日本でチャイルドシートの使用を義務付ける
改正道路交通法が施行されたのは2000年4月1日。
欧米各国と比べると、ずいぶん遅い法規制でした。

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子さんによると
交通事故の全体数は現象を続けていたにも関わらず
1994年の6,267人が、1998年には9,598人となりました。
そこで、早急な対策を立てる必要に迫られたわけです。





子どもが6歳に満たなければ装着することは法律上のルール。
しかし、チャイルドシートは罰則を受けないためにするわけではありません。
大切な子供の命を守るために着用するものです。

そして、道路交通法上の使用義務は5歳までですが、
シートベルトが適正に使えるのは身長145cmを超えてから。
身長が足りなければ6歳以上でも相応の安全対策を講じる必要があります。





小学生ぐらいまでの子供がいるお父さん、お母さん。
チャイルドシートをきちんと使っているでしょうか?

自転車生活ジャーナリスト 加藤久美子さんによると
JAFと警察庁がこの20年ほど装着率の合同調査を続けていますが
やっと去年、0歳〜5歳の装着率の平均が7割を少し超えました。

「20年経ってやっと7割…というところではあるけれど、
最初の頃に比べればじわじわと上がってきているかな」というところだとか。

加藤さんは装着率はチャイルドシートをつけずに事故に遭った時の恐ろしさを
親がどれだけ分かっているかどうかが反映されると指摘します。
「事故なんてそんなに起こらないし、子供も嫌がるから、面倒だからいいか」。
さらにおじいちゃん、おばあちゃんが嫌がる子どもを見て
「子どもをチャイルドシートに括りつけるなんて可哀想」と
お嫁さんが困ってしまうことも少なくないそうです。
こうした親の意識、祖父母の意識が着用率の低さに繋がっているのです。





そして、ここが大きな問題なのですが、
使用率が7割超えたといっても、実はそのほとんどが不適正な使用!
チャイルドシートには、乳児用、幼児用、学童用、3種類ありますが、
乳児用で95.7%、幼児用で91.2%が不適正使用という結果が出ているのです。

チャイルドシートの不適正な使用は危険を増幅します。
乗車中に事故に遭い、傷を負った6歳未満の致死率を比較すると
平成26年から30年までの合計で、適正使用していた場合は0.03%ですが、
不適正使用合は0.65%と20倍以上に跳ね上がっています。
チャイルドシ不適正に使っていると全く使わないよりも致死率が高いのです。





今週の「なるほど! 交通安全」は,
『スピードを出しすぎた結末・・・』でした。





このGW、東京はかなりクルマの交通量が減っています。
ほとんどの人が不要不急の外出を控えているからでしょう。  

ただ、時にはスーパーに買い物へ、
あるいは、やらなければいけない仕事、
必要な用事で出かけることもあるでしょう。
そんな時に公共交通機関を避けて、
マイカーを利用する人が増えているようです。

ある調査によるとコロナ禍がクルマの利用状況に
どんな影響が表れているかを調査したところ
「減った」人が30%いる一方で「増えた」人が20%いました。
いつもはあまりクルマを運転しない人が、
ハンドルを握る機会が増えているのかもしれません。

そうした方はもちろん、日常的にクルマに乗っている人でも、
道路が空いているからと、ついスピードを出し過ぎてしまうのは危険。
それに速度超過は、もちろん道路交通法違反です。





運転に必要な情報の90%以上が視覚に依存すると言われていますが、
走らせているクルマの速度が早くなるほど視界は狭くなります。
時速30キロだと100度ある視界は時速70キロだと70度に。
時速130キロだと、わずか30度になってしまいます。
つまりは、速度が速いほど、危険に気づきにくくなります。

そのその危険に気づかない時間もクルマは走り続けているわけですが
1秒間にどのくらいクルマは進むのかを見てみましょう。


<時速30キロ> → 約 8m

<時速60キロ> → 約17m

<時速80キロ> → 約22m

<時速100キロ> → 約28m






そして、クルマの進行する動きに対して、
ブレーキを踏んでも直ちに停まることはできません。
運転中に何らかの危険に気づき、停車するまでには3つの段階があります。


1.危険の認識→(空走距離)→2.ブレーキを踏む→(制動距離)→ 3.クルマが停まる


?「危険を認識」してから?「クルマが停まる」までの距離を『停止距離』と言います。
停止距離=空走距離(?から?まで)+制動距離(?から?まで)。
空走距離も制動距離もスピードが出ているほど長くなるので
必然的に、速い速度で走っているほど、停止距離は伸びます。

一般的な目安として言われているのが

<時速 20キロ> 空走距離6m 制動距離2m 停止距離 8m

<時速 40キロ> 空走距離11m 制動距離9m 停止距離20m

<時速 60キロ> 空走距離17m 制動距離20m 停止距離 37m

<時速 80キロ> 空走距離22m 制動距離36m 停止距離 58m

<時速 100キロ> 空走距離28m 制動距離56m 停止距離 84m

<時速 120キロ> 空走距離33m 制動距離81m 停止距離 114m



例えば、前方30mで子どもが飛び出してきたとしたら
時速50キロだと停止距離は27mなので危険を回避できますが、
時速60キロでは停止距離37mなので危険を避けることはできません。





また、衝突してしまった場合、
当然、衝撃はスピードを出しているほど大きくなります。
およそ1.5t(TOYOTAプリウスぐらい)のクルマに乗っているとしましょう。

走行速度別の運動エネルギー量は、時速30キロを基準にすると、
45キロで2倍以上、60キロで約4倍、80キロで7倍以上、100キロで11倍以上です。
その結果、クルマが歩行者と衝突した時に時速30キロで致死率10%が、
時速50キロだと80%以上にもなってしまいます。

そんな事が起こってしまったら悲劇でしかありません。
現在の状況で道路が空いているからといって、
スピードの出し過ぎには、決してしないようにしてください。

全国の中学校・高校が臨時休校になっていますが、
本来なら新年度を迎えたばかりのこの時期、
新たに自転車通学を始めた学生がたくさんいたはず。

その人たちは緊急事態宣言が解除されると自転車で学校に通い出すでしょう。
でも、気をつけて下さい。中高生の自転車登・下校は、なかなか危険です。

今週は自転車安全利用コンサルタント 北方真起さんにお話を伺い
『自転車での登・下校に気をつけて』をお送りしました。





自転車関連の交通事故は全国的に減少傾向にあります。
少子化の影響で中高生の人数も減少しています。
そんな中で中学生・高校生自転車事故の割合は全国で増えています。

数で言うと平成30と死亡重傷事故に遭った人は1162人。
そのうち命を落とした人は19人いました。
時間帯別に見ると朝の7時台・8時台が最も多く、
次いで夕方4時台・5時台・6時台が多くなっています。
つまりは登・下校の時間。





北方さんによると気をつけてほしい事故例のパターンは大きく2つあります。

1.事故の多発箇所、裏道交差点の事故。
  その事故の相手方の大半は、車、そして出会い頭の事故がほとんど。
  ポイントとして「裏道」「出会い頭」「車」。


2.中高生が加害者となる自転車が関連した死亡事故です。
  中高生の通学時の自転車事故のうち、全体の約2割が自転車側の中高生加害者。
  自転車事故と聞くと被害者のイメージを持つ方人が多いかもしれません。
  そうではないので、加害者にならないようにという意識が必要。



過去5年の「自転車 対 歩行者」事故を自転車運転者の世代別で見ると
10歳〜19歳が555人、36%と最も多くなっています。
北方さんから自転車を利用する中高生へのアドバイスは4点ありました。

1.自転車は車両であるという意識をしっかり持って利用する
  前後左右の安全確認をしっかりする。
  自転車乗用中のスマートフォン、ヘッドホンの使用は禁止。


2.しっかり整備点検を行う。
  ライトて点灯するか? ブレーキが効くか? 
  出会い頭の事故、加害者にならないためにも、この2点の確認は入念にする


3.ヘルメットを着用する。
  ヘルメット着用の有無で死亡率を比べるとしていないほうが2.4倍。
  中高生になるとヘルメットをかぶりたくない割合が増えますが
  保護者の方も子供がヘルメットをきちんとかぶるよう促しましょう。

4.自転車保険に加入する。
  これは子供自身がが行うことではないので保護者がしっかり行なう。



自転車保険の加入に関しては、
“義務化”されている都道府県も少なくありません。
その点、ご注意ください。

中高生はもちろん、他の世代の方も、
自転車に乗る時には充分に気をつけましょう。



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