見通しの悪い交差点や車の死角ができる場所を
車で走行中に「危ない!」と思った時、
事故を未然に防ぐ最大の手段がブレーキです。

運転をしている時は常にブレーキを意識して、
すぐに踏めるようにしているのが優れたドライバーの条件。

今回は『理想的なブレーキの使い方』と題して、
運転を科学する株式会社 ディ・クリエイト 代表取締役
上西 一美さんに話を聞き「構えブレーキ」と「予測ブレーキ」について伝えました。





まずは「構えブレーキ」。
これはプロの運転手の業界で足をアクセルから離して、
ブレーキペダルを踏まずにいつでも踏めるようにしておく動作のこと。

上西さんによるとアクセルを踏み込んだ状態から
ブレーキに踏み替えるまでは一般に0.2秒とされています。

0.2秒はわずかな時間ではありますが、
40km/hで走っていると1秒で11メートル進むので
0.2秒だと2メートルから3メートルほどとなります。

この違いで接触事故になるかならないかという状況が出てきます。
1cm手前で止まれたら事故にならないかもしれません。
だから、プロ運転手の業界では、その0.2秒をとても大事にしています。





この「構えブレーキ」を特に使うべきところは信号がない交差点、
特に道路幅5.5メートル以下の、いわゆる「生活道路」。

生活道路の交差点には信号がなく
交差する道路の一方が一時停止になっていることが多いもの。
そして、そうした交差点は往々にして見通しが悪い。
そのため徐行指示がありますが、徐行ではブレーキが間に合わないかもしれません。
だから「構えブレーキ」の必要性があるのです。

さらに、人は想定せずに運転していた場合
咄嗟にブレーキを踏んだつもりが、アクセルを踏んでしまうことも多い。
その意味で「構えブレーキ」は、踏み間違えないという効果もあります。





続いては「予測ブレーキ」。
これは経験上「なんだか危ないな」と思ったら、とりあえず軽くブレーキを踏む運転行為。
そうすれば本当に危険が目の前に現れても、さらにブレーキを踏めばいいわけですし、
万が一、事故になってしまった場合でも、より小さな事故で済む可能性も生まれます。





「もしもの時はハンドルで事故を避けられる」と思っている方もいるかもしれません。
でも、上西さんによると、ハンドル操作で事故を回避しようというのは、
「このままだったらぶつかってしまう」っていう時の緊急対処。
もしも、ハンドル操作でその事故が回避されたとしても
後続車と当たってしまったり、他のリスクが生じます。
つまり、その最終手段を使わなくて済む運転を心がける必要があります。

それが足をブレーキペダルに置いて、
いつでも踏める状態にしておく「構えブレーキ」と
危険な匂いを察知したら、とりあえず軽く踏む「予測ブレーキ」。
この2つを日頃の運転に取り入れて、事故を呼び込まないカーライフを続けましょう!




梅雨のシーズンを迎えた日本列島。
これからしばらく雨の中の運転が増えますが、対策はいかでしょう。
快適な車環境が、日々の安全運転につながります。

今週はJAF東京支部 交通安全インストラクター 
内藤 康介さんにお話をうかがって「車の雨対策」をお伝えしました。





雨が降っている時の運転が危険な理由の1つは、
水滴がフロントガラスやミラーについて車外の状況が見えにくくなるから。
視界の悪化を防ぐケアをしておきましょう。

主なポイントはワイパーとガラスとミラーです。
ワイパーは拭きムラや使用時に筋ができはじめたら
ゴム部分が劣化している可能性があるので交換しましょう。

ゴムを交換しても拭きムラや筋ができたり、音が出ている場合は
ワイパーブレードというゴムを固定している部分の劣化も考えられるので
これも交換する必要があるかもしれません。

ワイパーゴムやワイパーブレードは自分でも交換可能ですし
自動車販売店やカー用品店でも比較的短時間で交換してもらえます。
不安があればプロに点検・交換してもらうようにしてください。

そして、ガラスもミラーも綺麗にします。
見た目が綺麗でも油分がついていると
ワイパーを交換しても拭きムラが出る恐れがあります。
その場合は油膜を取ったり、撥水スプレーを使いましょう。





そして、ドライバーの視界不良の1つの原因がフロントガラスの曇り。
曇った時は適度にエアコンをつけましょう。
そのためにエアコンもチェックしておいて下さい。
エアコンのメンテナンスに関しては、専門的な知識がかなり必要
自動車販売店などのプロに任せることをお薦めします。





そして、視界不良とは別に、
雨が降っている時の運転が危険な理由がスリップ。
タイヤの溝をチェックして必要であれば履き替えましょう。

タイヤの溝にはタイヤと路面の間の水を外に排出する重要な役割があります。
溝が摩耗しているとスリップしやすく、ハイドロプレーニング現象が発生する危険も生まれます。
ハイドロプレーニング現象は、路面とタイヤの間に水の膜ができて、
ハンドル操作やブレーキが全く効かなくなる現象のこと。
溝があっても発生することがありますので注意が必要です。





新品タイヤの溝は8mmぐらい。
JAFの実験では、それが3.1mmほどになると、
ブレーキをかけてから停まるまでの距離が1.5倍にも伸びたそうです。

タイヤは溝が当初の半分の4mmになったら替え時。
4mmあるか? チェックしてみて下さい。
ちなみに1.6mm以下で走行していると道路交通法違反。
覚えておきましょう。


今回お話を伺った内藤さんは、
「ご自分でのメンテナンスが不安な方は販売店、整備工場、カー用品店に相談して下さい」
「また、自分で大丈夫という方も、方法を間違えると事故に繋がるので、
説明書を確認して、少しでも不安があればプロに任せることが安全です」と
おっしゃっていました。





内藤さんから雨の日の運転のアドバイスは
まずは、晴れの日よりも速度を落として車間距離を空けること。

首都高速道路のデータによると、
首都高速の雨の日の交通事故は晴れの日の7倍。

また、ゲリラ豪雨や猛烈な雨は視界が大幅に悪化させます
昼間でも前がほとんど見えないという場合もありますし
アンダーパスなどの道路が冠水する恐れもあります。

だから、猛烈な雨が降っている時は無理を運転を続けず
安全な駐車場などに車を止めて雨が弱まるまで待ちましょう。
雨の日は晴れの日に比べて危ないという意識を忘れずに運転して下さい。

今からでも遅くありません。
雨の季節に向けたクルマの準備をしっかりして、
運転する時には、いつも以上に、安全に注意を払いましょう。




交通事故が最も起きている場所は交差点内。
その交差点内で起きている車両相互の事故のうち
「出会い頭」に次いで多いのが「右折時」。
今回は右折する時に心がけるポイントをお伝えしました。





今回のコメントは日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員も務める菰田潔さん。

右折は直進や左折と違い、対向車線を横切って、
交差する道路へと入る、危険ポイントが多い運転行為。
大切なのは早めにウインカーを出して右折の意思を示すこと。
道路交通法では交差点の30m手前でウインカーを点灯するルール。
しかし、幹線道路などでは走行速度が速いのでより早めの意思表示。
まずは「周りに右折の意思を示す」ことを心がけましょう。





右折しようと思っている時。
信号が青で右折車線があれば交差点の中に入って
なければ車道の先頭で対向車がなくなる瞬間を待ちますが、
この時にも待ち方と右折するタイミングには要注意。

交差点の真ん中で右折待ちをすることになりますが
車をセンターラインに近づけてまっすぐ止めることが大事なポイント。
車を斜めにして待っていると後続車が通り抜けにくい。
周りのクルマへの配慮も持つようにしましょう。





右折時に起きやすい事故が2パターンあります。
直進車と衝突する右直事故と「サンキュー事故」と呼ばれるもの。

右折のタイミングは菰田さんをもってしても難しいそうで
後ろの車がイラついたとしても安全を優先して待つそうです。
それは見切り感覚で右折すると曲がった先の横断歩道に人がいることもあり得るから。

安全マージンをたっぷりとって「十分に安全」というところで初めて右折をしましょう。
「待ってる時間が長いと渋滞するじゃないか」と思うかもしれませんが、
実は事故を起こした方がより渋滞になる可能性があります。





サンキュー事故は思いやりが生んでしまう皮肉な事故。
「“右折をどうぞ”と譲る側のドライバーはあえてスピードを落とし
空間を空けてあげたほうが安全です」と菰田さんはおっしゃっていました。

中には、右折できるとなると「邪魔にならいように早くいかなきゃ!」と
焦ってしまう人も多いかもしれません。
右折の時は無闇に急いだり、慌てたりせず、
ハンドルを切ったその先に“危険”があることを想定して慎重に臨みます。

右折するクルマが関わる交通事故で多いのが「右直事故」。
直進する車と右折する車が衝突するもの。
1つのパターンは複数車線の道をまたいで右折する時。
注意を払って右折斜線まで移動したものの
対向車線から来る車が結構な勢いで来てしまったケース。
3車線や4車線の道もあり、陰に隠れた車が来ている可能性を想定しましょう。





交通事故が最も起きる場所「交差点」。
その中でも多い「右折時」の事故に充分に注意して下さい。


«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 20 | 21 | 22 |...| 161 | 162 | 163 || Next»