自動車の火事「車両火災」について考えたことはありますか。
実は「車両火災」は、1年に結構な件数が起きています。





令和2年に起こった車両火災の件数は3,466件。
火災全体の1割に相当します。
10年前は5000件以上あったので、かなり減ってはいます。
しかし、それでもまだ1日平均で10件弱も発生していることになります。






車両火災と聞くと「交通事故で?」想像するかもしれません。
でも、交通事故に起因するのはわずか3%。
    
自動車コラムニスト 山本 晋也さんよると
1つのパターンはマフラーの熱と周囲の状況が原因になるもの。
車両火災の原因の16.3%を占めて最多。
例えば、駐車している場所に枯れ草や紙があると、
それがマフラーの熱で燃えてクルマに引火する危険があります。

2つ目のパターンは、たくさんある配線のショートに起因するもの。
こちらは全体の9.2 %と2番目に多い原因。
経年劣化によって配線の膜が破れ、
そこでショートが起きたことによって複雑に絡まった配線が引火。
車両火災に発展してしまいます。
また、自分でクルマに電装パーツなどを取り付けていると
配線が不適切でショートを起こす事もあるそうです。





山本晋也さんによると
車両火災は注意すれば防げるケースがほとんど。

駐車する場所に枯れ草や紙などの燃えやすい物が無いか確認する。
とくにマフラーの周りは要注意。
車内でタバコの火を落としてしまわないよう気を付ける。
太陽熱で破裂して火種になるライターを車内に置きっぱなしにしない。
夏場は制汗スプレーも同様です。

こうしたことをきちんとやっていても
車両火災が起こってしまって、そこに居合わせた場合は
初期消火できなければ、もう消すことはできません。
エンジンを切り、クルマから離れて119番、消防車を呼びましょう。
火が出た時に高速道路を走行していた場合は
路肩にクルマを止めて道路の外側に脱出、非常電話で助けを求めます。

車両火災の危険を考えた事が無かった方も多いかもしれません。
今日の情報を頭のどこかにメモしておいて下さい。

 


1月4日、警視庁は令和3年中の交通事故死者数を発表しました。
その数、2,636人。1948年の統計スタート以来の最小記録を更新。
始めて3千人を下まわった去年よりも203人減りしました。
これで5年連続の過去最低更新です。

喜ばしいことではありますが、
一方でいまだ2,636人もの命が失われているという現実があります。
重く受け止めなければなりません。
今週は「令和3年中の交通事故死者数」についてお伝えしました。





交通事故死亡者の全国統計が始まったのは1948年(昭和23年)。
最初の年はアメリカ統治下にあった沖縄は除いて3,848人でした。
やがて、高度経済成長期に入った日本は交通事故死者数も増えていきます。

統計開始から10年が過ぎた1959年(昭和34年)に1万人を突破。
さらに10年が経ち「第一次交通戦争」のピーク
1970年(昭和45年)には16,765人を記録しました。

一方で、この頃には増加の一途を辿る交通事故を何とかしようと
国を挙げての取り組みも始まっていました。
それが功を奏して1971年からは交通事故死者数は減少。
1979年(昭和44年)に8,466人、ピークの半分ほどになります。

ところが、昭和が終わる頃から再び増加。
1992年(平成4年)には11,452人となりました。
この「第二次交通戦争」の背景には運転免許保有者数や自動車の増加、
運転技能が十分ではない若い運転者の急増があったとされています。

再び国をあげての交通事故対策。
法律や道路環境の整備、交通安全の啓蒙活動が行われ
効果が始めたのが1993年(平成5年)。
以後、時に前年を上まわる年がありながらも
交通事故死者数は減少しています。





さまざまな情報より社会の交通安全に対する意識の強まりが高まったのでしょう。
また、今回お話をお聞きした一般社団法人 安全運転推進協会の平石 章さんは
車両の安全性の向上や衝突回避システムの導入、
医療技術の向上が挙げられるのではないかと話して下さいました。





しかし、全体として減少する中で心に留めておきたいことがあります。
それは交通事故死亡者の中で増えている高齢者の割合。

2001年の交通事故死者数は前年比7.2%減ですが高齢者は4.8%減。
その結果、全体に占める割合は57.7%と過去最高に達してしまいました。





これは“割合”の話。
ゼロにならない限り、どこかの世代が減れば、どこかの世代が増える。
比較が難しいところではあります。

とはいえ、高齢者の交通事故死亡者数は前年から4.8%減りつつも、
全体に占める割合は 57.7% で過去最高。
具体的な数字では1,596人から1,520人になっていますが、
減少の仕方が他の世代と比べて緩やか。

高齢者と同居している方、高齢者が身近にいる方は、
クルマの運転や、徒歩や自転車での外出について、
機会があれば注意を促すようにして下さい。





最後に人口10万人あたりの交通事故死者数が多い都道府県
ワースト5を紹介しておきましょう。

5位 高知県 
4位 愛媛県 
3位 香川県 
2位 山梨県 
1位 徳島県 
      

該当する県住む方は特に気をつけましょう。




この番組を通勤するクルマで聴いて下さっている方は多いでしょう。
寝坊したり、出かける準備に時間がかかったりと朝の運転は急ぎがち。
休日のクルマでのお出かけも「○時までに着かないと!」と急ぐこともあるでしょう。

でも、焦る気持ちは危険。事故を誘発しかねません。
今回は九州大学 大学院 教授で交通心理学が専門の志堂寺 和則さんにお話を伺い
「急ぎの心理が運転に与える影響」をお伝えしました。





運転に限らず、日常生活で急いで何かをやり始めると
気持ちが落ち着かず、雑になったり、荒っぽくなってしまいます。
運転でも同じだと志堂寺教授は言います。

ゆったりとして冷静な状態で何かに急ぐ自分を想像してみると
あまりいい方向にはいかないだろうなと思いますよね。
判断を誤る、行動を間違える、ムダも多い。

それをクルマの運転に当てはめると、
急ぐ気持ちはスピードを出すことに繋がります。

クルマを運転している時に得る情報の9割が視覚から。
スピードを出えば情報量が多くなり、危険も増える、
それに対して人間の注意力には限界がある。
少し極端な比較ですが時速40kmで走行するドライバーの視野は約100度。
それが時速130kmになると約30度にまで狭くなります。

つまり、危険に対応できない”機会”が増えていくわけです。
そして、少しでも早く着きたいので車線変更を頻繁に行う、
信号が変わろうとしているのに止まらずに突っ込んでいく。
もう、危険しかありません。





そして、急ぎ焦る運転は他の危険にも繋がる可能性があります。
雑になり、荒くなるため、あおり運転と受け取られかねません。
そう感じた他のドライバーのあおり運転を誘発する可能性もあります。
このことを頭の片隅に置いておきましょう。

そんな事態にならないよう、
気が急いた運転をしないポイントは2つあると志堂寺教授は言います。

1つは余裕のある運転計画を立てる。
目的地に到着しなければいけなない時間があるのなら
それよりも5分〜10分余裕を見て出発をする。

もう1つは普段の生活からゆっくりとやる習慣をつける。
いくら何かの時に急がないようにしようと思っても急ぐ習慣がある人には無理。
クルマの運転も例外ではないそうです。
大切なのは1つ1つに丁寧な生活スタイルを身につけること。
それが安全運転の基本になります。





これを読んだドライバーの皆さんは「急いだ運転は危ないな」と思ったはず。
確かに「雑」で「粗い」生活習慣は様様なところに様様なカタチで表れるでしょう。
日々の暮らしを丁寧に積み重ねて自動車の運転に反映されるように心がけたいものです。
«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 43 | 44 | 45 |...| 161 | 162 | 163 || Next»