クルマの運転中に眠気を感じたことは誰もがあるでしょう。
中には居眠りしている自分にふと気づいたという
コワい経験をしたことがある方もいるかもしれません。

もうすぐ夏休み。
クルマで出かけることが多い時期です。
今週は「居眠り運転をしないために」をお届けしました。





居眠り運転が原因の交通事故はたびたび起きています。
去年11月、岡山県 総社市の国道で
幼稚園に通うために横断歩道を渡っていた女の子2人と
それぞれの母親の4人が乗用車にはねられ、
女の子1人と、別の女の子の母親が、一時意識不明の重体となりました。
居眠りをしながら運転し、赤信号に気づかず4人をはねたとして、
過失運転傷害罪に問われている65歳の男性は、
先月、地裁で禁錮3年の実刑判決を言い渡されています。


もう1つ。
今月5日の午前4時40分ごろ、
神奈川県 川崎市の県道で乗用車が信号機の柱に衝突、
電柱が粉々に砕ける事故が起きました。
事故を起こし、軽傷を負った22歳の女性は、
「居眠り運転をしていた」と話しているということです。

居眠り運転は、歩行者・自転車に乗る人・他の運転者と、
自らの命も危険を脅かします。気をつけなければいけません。





今回、コメントをいただいた睡眠が専門の
雨晴クリニック 院長 坪田 聡 医師によると
運転中に眠気に襲われる最大の原因は睡眠不足。

現代の日本人はほとんどが睡眠不足に陥っているとのことで
前の日の睡眠時間が短かかったり、睡眠不足が長く続いてる時は、
運転中に眠くなってしまうことが多いようです。

そのほか、道路の形状にほとんど変化がなく、
ハンドルやブレーキの操作をしない時も眠気がやってきやすい。

また、体の周期で1日で眠気が強くなる時間があり
午後の3時から4時、午前3時から4時ぐらいに居眠り運転が多く
事故も増えると言われているそうです。

さらに天気では日光の刺激がある晴天や、
緊張感がある雨の日ではい、曇りの日が眠くなりやすいそうです。





適切な睡眠時間は人によって異なりますが、
厚生労働省は成人の場合、6時間から8時間の睡眠を推奨しています。
ただ、坪田医師によると同じ睡眠時間でも体温が下がる夜間には深い睡眠がとりやすく
早朝以降には体温が上がってくるので睡眠が浅くなる傾向があるそうです。
睡眠をとるタイミングにも注意が必要です。





質の良い睡眠をとっていれば、居眠り運転のリスクは減ります。
坪田医師による睡眠の質を良くするための注意点。

1つは光のコントロール。
寝る前に携帯やパソコンを見て明るい光を浴びてしまうと、
夜ぐっすり眠りにくくなります。

2 番目に大事なのは食事の規則性。
朝昼晩きちんと同じ時間に食事をとると体内時計が順調に回るので
昼は眠くならず、夜は眠くなる状態になります。
朝ご飯を食べないという人も多いと思いますが、
眠気ということを考えると、しっかり食べた方がいいようです。





ここまで運転中に眠くならないための情報をお伝えしてきましたが、
それでも眠くなってしまうことがあるかもしれません。

眠気に襲われた時の対処方法の1つは仮眠をとること。
もう1つは眠気に対抗することです。

眠気に対抗するというのは体の神経を活性化して眠気を減らすこと。
例えばコーヒーを飲んでカフェインを摂る。
カフェインには脳の細胞に働いて眠気を感じなくさせ る働きがあります。
また、ガムを噛む顎の運動は目を覚ますセロトニン神経を活性化します。
歌を歌う、光を浴びる、運動をする、冷たい水で顔を洗う。
身体と脳に何か刺激を与えることをしましょう。





これからの夏休み。
クルマで遠出することもあるでしょう。
最後に坪田医師から運転する前の日の注意点です。

長距離運転をする前日は睡眠不足にならないようにして下さい。
お酒は思ってる以上に残ることあるので少なめに、早めに切り上げる。
眠気が強くなりやすい午前3時 〜 4 時、午後3時〜から4 時ぐらいの運転はなるべく避ける。
反対に、いつも布団に入るの2 時間 〜 4 時間ぐらい前は眠気が少ない時間帯。
有効に使うことが大切ですとのこと。

長距離運転については、出かける時よりも帰って来る前日に気をつけたいですね。
旅行先や帰省先で夜更かししてしまうとか、飲みすぎてしまうとか。
生活を整えて、居眠り運転に陥らないようにしましょう。

今年はすでに東北以外の地方は梅雨が明け、
猛暑が日本列島を襲っています。

クルマの乗車についても注意すべき時期。
真夏の車内は危険です。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 杉本 実さんによると
JAFのテスト結果では気温 35 度の炎天下にある窓を締め切った車は、
エンジンを停止させてからわず30 分後に車内温度が約 45 度。
その後も上昇を続けて、3 時間後には 55 度を超えたそうです。

車内の熱中症指数としては5 分を過ぎると「警戒」域に入り
10 分で「厳重警戒」、わずか 15 分で「危険」域になります。
そんな環境なので気をつけないわけにはいきません。





まず気をつけなければいけないのは、
夏になると毎年報道される子どもやペットが車内に残される事故。

これには意図して車内に残して行くケースと
車内にキーを残したまま外に出て、思いがけずドアがロックされてしまう、
「キー閉じ込み」のケースがあります。

去年8月の1ヶ月間、JAF が出動したキー閉じこみの救援のうち
子供やペットが車内に取り残されていたのは全国で 98 件、
子供が 75 件、 ペットは 23 件あったそうです。
このうち緊急性が高いと判断してドアのガラスを割って救出した ケースは 2 件。

原因には子供に鍵を持たせていたらロックボタンを 押してしまった、
犬が誤って運転席のドアロックボタンを押したというものがありました。
乳幼児は体温調節機能が未発達。少しの時間だから寝ているからなどの理由で
車内に子供を残したまま車を離れることは危険です。
キー閉じ込みのトラブルにならなくても熱中症を引き起こす事故になりかねません。
また、高齢の方は体温の調整機能が落ちて暑さを自覚しにくいと言われています。
大人だから暑ければ自分で外に出るだろうと車内に残して離れないようにしましょう。





次に気をつけなければいけないのは熱中症。
JAFが以前、オンライン調査『あなたの熱中症を教えて』を展開したあところ
3571 あった回答のうち 431 件が「車内で熱中症になった」、
もしくは「なりかけた」という内容だったそうです。
中には家族を迎えに行っている運転中、
エアコンを切っていたら熱中症になりかけたという人もいました。

車内で熱中症というとペットや子どもの事故に接することが多いですが、
ふつうの大人も侮ってはいけません。やはり水分補給が大切。
汗をかくと体内のミネラルや塩分が放出されてしまうので
経口補水液やスポーツドリンクをこまめに飲みましょう。

また、体温上昇に注意が必要です。日に当たらないように工夫しましょう。
運転席助手席は 車に常備されているサンバイザーを使って日差しを防ぐ。
また、常備されたサンシ ェードや市販のサンシェードなどで日差しを防ぐ。
特に小さな子どもや高齢者を乗せる時には要注意。
後部座席に日差しを遮る色がついたドアガラスを使っている車もあるので
そうした車の場合は後部座席に乗ってもらうようにしましょう。





JAFではかつて対策別に車内室温の変化を確認する実験を行ないました。
「車体に水をかける」「冷却スプレーをシートにかける」「ドアを開閉する」など
インターネット上では車内温度を下げる様々な方法が挙げられていますが、
JAFのテストでは、いずれも車内温度を大きく下げる効果は期待できないという結果でした。





上の図をご覧ください。
唯一、大きな効果が証明されたのがエアコン+走行。
まずは窓を全開、エアコンを外気導入にして走り出し、
車内の熱気を出したら窓を閉め、内規循環にして、室内温度を下げる最も効果的な方法。
その後、室温が下がって安定したら、外気導入に切り替えましょう。
疲労感増加や注意力の低下、眠気や頭痛の原因となる CO2 濃度を増加させないためです。

しばらく続く暑い夏。
車内の環境にも充分に注意してカーライフを送って下さい。


クルマを運転していて踏切を渡る時、
安全には十分に気をつけているでしょうか。
ひとたび事故が起きてしまうと、大惨事になりかねない場所が踏切。
今回のテーマは「車で踏切を渡る時」でした。





「踏切での事故なんて、そうそう起きるものでもないだろう」。
そう思う人は多いでしょうか。
インターネットで「車」「踏切」「事故」と入れて検索をかけると
事故や、事故になりかけた事例が出てきます。


<ケース1>

6月22日 午後4時40分ごろ 滋賀県甲賀市の近江鉄道踏切で、
湖南市の会社員(32)の乗用車と日野行きの列車が衝突した。
列車の乗客約35人と乗用車の運転手にけがなどはなかった。
滋賀県警甲賀署によると、乗用車が踏切内で立ち往生したといい、
原因を調べている。



<ケース2>

6月19日午前11時50分ごろ、
群馬県高崎市の上信電鉄馬庭―西山名間 天神谷戸踏切で、
高崎行き上り普通電車が同市の農業の男性(72)の軽トラックと衝突。
男性は前橋市内の病院に搬送され、骨盤骨折などの重傷。
電車の乗客乗員にけがはなかった。



<ケース3>

6月12日 午後7時15分ごろ
JR神戸線 宝殿−曽根間の踏切で乗用車が立ち往生。
踏切の非常ボタンが押されたため、東加古川−姫路間の上下線で、
1時間半にわたって運転を見合わせた。乗用車と電車との接触はなかった。






最近の10日ほどで、これだけ起きているわけですから、
他人事ではありません。

日本の場合は踏切はいかなる場合も、遮断機があって信号機があっても、
必ず一時停止が原則です。

踏切での事故の多くは、
踏切の中でクルマが立ち往生することから起こります。

国際モータージャーナリスト 清水和夫さんによると原因の1つは高齢者の運転。
遮断機のあるところで一時停止すると
高齢者にとって再発進のための右足の動きが少し複雑。
もたついてしまうこともあります。

そして、年齢に関わらず、踏切を渡った先に信号機があった場合
赤信号だと踏切を渡り始めたはいいが先が詰まっていて
渡りきれず、クルマの一部が踏切の中に残ってしまうことがあります。





道路交通法には自動車の踏切の走行が規定されています。

「車両等は、踏切を通過しようとする時は、踏切の直前で停止し、
かつ、安全であることを確認した上でなければ進行してはならない。」


踏切では、遮断機が下りていなくても、
踏切の手前で一時停止する必要があります。

その上で、踏切の中で立ち往生してしまうことがないよう
踏切を渡った向こう側にクルマが進めるスペースがあることを確認、
左右の安全をしっかり確かめて発進します。

道交法に規定はありませんが、渡る前の安全確認の時点で、
車の窓を開け、列車の接近がないことを、耳で確かめましょう。





清水和夫さんによると、
なるべくスムーズに早く渡り切るっていうことが大切。
その際、路面の凹凸が激しく、ハンドルが取られる踏切もあるので注意する。
また、歩行者や自転車、オートバイも一緒に渡ろうとすることもあるので
他の交通参加者との関係にも注意を払う。
なかなか難易度が高い交通のユースケースです。

ニュースでは高齢者の踏切での立ち往生が多く伝えられます。
同居しているご両親や、おじいちゃん・おばあちゃんには、
踏切には気をつけるよう、日頃から声をかけて下さい。

万が一、立ち往生してしまった時の対処法も大切です。
速やかに車から降りて踏切に設置されている警報のボタンを押す。
頻繁に利用する踏切は警報ボタンがどこにあるか確認しておきましょう。
この対処法も家族や友人、知人と共有しておきたいところです。





まったく知らない踏切や
いつも渡っているのでわかっているつもりでいる踏切が、
特に危険かもしれません。
大惨事を招きかねない踏切の利用には気をつけましょう。
   
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