がバックで急発進して
車止めを乗り越え、他の車に激突する事故も目撃したそうです。

さらに自宅の車庫などで小さな子どもが親の運転する車に
バックで轢かれる事故も毎年のようにあるのは皆さんご存知でしょう。





駐車場に入る時、狭い道で道を譲る時、
道を間違えて曲がり角まで戻る時など、
様々な場面でバック走行を行う可能性がありますが、
前方に走行するのと違って視界の確認は難しく、危険度が高いはずです。
そのバック走行、法令上はどんなふうに規定されているのか確認しておくと

道路交通法第25条に「車両は、歩行者または他の車両などの正常な交通を妨害する
おそれがあるときは、道路外の施設もしくは場所に出入りするための左折もしくは
右折をし、横断し、転回し、または後退してはならない」とあります。

つまり、歩行者の通行や他の車の正常な進行を妨げる恐れがある時は
バック走行してはいけないということですが、明確な基準はありません。
だからこそドライバーはもちろん、バック走行しているクルマの周囲のクルマ、
歩行者、自転車の利用者もしっかり注意しなければいけません。
なお高速道路では、全面的にバックは禁止されているので、そこはお間違えなく。





交通事故総合分析センターの資料によると
死亡事故の1.4%が後退時の事故で軽傷事故でも4.5%がバックでの事故。

数字的に見ると小さい割合に思うかもしれませんが、
車が動いてるときは99%以上前進しているはず。
そう考えると、この割合は馬鹿にできないものがあります。

事故の発生場所で見てみると駐車場やパーキングエリアなどが4割と少し。
交差点以外の道が4割弱、交差点付近が約2割。
歩行者は駐車場内や出入口付近での事故に遭っており、
自転車とバイクは路上で事故に遭うケースが多いようです。





バックでの移動は最小回数、最短距離が望ましいので
道路上で目的地を通り過ぎてしまった場合はバックで戻らず
もう1周して戻ってくる手間を惜しまないようにしましょう。

発進時は車に乗り込む前に目視で後方を確認すること。
駐車枠に止める時はバックで駐車したほうがいいでしょう。
バックで出庫することがなくなるからで「駐車スペースに入れるときはバックで」
「出庫するときは前進で」というスタイルを基本にしましょう。

あとはギアやペダルの位置をしっかり確認してから操作しましょう。
いちばん重要なのはバックで動き出す前に、もう一度、後方を目視で確認することです。
真後ろだけでなくサイドミラーをよく見て、近づく人や車がいないかを忘れずにチェック。
できれば窓を開いて、窓から顔を出し、自分の目と耳で周囲の安全を確認します。
また、バック時にハザードランプを点滅させるのも、被視認性を高めるには良い方法。

最後に慌てずゆっくり進むこと。
バック時は人が歩くぐらいのスピードで危険を感じたらすぐ停止します。
もしも、不安を感じたら何度でもやり直す心の余裕が必要です。





ドライバーの皆さんは、クルマを後方に動かす時は、
ポイントをしっかり押さえた上で安全に操作して下さい。

そして、歩行者の方、自転車に乗っている方は、
バックしようとしているクルマを見た時に
「自分のほうが交通弱者だからクルマが配慮するだろう」といった
安易な予測を元に行動することはやめましょう。
      
バックランプがついているクルマを見たら、
その動線に入らない、いちど停まるということを習慣づけ、
このことを家庭で子ども達にも教えて下さい。
今週のテーマは「駐車場」での事故に注意。
駐車場・・・ クルマが動いていたとしても、
大したスピードが出ているわけでもないから大丈夫じゃないの?
そう思う方がいたら大間違い。駐車場はかなり危険な場所なんです。
今回はモータージャーナリスト 菰田潔さんにお話を伺い お伝えしました。





損保協会のデータによると車両事故の約3割が駐車場で起きています。
内訳は駐車場内の施設の物と接触が3割。道路上の事故が7割。
走行距離に換算すると駐車場は相当危険な場所と言えます。

公益財団法人 交通事故総合分析センターの発表によると
2021年の駐車場での事故数は15,100件。

そのうちの、およそ62%が「車両相互の事故」で9,384件。
およそ31%が「人対車両の事故」で4,641件。
およそ7%が「車両単独事故」で1,075件となっています。

「人対車両」の事故が4,641件。
買い物などにクルマで出かけた時は皆さん公共の駐車場を利用し、
そこにはお年寄りや子どもがいるので注意が必要です。





運転の注意ポイント。
まず、平面式の駐車場で駐車スペースに入る時と出る時については
通路を走る車との接触に気をつけましょう。
駐車場のスペースに入るのも、出る時も【ゆっくり】が基本。

大型スーパーなど、前から車を止めるタイプの駐車場は
バックで通路に出ていくことになり
通路を走ってくる車とぶつかる可能性が高くなります。
最近は横からクルマが来ることを教えてくれる
クロストラフィックアラート機能搭載の車も増えてきましたが、
それがあっても、いつも慎重に「横から車が来るかもしれない」
歩行者がそこの車の後ろを通るかもしれない」と
確認しながら運転しなければいけません。





立体駐車場では、上り下りの両方で通る通路のカーブが狭く感じます。
それは外側を走る車が内輪差で内側に寄ってくるからで、
こちら側の走るスペースがどのくらいあるのか確認しながら走るのがポイント。
また、自分の存在を示すためにヘッドライトをONすることも大切。
まだ相手の視界に入らないうちから「対向車が来る」と気づかせるようにしましょう。





駐車場で「車 対 人の事故」が起きないため、
歩行者側の注意点についてもお伝えしましょう。

菰田潔さんによると車と接触する歩行者は運転免許を持っていない人が多い。
車の後ろ側の白いランプがついていてもバックすることを知らないのでは?
そして、歩行者からは車が大きく見えていますが
運転席のからは見えていないことも少なくありません。
ドライバーがこちらに気がついているかどうかを見極めた上で
車の周囲を歩くようにしましょう。

お年寄りや子どもは指摘されないとわからないかもしれません。
ご家族に高齢者や子どもがいる方は、上記のことを伝えて下さい。





最後に駐車料金を支払う時も気を抜かず、注意しましょう。
Dレンジでブレーキペダルを踏み、届かない所に手を伸ばすと
足が外れて走ってしまうというケースがあります。
Pレンジに入れる、エンジン止めることで事故が避けられます。
実践してください。
去年の11月、交通安全教育、安全運転教育、安全運転管理など、
通事故防止教育に役立つ教育資料、教材、情報を提供している
シンク出版という会社から1つの冊子が発行されました。

「安全運転朝礼話題集」。
朝礼をおこなっている事業所向けに、
スピーチに使える交通安全の話題を集めた本です。

毎日1つずつでも交通安全の知識を身につけることで
ハンドルを握る時の意識が変わってくることでしょう。

どんな内容が掲載されているのか? 
また、刊行した経緯や想いについて、今回はお伝えしました。





シンク出版 編集部 チーフエディター 光田 雄大さんによると
「安全運転朝礼話題集」は実際に起きた交通事故や事件などを取り上げつつ
安全運転に関する話題を「交通ルール」「安全運転の知識」「安全運転意識」
「高速道路」「駐車後退時」「トラブル対処法」の6テーマに分類して合計22話を掲載。
また、それぞれの話題には関連したスローガンを掲載し、これを覚えておくことで、
朝礼話題の内容を思い出して安全運転意識を高めるものとなっています。

A4サイズで全14ページ。
その中に安全運転に関する話題が掲載されてあるんですが、
1つひとつが、そのまま朝礼で読み上げても1分くらいで
紹介できる位のちょうど良いボリュームです





どんな話題が掲載されているのか。
例えば最初にあるのが「横断歩道上の歩行者優先」。
「手を挙げていなくても歩行者に道を譲ろう」というもの。
横断歩道に人が立っていても車は止まらないクルマが問題になっているので
しっかりと止まって歩行者に道を譲れるようになってほしいという内容です。

また、自転車が倒れた時に「当たってないから大丈夫」と思ってしまって
その場を立ち去ってひき逃げになってしまったという事件も実際に起こっているので
何かあった場合には、まずはその場にとどまってその救護活動を行いましょうという内容。

さらに高速道路でトラブルが発生した時に、
正しい対処法を知らずに事故に巻き込まれるケースが多発しているので
事故やトラブルで車が止まった時には、まず車から降りて、ガードレールの外
に速やかに避難するということなどを記しています。





「安全運転朝礼話題集」はシンク出版のウェブサイトで毎日更新している
朝礼話題から特にドライバーに実践してほしい情報を厳選して1冊にまとめたもの。
多くの人が忘れていたり、わかっているけど実践できてない事になっています。
朝礼は気持ちを仕事モードに切り替える絶好の機会。
そうした場で朝礼話題集を活用して、安全運転に関する話題に触れていただくことで、
安全運転意識を高めていただければと思います。





こうした、きっとドライバーなら情報としてはおそらく知っていることも
朝礼の場で多くの人と一緒に聞く、あるいは自分で読むことで、
「交通ルールを守らないと」という意識も高まるように思います。
朝礼をやっていて、業務にクルマの運転に多く携わる方のいる事業所は、
こうした交通安全スピーチを取り入れるといいかもしれません。
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