今週と来週は警察庁 交通局交通企画課 大竹和美さんに
大切なポイントを伺います。
今回の春の交通安全運動の全国重点は3つあります。
  

(1)子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保
         
(2)自転車の安全利用の促進
         
(3)歩行者等の保護を始めとする安全運転意識の向上

      
   
今回は「子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保」について聞きました。
去年、令和2年に交通事故により亡くなる・重傷を負ったのは637名。
小学生が、どんな時に事故にあいやすいかというと、最も多いのは下校中。
学年では1、2年生。新学期を迎えたあとの5月、6月に事故が増加する傾向にあります。
歩行中、その中でも飛び出しによる事故が多いのも特徴です。

お父さん、お母さんは子どもを守るため、
安全な横断の仕方をしっかり教えてください。

まずは、横断歩道を渡ること。
次に、横断する前には、必ず、立ち止まり、
右や左から車が来ないかよく確認してから渡ること。
青信号でも車が止まっていることを必ず確認しましょう。
そして、横断歩道では、手を挙げたり、
運転手に顔を向けるなどして横断する意思を明確に伝えること。
最後に、横断中も周りに気をつけること。
                 
高齢者の歩行中の事故は横断中の事故が約8割と最多。
その内容を見ると、他の世代に比べて、
横断歩道ではない場所での横断や走行車両の直前直後の横断など
交通違反があった割合が高くなっています。

身のまわりに高齢者の方がいらっしゃるのであれば、
折を見て注意を促すようにして下さい。

交通事故全体でも亡くなる人の半数以上が高齢者。
歩行中に限らず、運転中でも自分では気付かない体の機能の変化もあります。
ご家族も一緒に交通ルールや安全運転について話し合ってみてください。

去年4月、文芸社から『しんごうきの名前はぼんちゃん』という絵本が刊行されました。
文章を書いたのは、大阪府警察に勤めていた西浦美恵子さん。
今週は、この絵本を、ご紹介しました。





ぼくの名前は、「ぼんちゃん」
学校の近くにある、しんごうきなんだよ。
あれれ?? かわいい声が、聞こえてきたよ。

「おはよう」
「おはよう」
「きのうの 、ボール遊びは、楽しかったね」

ぼくは、学校に行く時の、みんなの、わらい声が大すきなんだ。
ぼくはねぇ、大きなひかるお目めが、三つ(みっつ)も、あるんだよ。
みんな、見たことが、あるかな?
右から、「赤色」、「黄色」、「青色」の、三つだよ。
三つの色のいみって、知ってるかなぁ?

「赤色」は、とまれだよ。
「黄色」も、とまれだよ。
「青色」は、すすんでもいいよ。



信号機「ぼんちゃん」は子どもが大好き。
いつもドキドキ、ハラハラしながら見守っています。
そして、事故に遭わないよう、メッセージを送っています。

西浦美恵子さんは、子どもたちが交通ルールと交通について
優しく学ぶことができるよう、この物語を考えました。
例えば信号の見方。横断歩道の渡り方。
遊んでいる時にボールを追いかけても、飛び出したらダメ。
駐車場の後ろでかくれんぼをしてたら車が急に動いて事故になる、とか。
ぼんちゃんが子どもたちに語りかけるのです。

イラストレーター 陣条和榮さんが描いた絵は、
「ぼんちゃん」や子どもたちが生き生きと描かれていて
絵本を読む子どもにメッセージがよく伝わると思います。

40年の警察勤務を終えるにあたり、
西浦さんの心に、いちばん残ったのが“交通”についてだったそうです。
交通事故防止のために頑張る同僚・先輩の姿に感銘を受けたこと。
子どもが交通事故に遭ってしまった家族の悲しさ。
自分が何かできないかと思い物語を創作。
出版社に送ったことが、この絵本の刊行に繋がりました。

こうした絵本を親子で一緒に読んだ上で、
外出した時に、実際の信号機を見せて、
「黄色や赤はいけないよ」と伝えると、
より子どもの心に残ることでしょう。

「1番の指導者はお父さんお母さん。
日頃から繰り返し交通安全について教えることで子どもの命が守れるんじゃないかと」。

そして、絵本の中には今ではあまり見られなくなった「指切りげんまん」が出てきます。
お母さんとの約束事って大事。約束したことは守ろう。
そういうことも大事かなと思い、西浦さんは盛り込んだそうです。

『しんごうきの名前はぼんちゃん』は文芸社から
本体価格1,000円で発売されています。

去年6月に公布された改正道路交通法により
いわゆる「あおり運転」を直接取り締まることができる
「妨害運転罪」が新たに定められました。

その後、警察がウェブサイト内で情報提供を呼びかける動きが出ています。
今週は口火を切った「岡山県 あおり110番 鬼退治ボックス」について
岡山県警察 交通指導課 課長補佐 川崎慎人さんにお話を伺いました。

開設のきっかけは、あおり運転など、
悪質危険な運転に起因する交通死亡事故や、
暴行、傷害といった事件が発生して大きな社会問題となったこと。

取り締まりを求める県民の声が高まり
あおり運転などの危険な運転の検挙や抑止を目的として、
ホームページ上に情報提供ページをつくりました。





開設してからの1年間集まった投稿は1098件。
そのうち830件で動画や写真などの情報提供がありました。
今年に入っても2月末現在までで135件。

例えば、前の車が進路変更をしたことをきっかけに
後ろの車がクラクションを鳴らした、
これによってクラクションを鳴らされた車が鳴らした車に対して、
ブレーキを踏んでみたり、鳴らした車が進路変更するところを
前方で塞ぐように合図なく妨害するように進路変更したり、
そのあと止まってトラブルになったというような情報提供がありました。

また、同じく後ろを走行している車に対して、
何回も進路変更をして幅寄せをして
後ろの車の通行を妨害するような動画もありました。

悪質なこのような妨害する運転だけでなく、
信号無視をしたりだとか、合図を出さない車両など、
様々な危険な交通違反をする車両の情報提供があるそうです。





こうした情報については実際に捜査にも乗り出します。
最初の進路変更を契機として双方の運転手がトラブルになった事例については、
道交法改正前、まだ妨害運転の罰則ができる前だったので、双方から状況を確認。
それぞれの違反について反則切符ということで検挙をしております。
2番目の事例については幅寄せした運転手を妨害運転罪ということで検挙しました。

その他の違反に関する情報提供にしても、
その動画を参考に管轄の警察署で捜査を行って検挙した例もあります。
また、その情報を参考に取締りの活動に有意義に使っているそうです。





先月、長野県警が、やはり「あおり」の被害者や目撃者からの
情報提供を受け付ける「あおり通報BOX」を、
新潟県警が「あおり運転」と「飲酒運転」の情報を受け付ける
「あおり運転BOX」と「飲酒運転BOX」をウェブサイト内に開設。
こうした動きは、さらに広がっていくかもしれません。
存在が広く知られるようになれば抑止力にもなるでしょう。





みなさんがお住まいの都道府県警察でも、
情報提供BOXを開設しているかどうか調べてみて下さい。

そして、自分が「あおり運転」をする側にならないよう気をつけましょう。
「妨害運転罪」は重いです。

他の車両等に道路で交通の危険を生じさせるおそれのある運転をした場合は、
懲役3年以下または50万円以下の罰金。
違反点数25点で運転免許取消し。欠格期間2年。

高速道路などで他の自動車を停止させ、
その他、道路で著しい交通の危険を生じさせた場合は、
5年以下の懲役または100万円以下の罰金。
違反点数35点で運転免許取消し。
欠格期間3年です。

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