日本列島は梅雨が明けてきて本格的な夏が到来。
しばらく暑い毎日が続きそうですが
今回はこれからの時期に気をつけたい「タイヤのバースト」について。
お話を伺ったのはモータリングライター 藤田竜太さんです。





まず、タイヤのパンクとバーストはまったくの別物です。
パンクはタイヤの空気が徐々に抜けていく現象。
一方でバーストはタイヤの接地部などが破裂してタイヤ構造そのものが壊れる現象。
バーストする際には、大きな破裂音を伴うのが特徴です。
burstは英語で破裂・爆発の意味と考えるとわかりやすいですね。


タイヤのバーストの原因にはいくつかあります。
一番の原因は空気圧不足。空気圧が低いと走行中にタイヤがたわんで変形します。
変形したタイヤは、ゴムがよく動いて発熱するので、バーストしやすくなるのです。
また、傷の放置も原因になります。特にタイヤの側面が縁石などに当立って、
タイヤ内部のカーカスコードが切れてコブのように盛り上がる傷ができると、
バーストの危険が高まります。また、タイヤが古く、ひび割れがあるような場合、
そのゴムの劣化がバーストの原因になります。





タイヤのバーストは、特に夏休みシーズンに注意喚起がなされています。
実際、去年のお盆時期8月11日〜16日の5日間にあったJAFへの救援要請のうち
タイヤのパンク・バーストを原因とするものは9,567件ありました。

夏にタイヤのバーストが増える理由の1つが長距離ドライブが増えること。
そして、人も荷物も満載する機会が増えるから。
タイヤが空気圧に依存する割合は90%とされていて
1本のタイヤが支えられる荷重は空気圧に比例します。

例えば、乗用車のタイヤで指定空気圧が2.2kg/㎠のタイヤがあったとします。
そのタイヤからエアーが抜けて空気圧が1.8kg/㎠まで落ちたとすると
タイヤの負荷能力は1本あたり480kg/㎠から410kg/㎠ぐらいまでダウン。
1本で70kg/㎠ですから4本では280kg/㎠もの負荷能力が落ちることになり
そこに人と荷物を満載して高速道路を長距離走るとタイヤは耐えられずバーストするのです。

加えて、真夏の道路の表面温度は60℃を超えることもあります。タイヤはゴム製。
一般的にゴムは熱で柔らかくなり、変形するので、夏はバーストしやすいと言われています。





夏休みのお出かけ途中でタイヤがバーストなってことがあったら楽しみが台無し。
しっかり、予防をしましょう!

一番大事なのは定期的な空気圧の点検と調整。
特にロングドライブ前はディーラー/自動車整備工場/カー用品店/
ガソリンスタンドなどで必ず空気圧をチェックすること。
同時に目視でタイヤに傷などがないか、溝に異物が挟まっていないかを確認しましょう。

溝が残っていたとしても古いタイヤは使わない。
ゴム製品のタイヤは新品から4〜5年使用したら走行距離に関わらず交換するのが基本。
その際は純正タイヤと同等以上の荷重指数、いわゆるロードインデックスのタイヤを選んで下さい。
ロードインデックスはカタログで確認できますが、自信のない人はタイヤ専門店に相談しましょう。





運転中はバーストやパンクの予兆に気をつけましょう。
空気圧が低くなって、たわんだタイヤには道路との設置面が変形する
「スタンディングウェーブ現象」が発生して、妙な揺れが起こるので察知すること。

国道や高速道路を速いスピードで走行している時、
いきなりタイヤがバーストしたら大事故になってしまう危険があります。
対策、注意、怠らないようにしましょう。
信号のない交差点は危険なポイント。
優先道路を把握せず、またルールに則らず交差点に侵入すると重大な事故が起きかねません。
今回は日本自動車ジャーナリスト協会 会長で日本自動車連盟 交通安全委員会 委員も務める
菰田潔さんにお話を伺い「信号のない交差点の安全走行」についてお伝えしました。





信号がない交差点で、交差する道路のどちらが優先か?
判断する基準の1つが、一時停止標識の有無。
これは一時停止の標識が無い方が優先です。

ただ、優先道路を走っていた時に、交差する道から来る車両のことを気にせず
スピードをそのままに交差点に入ってしまい、一時停止しない自転車と衝突する事故例もあります。
注意してください。

次の判断基準が中央線や車両通行帯の有無。
これは車両通行帯や中央線がある道が優先です。
さらに、道幅が違う場合は、もちろん広い道の方が優先。
この場合も広い道を走っているからといって油断しないようにしましょう。

そして、信号機がなく、一時停止もなく、中央線や車両通行帯もなく、
道幅も同じ場合、日本は左側通行なので、左方優先の原則があります。
十字路で下から来るクルマと右から来てるクルマがいれば左方は下から来てるクルマ。
上から来てるクルマと左から来てるクルマがいる場合には上から来るクルマが優先です。




最後に交差点で左折をする時には少しずつ左に寄って曲がる原則を守って下さい。
左に寄らないで左折しようとしたクルマが曲がり始めた時に
交差点を渡ろうとしている横断歩行者がいて止まったとしたら
クルマの前部は左に向いていても後部は後ろの直進するクルマの邪魔をしている状態になります。
曲がるためにブレーキを踏む前に余裕を持ってウインカーを出すと
後続車が動きを読んでスムーズに走れるようになります。
ベテランドライバーから、こういう周囲に気を配った運転を始めましょう。




5月に国会で道路交通法の改正案が成立しました。
これによって決まったのが、自転車利用の交通違反の取り締まり強化。
改正法の施行は「今後2年以内」とまだ先ですが
改正のポイントを知っておきましょう。





自転車の安全利用促進委員会 メンバーの遠藤まさ子さんによると
自転車利用の違反に対する罰則強化の背景は、
交通事故は減少傾向にあり、自転車に関わる交通事故も増えてはいませんが
自動車同士の事故や二輪車と自動車の事故が減っている分
自転車に関わる事故件数が、相対的な割合が増えているとことがまず1つ。
また、自転車利用が高まったこともあり、歩行者との事故が増えて、
自転車側が第1当事者、すなわち加害者になる確率も高くなっているので
安全な交通社会を実現するための措置だと考えられるといいます。





今回、導入される自転車利用の違反に対する反則制度の対象は16歳以上。
大きなポイントはクルマやオートバイと同じように自転車にも反則金が発生する
いわゆる「青切符」が切られるようになることです。

青切符の対象となる行為は110以上。
中でも「信号無視」、停止すべきところで止まらない「一時不停止」、
スマートフォンを使っている「ながら運転」、歩道を走る「歩道通行」、「逆走」など
重大な事故につながる恐れのあるものが、重点的な取り締まり対象です。
反則金の金額は現在検討中で「原付に準じたものになるだろう」と
遠藤まさ子さんはおっしゃっていました。





そして、特に危険で悪質な20数種類の違反行為については青切符ではなく、赤切符の対象になります。
例えば「酒気帯び運転」「あおり運転」、「スマホのながら運転」をしていて歩行者に接触するなど
危険を生じさせた場合は赤キップの対象として
反則金ではなくて検察庁に送致されることになります。

今の30代から50代は小学生の時に歩行者としての交通安全教室は受けていても
自転車に関する交通安全教室は受けず、法律も学ぶ機会がなかった人が多い世代。
子供の方が自転車の法律に関して詳しいという逆転現象も起きているそうです。

2023年は自転車に乗っていて交通事故で命を落とした方が、
8年ぶりに前年を上まわってしまい、前年比7人増の346人。
「自分は運転免許を持ってるから大丈夫」とか
「自転車は免許がいらないから歩行者と同じ」という感覚を捨てて
いま一度、自転車の交通ルールを見直しましょう。

今後2年以内に、自転車利用者に対する罰則が強化された改正道路交通法が施行されます。
反則金を払わないためというだけではなく、ケガをしたり、命を落としてしまう人がいない、
安全な交通社会実現のため、ルールを知り、守って、自転車を利用して下さい。
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