明日までは「平成28年 春の全国交通安全運動」期間。
今週は先週に続き、その大切なポイントを追跡する、後編をお送りしました。
お話を伺ったのは警察庁 交通局 交通企画課 西村和市さん。

先週は4つのポイントのうち「飲酒運転の根絶」「子どもや高齢者の交通事故防止」にふれました。
今回は「自転車の安全利用」「シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底」について。

自転車については去年6月、改正道路交通法が施行され、取り締まりが厳しくなりました。
ただ、西村さんによると自転車の事故数は減っていますが、
自転車の乗る人には、今まで以上に高い意識も持っていただきたいとのこと。
時折、歩行者と同じ感覚で自転車に乗っているかのような人がいます。
しかし、自転車は「車両」。歩行者に対しては歩行者が優先だということを認識して下さい。

最近は自転車が歩行者にぶつかって損害賠償事件になったというケースも出てきています。
自転車保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、悪質な自転車利用者には講習制度が導入され受講者も出ています。
十分に気をつけるようにして下さい。

そして「シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底」。
助手席は義務だという意識を皆さん持っていると思いますが、
後部座席に乗っている人も同じだということを認識して下さい。
同乗者に着用を促すのも運転者の役割です。

チャイルドシートが義務付けられるのは6歳未満。
でも135 〜 140cmにならなければ装着できません。
安全のために年齢にこだわることは避けましょう。
身長が満たない場合はチャイルドシートで子供を守って下さい。

成長すると子どもがチャイルドシートを嫌がるかもしれません。
そこは乳幼児からの教育で物心ついた時から「当たり前」のことにしましょう。
本当に大切なものは何か考えればやるべきことは自ずと導かれるはずです。

この「春の全国交通安全運動」を1つのきっかけに、
さらに交通事故の少ない社会を築いていきたいものです。

今年も「春の全国交通安全運動」の期間がやってきました。
平成28年は4月6日 水曜日 から15日 金曜日。
そこで、今週と来週は、その大切なポイントについて。
コメントは警察庁 交通局 交通企画課 西村和市さん でした。

全国交通安全運動では運動の基本と重点を定めています。
基本は「子供と高齢者の交通事故防止」。
重点は3点。

? 自転車の安全利用の推進、
? 後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
? 飲酒運転の根絶

交通事故は大きな視点に立てば減少傾向にあります。
しかし、今年に入って通学中の児童が被害に遭う交通事故が続けて発生しています。
ケースとして多いのは子供が道路を横断中の事故。
子供による飛び出しが原因の事故もありますが、
交差点で子供が青信号の横断歩道を渡っている時、
右左折してくる車にはねられるケースが多いそうです。

ドライバーの皆さんは、ハンドルを握ったら脇見をせず、
しっかり前後左右の安全確認をするのはもちろん、
車からは見えない場所「死角」を認識して注意することが大切です。
交差点や横断歩道の手前では速度を落とすことや、
信号機のない交差点や横断歩道では横断歩行者優先のことを忘れないでください。

子供を交通事故から守るには家庭での教育が必要です。
子供は親からの影響を受けやすいもの。
青信号が点滅している時に「急いで渡る」と言われて育った子供は、
そういう認識するため、安全確認をせずに渡り、事故に遭う危険性が高くなります。  

親はもちろん、親でなくても、子供は大人の行動をよく見ているもの。
大人が堂々と信号無視をするなどという状況は無くさなければいけません。
子供に危険な行動をとらせないためにも、
「大人は子供の手本」という意識を社会全体が共有することが大切です。

一方、高齢者が被害に遭う交通事故では、
夕暮れ時や夜間の道路を横断中のケースが多いといいます。
ドライバーからすれば、夜間は視界が悪くなるもの。
反対に高齢者からすると、自分の認識以上に道路を横断する時間がかかるのに、
車が来る直前に道路を横断しようとしてしまったり、
車が近づいていることに気づかないという原因が考えられます。

明るい色と暗い色の服装ではドライバーからの見つけやすさが全然違うもの。
特に高齢者の方については、明るめの服装や、反射材の着用を心がけ、
近くに横断歩道があるときは横断歩道を渡ってください。
また、ドライバーの方は、夕暮れ時の早めのライトを点灯を心がけるようにしましょう。
対向車が少ない生活道路等では、歩行者を早く発見できるよう、
夜間はライトを上向きにして走行することが基本です。

ドライバーは運転に際して高齢者に対する思いやりを持ち、
歩行中や自転車に乗っている高齢者を見かけた場合は、
すぐ止まれるよう速度を落とし、高齢者の側を通る時には間隔を空けることを心がけて下さい。


子供がいる父親・母親の立場にある皆さん、
学校の先生・スポーツチームや文化活動など、子供の指導者の立場にある皆さん、
子供たちに交通安全について話す時、 何 を伝えていますか?

ここ数年で『交通安全教育』は変わってきました。
交通弱者が、より危険を回避する、
その「考え方」は『新交通安全教育』とも呼ばれます。
今日は年度末。もうすぐ新学期ということで、
子供たちの【命】を守るため、今朝は『新交通安全教育』を追跡しました。
お話を伺ったのは教育ジャーナリスト 斎藤剛史さん。

今までの交通安全教室というのは、
「交通ルールを守りましょう」という教育が主体でした。
しかし、平成24年4月に京都府亀岡市で集団登校中の小学生の列に
乗用車が突っ込んで子供と保護者が死亡するという事故が起きました。

この交通事故は小学校へ登校中の児童と引率の保護者の列に車が突っ込み、
計10人を次々と跳ねて、3人が死亡、 7人が重軽傷 を負いました。
車には3人の少年が乗車。
運転していた少年は仮眠をはさみ、30時間以上も運転を続けていました。
事故の原因は遊び疲れと睡眠不足による居眠り運転 。
この少年は、免許を持っていませんでした。


同じような事故が、その後も続き、
「交通ルールを守っていても事故が起こる」という認識が起こりました。
その結果「子供自身が自分の身を守る交通安全教育が必要ではないか?」
という意見が出て、その方向に変わりつつあるのです。

警察庁、国土交通省、文科省、三省庁は交通安全に関する有識者懇談会を設置。
その報告書で子供自身が自分の身の安全を守るという方針が打ち出されました。
これは文科省を通して教育委員会と学校へと通知。
警察庁を通して都道府県の警察本部、警察署へ通知されています。

新しい交通安全教育の大切なポイントは「交通ルールの順守」で終わらないこと。
「信号は青で渡る。赤になったら止まる」と子供に教えると、
子供は青信号になった途端に左右を見ずに渡ってしまうかもしれません。
「道路を飛び出してはいけない」と教えると、
1回止まって、左右を確認せずに飛び出すかもしれません。

青信号の横断歩道を渡る時でも走ってくる車があるかもしれない   
      ↓    ↓    ↓
青信号の横断歩道を渡る時でも 左右の確認をしっかりする     


振り返ってみてください。
子供の頃、教えられた文字上の「交通安全」に、
どのくらい現実味を感じていたでしょうか?
交通事故の危険は常に身近にあるということを
リアリティを持って子供たちに感じさせることが大切です。

保護者が子供と一緒に歩いている時に、
「ここで左右確認しないといけない。なぜなら、ここは見通しが凄く悪いから」
「車が突然来るかもしれない」、そうしたことを折に触れて話す、
あるいは子供と一緒に自動車に乗っている時に、
「自動車の目線から道路の端の子供たちや自転車がどう見えるか?」
車を運転しながら子供たちに話して聞かせてみる事も必要です。

新交通安全教育。
あなたの住む地域ではどのくらい浸透しているでしょう。
その普及の度合いは大人たちの交通安全への意識の高さに比例するのかもしれません。
子供たちの危険は、いつでもすぐそばにあります 
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