3月になりました。
今はスギ、このあとでヒノキ。花粉の飛散がピークを迎えます。
クルマの運転にも影響を及ぼすのが花粉症。
今週のテーマは『ドライバーの花粉症対策』でした。





花粉症の主な症状の1つが「くしゃみ」。
運転時に出てしまうと思わぬ危険を招く可能性があります。

例えば2016年4月。
愛媛県でこんな交通死亡事故が起こりました

花粉症の症状で前方を注視しにくい状態にあったにもかかわらず
運転を続けていたところ、連続したくしゃみの影響でハンドル操作を誤り
対向車線から自車がはみ出て軽自動車と正面衝突。
軽自動車を運転していた方が亡くなり、同乗者2名も重軽傷を追いました。

時速60キロで運転したとして
くしゃみで0.5秒、目をつぶったとすると
クルマは、およそ8メートル進む計算になります。
時速40キロだと、くしゃみで1秒目をつぶると約11メートル。
そこに危険が潜んでいる可能性があります。





花粉症に由来する「目のかゆみ」も
視覚からの情報入手を妨げるかもしれません。

さらに「鼻づまり」。
呼吸しにくいことが集中力低下や睡眠不足に繋がり、
安全運転を阻害しかねません。
花粉症の方はクルマに乗る時にあらかじめ対策をしましょう。





JAF東京支部 事業課 交通環境係 栗原 悠羽さんによると
花粉の飛散が多いと予想される時には
車内に花粉を持ち込まない工夫をする事が大切です。

まずは車に乗る前に服や荷物についた花粉をよく払う。
シートやフロアマットなども叩きましょう。
そして、普段から車のシートに掃除機をかける、粘着クリーナーでコロコロする
ハンドルダッシュボード等を水拭きする、花粉を車内に持ち込まないよう努めて下さい。

走行中に花粉を車内に入れたくないという思いから
空調モードを外気導入ではなく、ずっと内気循環にしている方もいるでしょう。
しかし、どうやらその効果はない上にリスクが伴います。

実はJAFで「外気導入」と「内気循環」
どちらが車内に花粉を集めてしまうか実験した事があります。
結果はどちらも大して変わらなかったそうです。

一方で、車内の二酸化炭素の濃度には大きく影響が出ました。
内気循環モードでは二酸化炭素濃度がだんだんと上がっていたのです。

そうなると眠気や頭痛を感じることもあるので
花粉がある状況の中でも外気導入モードに切り替えたり
窓を開けたり、換気を心がけたほうがいいようです。





そして、花粉症で薬を服用している方もいるでしょう。
でも、クルマを運転する時には気をつけて下さい。

薬によっては眠気やだるさが出てしまうものもあり
個人の体質や体調との関連で運転に集中できなくなるかもしれません。

病院で処方されるものは注意事項をよく読む、説明を聞く、
市販薬を購入する時には運転に支障がないか入念にチェックしましょう。

そして、薬を服用しての運転は場合によっては道路交通法違反になることもあります。
道路交通法の第66条には「何人も過労、病気、薬物の影響、その他の理由により
正常な運転ができない恐れがある状態で運転してはならない」と記述があります。
このことも覚えておいて下さい。

クルマの運転にとって花粉症はコワイなと思った方は多いはず。
花粉は車内に持ち込まないよう注意を払い、薬の服用は気をつける。
花粉のせいで思いがけない事故を呼びこんでしまわないように気をつけましょう。



運転免許証をとったあとは、
誰かに教わる、注意されることがなくなるクルマの運転。
自分で当たり前にやっていることが、他のクルマにとっては迷惑だったり、
危険の種を蒔いていることがあるかもしれません。

今回は JAF東京支部 事業課 交通環境係 栗原 悠羽さんにお話を伺い
「ヘッドライト・ウインカー・ハザードの正しい使い方」についてお伝えしました。
いま一度、自分の運転に照らし合わせてみて下さい。





【ヘッドライト/前照灯】

市街地を走る時は対向車や前方を走る車のドライバーの
視界を遮らないようにすれ違い用前照灯、いわゆるロービームを使います。
そのため都市部で生活しているとロービームは基本になっていることでしょう。
しかし、ヘッドライトの基本はハイビーム。
対向車や先行する車両がいない場合の原則です。






【ウインカー/方向指示器】

右折・左折の時は30メートル前から。
車線変更する時は3秒前から。

ウインカーを出さないのは問題外ですが、5年前にJAFが行ったアンケート調査では
『ウインカーを出さずに車線変更や右左折する車が多い』という設問に対して
「とても思う」と「やや思う」と答えた人を合算すると7割いました。
気をつけましょう。






【ハザードランプ/非常点滅表示灯】

一般の自動車の規定としては「夜間、幅5.5m以上の道に停車、
または駐車しているときは、非常点滅表示灯か尾灯をつけなければ」いけません。
走っていて路肩などに停車する場合はハザードランプかテールライトをつけましょう。

もう1つはスクールバスの規定。
「小学校などの児童、生徒または幼児の乗降のため停車しているときは
非常点滅表示灯をつけなければいけない」というもの。
これは一般の乗客を乗せるバスやタクシーなどにも採用されています。





これらの照明装置はドライバー同士のコミュニケーションに使われることがあります。

★「ありがとう」を伝える“サンキューハザード”

★ 交差点で右折しようとしているクルマに
  対向車が「どうぞ 先に曲がって下さい」と伝えるパッシングライト

★ 同じように譲る意思を伝えるため
  ヘッドライトをスモールライトにするライトカット



こうしたコミュニケーションは気持ちよくクルマに乗ることに繋がりますが
実は意思表示の出してと受けての認識の違いで危険も生じることがあります。

例えば、自分の前に車線変更したクルマが入った時
ハザードランプを点灯させたので「ありがとう」というメッセージかと思ったが
実はその前に渋滞があって停止するよというメッセージだった場合。
スピードを減速するつもりがないと衝突してしまうかもしれません。

またバッシングは譲る意思を示したつもりが、
嫌がらせをしたととられてトラブルになる可能性があります。

ライトカットは相手から見づらくなってしまうことや
発進をした時に再度ライトをつけ忘れてしまうといったことも考えられます

こうしたことから、思いやりを持つことは大切ですが、
本来の使用目的は何か? 考えたほうがいいかもしれません。

都市部で電動キックボードに乗る人が急増。
それに比例して事故や危ないシーンも増えています。
街で危ない利用を見かけたことがある方も多いでしょう。

先月下旬、警視庁が2021年に東京都内で起こった
電動キックボードを当事者とする交通事故の発生状況を公表しました。

これを受けて、今週は交通問題を中心に執筆しているジャーナリスト
中島みなみさんにお話を伺い「電動キックボードの交通安全」についてお伝えしました。





前述の警視庁発表によると2021年に東京都内で起きた
電動キックボード関連の交通事故は68件。
そのうち人身事故が18件。物損事故50件でした。

当事者は若い層に多く、68件中、20代が36人。
30代が19人。40代6人。その他 7人です。

電動キックボードは立ち乗りのオシャレ感や
歩くには少し遠い距離で利用するには手軽な乗り物。
ヨーロッパの都市部で広がって日本でも話題となり年々増えています。

2020年に大学構内での実験から始まったシェアリング事業者の電動キックボード拠点は
わずか2年で東京・大阪・神奈川・京都・福岡など全国の主要都市に広がっています。
去年の個人所有の車両販売台数は約5000台になりました。





そんな状況の中で、どんな事故が起きているかというと
例えば、昨年6月に大阪で女性に衝突したひき逃げ事故がありました。
被害者の女性は首の骨を折る重傷。
運転していた男性は運転免許証は持ってたものの
歩道を車道なみの時速30kmで走っていました。

同じ6月には東京の新宿でも無免許で赤信号を無視して
タクシーと衝突する事故が起きました。
この電動キックボードを運転した女性は無免許でした。





こうした状況を生んでしまっている原因の1つは
利用者が登場した電動キックボードの規則を正しく認識していないこと。
それには無理からぬ、混沌とした理由もあります。

電動キックボードは基本的に運転免許保持者が原付バイクと同じルール。
原付バイクと同じ安全装備と安全性能が求められます。

しかし、電動キックボードのシェアリング車両では
国内展開を目指したい事業者の働きかけにより最高速度が時速15kmに抑えられました。

その一方で道路交通法の特例でヘルメットの着用が義務ではなく任意となったり
一方通行を逆走できたり、大きな交差点で二段階右折をしなくてもいいなど
大幅に緩和された特例が認められているのです。

こうした車両によるルールの違いは、
この春にも国会に提出される道路交通法改正案で統一される見込みですが
今は個人所有とシェアリング車両では交通ルールが違うことに注意して下さい。





2021年の東京都の電動キックボードの交通違反摘発数については
個人所有よりもシェアリング車両のほうが少ないという結果が出ています。

全体で207件のうちシェアリング車両の違反は55件でした。
これは事業者が利用前の登録で免許証を確認したり
動画で道路交通法のルールの理解度テストを設定しているためだと考えられます。

しかし、去年8月には渋谷区でシェアリング車両を酒気帯びで運転した人が
救急車に追突する物損事故も起きました。
結局は運転する人の自覚が重要だということですね。





環境に優しく、ちょっとした移動に早くて便利
いい季節なら気持ちいいし、オシャレでもある電動キックボード。
ただ、今は多くの人が見かけると眉をひそめる存在になってしまっています。

利用する人はクルマやオートバイと同じように
交通ルールと交通マナーを守り、有意義に使いましょう。

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