1985年から1990年にかけて3作品が公開された
ハリウッドの人気SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ。
その2作目でマイケル・J・フォックス演じる主人公マーティが
恋人とタイムトラベルしたのは自分の時代から30年後の2015年10月。
 
つまり・・・「今」。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からリアルな30年後が到来!
ということで、実際のところ、クルマはどのくらい進化したのか? 
今から30年後はどうなるのか? 今週は「クルマの未来」を追跡。
コメントは自動車評論家 松下 宏さんでした。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる車デロリアンはステンレス製。
30年前はほとんど全ての部分が鉄で作られていたり、
樹脂になっているのはわずかな部分だけでした。
従って重くて燃費も悪かったのです。

ガソリン1リッターあたり10キロ〜15キロも走れば充分。
ところが2015年の今ではアルミが車に使われるようになり、
内装部品やエンジンルーム内の部品などには熱に対応できる樹脂が使われ、
車が軽くなって燃費が格段に良くなりました。
今度発売になるTOYOTAプリウスは1リッターあたりの走行距離はおよそ40kmです。

そして、エレクトロニクス技術の進歩とそのクルマへの導入も見逃せません。
「アイドリングストップ」や「自動ブレーキ」など自動車のコンピュータ制御は今では常識。
クルマをITネットワークに繋げて情報を入手する
「コネクティヴィティ・システム」搭載車も増えました。
もちろん、クルマの安全面も進歩しています。

松下さんによると、ボンネットの部分やトランクの部分を上手く潰れるようにして、
クッションにして、しっかりした柱の中に囲み、
車に乗る人を守るというクルマの設計思想が普及して安全性が向上しました。
もう1つの安全は、クルマが危害を加えることを、
自動ブレーキによって防げられるようになってきました。
人間を見分けるタイプも増えていて人間がいたらブレーキがかかる、
対クルマではさらに見分ける事が容易なので、
クルマ同士の事故はずいぶん減っているということです。

こうしてあらためて考えてみると、クルマはやはり進化しています。
そんな中、2015年の今、未来を担うクルマとして注目されているのが、
EV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)。
ただ、松下さんによると、この2つには課題もあります。

電気自動車は電池の値段が高いので価格も高い。
また航続距離はカタログ上、200〜220kmとなっていますが実際のところは半分ほど。
だから、普及は始まったものの、現状では限界があるだろうとのこと。

そして、水素を燃料に発電して、電気で走る燃料電池車。
トヨタが「MIRAI」を発売しましたが水素ステーションをたくさん設置しないと普及は進みません。
1つのガソリンスタンド設置が1億円かかるとすると、
水素ステーション1つの設置にかかる費用は5億円。
国の補助金などを使って水素ステーションの数を増やそういている段階です。

ここ数年、欧米や日本が、
未来に向けた試験をスタートさせたのが自動運転。

松下さんによると、現状の研究開発では、
高速道路の一定区間を自動で走らせることは簡単に出来るのですが、
信号のある一般道路でも自動運転が出来るかと言うと出来ていません。
街中では障害物は多くなるので、その辺の研究開発を進めている段階です。

今後、問題となるのは、どこまで自動運転をさせるか?とうこと。
人間の出来る事はいずれ車にも出来るようになる。
しかし、自動運転の車が事故を起こした時に、
ドライバーに責任があるのか? クルマが悪いのか?
法律的な整備や社会的な合意を形成する必要があります。

将来的にはボタンを押せばクルマが目的地まで自動に走ることが目指されています。
ただ、自動車メーカーは車の走る楽しみを無くしたくないので嫌がっているのが実情。
逆に言うとドライバーに基本的な責任を持たせたいというのが、
自動車メーカーの考え方だという松下さんのご意見です。

それでは自動車評論家 松下宏さんの描く30年後のクルマ社会は・・・

第一に、水素インフラが整備され、燃料電池車が圧倒的に普及。
ハイブリット車よりも売れています。

電池の性能も上がり、価格が安くなったため、
街を中心に電気自動車もたくさん走るようになってなっています。

自動運転も30年後であれば完成形に近いところまできています。
当面は高速道路の一定区間や、幹線道路を中心にして、
それ以外はドライバーが運転するという段階から進んでいくだろうとのこと。
障害物を避ける機能も進化して、交通事故はほとんど無くなっています。

果たして30年後のクルマ社会どうなっているのでしょうか?
ほぼ完全に近い「交通安全」を実現させたいものです。



30日(水)まで秋の全国交通安全運動の実施期間。
今週は先週に続いて平成27年の「秋の全国交通安全運動」を追跡しました。
スタジオにお迎えしたのは警察庁 交通局 交通企画課 西村和市さん。

「秋の全国交通安全運動」で重点に置かれている3つのポイント2つめは
「後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」
運転する時にシートベルトの着用は義務。
ところが警察庁とJAFが合同で実施している調査によると、
去年の一般道におけるシートベルト着用者率は、
運転席や助手席はともに9割以上に対して後部座席は4割以下。

中にはエアバッグがついているから
シートベルトを着けなくても大丈夫という人もいるそうですが、それは間違い。
エアバッグはシートベルトを着けていてこそ本来の安全性能が発揮されます。
シートベルトを着けていない状態で事故を起こすと、
車内でエアバッグに衝突し怪我をしてしまう可能性もあります。

後部座席でシートベルトを着けていないと、
事故に遭った時に、車内で全身を強打したり、車外に放出されかねません。
同乗者の命を守るのは運転者の責任。
自分自身だけでなく、大切な同乗者を守るため、
全ての座席の人にシートベルトを着用させるようにして下さい。

そして、小さい子供をクルマに乗せる時はチャイルドシートを必ず着用させること。
チャイルドシートも交通事故時の被害を軽減します。
法律上、使用が義務付けられているのは0歳から5歳。
でも、子供の年齢が上がるにつれて使用率が低くなる傾向があります。 
成長の程度に違いがあるので子供の体格にあわせたチャイルドシートを使ってい下さい。

チャイルドシートで気をつけるべきことは正しく使うこと。
固定するベルトが緩んでいたり、中には固定もしないで、
ただ置いてあるだけといったケースも見受けられるといいます。
チャイルドシートは使用方法を誤ると効果がありません。
取扱い説明書などに従って正しい使用をして下さい。

そして「秋の全国交通安全運動」
重点ポイント3つめは『飲酒運転の根絶』。
お酒を飲んだら運転をしないのは当たり前のこと。
それでも飲酒運転はなくなりません。

昨年中の飲酒運転による人身交通事故件数は4,000件以上。
飲酒運転をした違反者に理由を聞くと、アルコールに対する甘い考えがあります。
「自分は運転がうまいから」「通いなれた道だから」
「お酒に強いから」「ちょっとしか飲んでないから」など
自分勝手で都合の良い理由をつくって飲酒運転をしています。
その自分勝手な振る舞いが誰かの命を奪うことを考えるべきです。

当然、飲酒運転には、厳しい罰則があります。
酒酔い運転の場合で、5年以下の懲役又は100万円以下。
酒気帯び運転でも3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で運転して死亡事故を起こせば、
危険運転致死罪が適用され、1年以上20年以下の懲役が科されます。
その他、行政処分として、運転免許が取り消されます。
最も長い場合で10年間は免許を再取得できません。

事故を起こした場合は、刑事処分だけでは済まず、
民事裁判等で多額の損害賠償を求められるケースもあるなど、
運転者本人や家族の人生を一瞬で変えてしまう、取り返しのつかない結果となります。

飲酒運転は一緒にいる人の責任でもあります。
飲酒運転の車に乗ったり、運転者にお酒を飲ませたり、飲んだ人に車を貸さないとこと。
こうした行為も処罰の対象となりますので絶対にしてはいけません。


今月は21日(月)〜 30日(水)まで秋の全国交通安全運動の実施期間。
今週と来週は平成27年の「秋の全国交通安全運動」の追跡です。
話を伺うのは警察庁 交通局 交通企画課 西村和市さんです。

「秋の全国交通安全運動」で重点が置かれているのは、
「子供と高齢者の交通事故防止」を基本として3つのこと。


1) 夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
   特に、反射材用品等の着用の徹底及び自転車前照灯の点灯の徹底

2) 後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

3) 飲酒運転の根絶


夕暮れ時や夜間は事故が発生しやすくなりますので注意が必要です。
日の入りが早くなるこの時期は特に注意が必要。
去年の交通死亡事故の特徴を見ると歩行中に事故に遭った人が最も多く、
夜間は1,023人、昼間は475人。夜は昼の2倍以上。
日没時刻の早い時期は日没から1時間以内に死亡事故が多発しています。

大きな原因は帰宅や買物等で交通量が増えることと
ドライバーの視認性が悪くなる日没時刻が重なることだと考えられています。
少しでも「暗くなってきたな」と感じたら前照灯を点灯しましょう。
ライトはドライバーの視界を見えやすくするだけでなく、
「他者から気づいてもらう」役割もあるのです。

法廷基準によると車の前照灯の明るさは下向きライトが前方40m、
上向きライト、いわゆるハイビームが前方100mの障害物が確認できること。

運転者が危険を察知してから、ブレーキをかけ、
止まるまでの距離を「停止距離」といいますが、
時速60キロ走行だと、およそ44m。
下向きのライトが照らす距離は40mでは、
夜間、ライトを下向きにして、時速60キロで走る車は、
横断中の歩行者を見つけてブレーキを踏んでも間に合わない可能性があります。

ライトは状況に応じてライトを使い分けること。
前照灯の下向きライトは、正式には「すれ違い用前照灯」、
上向きライトは「走行用前照灯」という名称で
名前のとおり、下向きライトは他の車両等とすれ違う場合や
他の車両の直後を走行する場合に使うもの。
法令ではそれ以外の走行では上向きライトを使うことが定められています。
覚えておいてください。ライトの基準は上向きライト。
交通量の多い場所を走行する場合は下向きにするということなのです。

また自転車も車両。
夜間はライトを点けなければいけません。
自転車に乗る際はライトの点検をきちんとしましょう。

自転車に乗っている人や歩行者が
車に対して安全を確保するために気を付ける必要もあります。  
自転車の運転手や歩行者等が黒っぽい服装だと、
クルマの運転手は気づきにくいもの。
反射材を着用することが事故を防ぎます。
つけていない場合よりも2倍以上遠い距離から確認できるという調査結果が出ています。
夜間の交通事故防止には非常に有効なツールとなるのです。

事故が多い夕暮れ時は、徒歩や自転車で、
学習塾などに通っている子供たちも多いもの。
子供たちの安全のために家庭での交通安全教育が非常に大切。
保護者自身が交通ルールやマナーへの理解を深め
日常生活の中で繰り返し教えることが重要になります。

小学校、中学校への入学を控えた子供がいるのであれば
ぜひ一緒に通学路を歩いてみてください。
その上で交通量の多い交差点などの危険な箇所をチェック。
注意する箇所を親子で話し合うことがとても効果的。
また、保護者が常に子供のお手本となる正しい行動をとるようにしましょう。


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