クルマを運転する時、確認しにくいのが後ろの安全。
車体の死角部分があり、障害物で見にくいこともあり、注意が必要です。
今週のテーマは「クルマ後方の安全確認」。
JAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんにお話を伺いました。





国土交通省は今月、道路運送車両法に基づく保安基準などの改正を行い、
2輪車などを除く自動車に対し、車両直後の障害物を確認できる
カメラやセンサーなどの装置を備え付けることを義務付ける方針です。

新型車については2022年5月以降、
継続生産車についても2024年5月以降に適用となる予定。

車のすぐ後ろは運転席からは死角となり確認することは難しいもの。
バックカメラやセンサーがあることで死角を少しでも減らし、
見落としを防止する効果を期待できます。

ただ、もうしばらく時間がかかりますし、
「バックカメラ」があっても頼りきりはよくありません。

公益財団法人交通事故総合分析センター ITARDAが発表している
2008年から2017年の10 年間に発生した死傷事故のうち
後退事故が占める割合は増加傾向にあるとされています。

歩行者が巻き込まれる事故については、
特に駐車場などで歩行者が巻き込まれるケースの割合が増加。
後退事故を起こした車の運転手の年齢を見てみると
若い運転手からベテランの人まで広く分布しているので
常にバックする時は危険を意識する必要があります。





駐車場にはお年寄りや子どもいて
バックに進行している時はそれほどスピードが出ていないとはいえ危険。
バックカメラ搭載のクルマに乗っている人も気をつけて下さい。

バックカメラは運転席から見えない後方を確認できる便利な装備。
でも、後方すべてが映るわけではありません。
また車の側方や前方など、映らない場所もあるので、
駐車場などで周囲に止まっている車の影から歩行者が出て来て
ぶつかってしまうことも考えられます。

また、前向きで駐車して後ろ向きで動き出す場合は、
左右の車、後ろの道路、確認するべきポイントが多くなります。
どこか見落としがあれば、それが事故に繋がりかねません。





いわゆる”前方”と比較して“後方”は角度が広い。
前方が100度だとすると260度。
範囲が広い上に、いろいろな理由で見にくさが伴います。
何もないか? クルマや自転車や人が近づいてないか?
しっかりと確かめるようにしましょう。

その時に重要なことはギアをリバースに入れてからすぐ車を動かさず
ミラーやバックモニター、目視も組み合わせて安全確認してから動かすこと。
不安な場合は車を止めていちど降りて目視で安全確認する必要もあります。

縁石や背の低いポールなどの障害物は、
バックモニターを使っていても死角になりがち。

特に遠出した目的地に到着した時には、
早く車を止めようという意識が働きがち。
安全に停車するまで気を緩めずにしっかり安全確認して下さい。





対物や対人事故ではなく、物損事故だったとしても、
大事にしているクルマに傷がつけば凹むと思います。
多くのドライバーはバックがあまり得意ではないもの。
慎重にいきましょう。

例年にない早さで梅雨入りしている日本列島。
ふだんからクルマを運転する方は認識していると思いますが、
晴れている時と比べて雨の日は危険。
しばらく続く雨の季節の始まりに再確認しましょう。





雨の日は路面が滑ります。
それは濡れたタイヤは道路との接地面が少なくなるから。
ブレーキを踏んでから停車するまでの「制動距離」はある実験によると・・・


<時速60km/h>

乾燥している路面 20m
濡れている路面 28m


<時速80km/h> 

乾燥している路面 36m
濡れている路面 50m


当然、スピードが出ているほど滑ります。
雨天時には速度を控えて走るよう心がけて下さい。

また、タイヤの摩耗も滑る原因になります。
新品のタイヤは溝の深さが8.5ミリから8ミリ。
乗っているうちにタイヤはすり減って溝が浅くなります。
1.6mmあれば車検は通りますが
専門家は4mmぐらいでの交換を推奨しています。

以前、JAFは新品タイヤと2分山タイヤのクルマ
2台を時速100km/hで走らせて
ブレーキをかけてから停まるまでの距離を測りました。
新品タイヤが47.6 m。二分山タイヤが70.5m。
タイヤの溝をチェックしておきましょう。





また、雨天時はあたりの薄暗さと
クルマのウィンドウに付着する水滴で視界が悪くなります。

首都高速道路 株式会社の調査では、
交通事故数を天候の時間を鑑みて比較すると
雨天時は晴天時のおよそ5倍。
AFによると雨天時の深夜は、
晴天時のおよそ7倍も交通事故が発生しています。

雨の日の交通事故の起こりやすさは路面が滑ることに加えて
「視界が悪くなる」という要素もあるからでしょう。
双方向で気をつけなければいけません。

まずは、自分の視界が悪くならないよう努めましょう。
フロントガラスの油膜を除去する
ワイパーのゴムが劣化していたら交換する
サイドミラーに撥水剤を塗るなど
視界が確保できるよう対処をします。

もう一方で、他のクルマや自転車、歩行者に早く気づいてもらえるよう
昼間でも暗い道路環境であればライトを点灯してください。





ここ数年、梅雨前線が長い間、同じところに停滞。
大雨となるケースも少なくありません。
より一層の警戒心を持つように心がけたいものです。

これまで土砂崩れが発生したことがない場所でも
土砂災害が発生する危険があります。
大雨の予報が出ていたり、土砂災害警戒情報が出ている時は、
可能な限り山間部での運転は控えて下さい。

しばらくは雨が多い日々が続きます。
あらかじめ雨の対策をきちんとしつつ、
運転時はスピードを出さず、周囲に配慮して、
事故を招くことを避けましょう。




安全安心で快適な自転車生活が送れるよう
購入時の選び方や交通ルールなどの情報を発信する「自転車の安全利用促進委員会」が、
公益財団法人 交通事故総合分析センター ITARDA提供のデータを調査・分析して
『2019年 都道府県別 自転車通学時事故件数ランキング』を発表しました。

今回は自転車ジャーナリスト 遠藤まさ子んにお話を伺い、
その調査結果について考えました。





このランキングは中学生と高校生に分けて分析。
「件数」ではなく「人口1万人あたりの事故件数」で
リアルな「危険度」をあぶり出そうとしています。
2019年版のワースト3は・・・

【中学生】  3位 佐賀県  2位 香川県  1位 群馬県

【高校生】  3位 宮崎県  2位 静岡県  1位 群馬県


ワースト1位の群馬県は小数点以下四捨五入で、
高校生 人口1万人あたり109件。中学生 人口1万人あたり34件。
高校生のほうが多く、気をつけるべきですが、前年比ではマイナス7%。
中学生は前年比でプラス15%。ワースト2の香川県も、前年比プラス16%。
中学生も注意が必要です。





自転車通学時の中学生・高校生についてt
どんなことが交通事故に繋がっているのかというと
並走、イヤホンをしながらの運転。

その他、傾向から考ると、スピードを出しすぎている、一時停止を守らない、
そして車道の右側を逆走してくるケースなどがよく見受けられます。

中高生に多い傾向としては、基本的な交通ルールを認識してないがために、
左方優先や矢印式信号を読み込めない。
赤信号と青信号の違いが分からない状況で事故を起こしているケースもあります。





自転車通学時の事故”と聴くと『自転車が被害者になるケース』だけを
イメージしていた方もいるかもしれませんが
『自転車が加害者になるケース』もあり、高校生ではその件数が増えています。

気をつけたいのは信号が無い交差点。
交差点という意識が無くなり一時停止を守らず
歩行者とぶつかってしまうケースがよく報告されているといいます。





自転車はスピードや重量で特に子どもやお年寄りに対しては、
凶器となり得るということを認識する必要があります。
事故の被害者になることはもちろん、加害者になることも避けたいもの。

自転車通学する中高生の子どもには
自転車は”車両である”と注意を促してください。

中高生の自転車通学。交通事故の被害者にも、加害者にもならないよう、
中高生自身は認識を高め、保護者の立場にある方は注意を喚起しましょう。




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