クルマに乗って適正な速度で走ると
タイヤが道路の凹みを通ることでメロディーが聞こえる・・・
小さな会社のアイデアが全国で交通安全に役立っています。
今朝、追跡したのは「メロディーロード」。

「メロディーロード」を開発したのは株式会社 篠田興業。
北海道 標津町にある道路舗装などを手がけてきた会社です。
今回のコメントは、その代表取締役 篠田静男さんでした。

きっかけは30年ほど前。
道路を建設機械で走った後、鉄の下駄みたいなモノで走ったため道路に傷がつき、
その傷の跡を車で早いスピードで走ると高い音になり、ゆっくり走ると低い音になる、
これで何かメロディーが作れるかな?と思ったことでした。

それから20年ほど経った、今から10年ほど前。
篠田興業は景気悪化の煽りを受けて公共事業の受注が減少。
新たな仕事を探す必要に迫られます。
そこで、篠田さんが取り組むことにしたのはかつてのアイデアの実現。
道路の使用許可を取って試験を始めました。

なかなか難しかったそうですが篠田さんと社員の皆さんは
道路に掘る溝の「幅」でメロディーを表現することに成功します。
その詳しい仕組みは・・・

溝の感覚を狭くすると、タイヤの踏む溝の本数が増えます。
それによって起きる振動が細かいと高音になる。
反対に溝の感覚を広く設置すると溝を踏む数が少なくなって周波数が下がり低い音が出ます。
それを音楽と結び付けるために、ある溝の感覚を0.9かけると、半音上がることに気づきました。
例えば10cmの溝の後に0.9をかけた9cmの溝を彫ると半音上がる。
さらに0.9cm狭くした8.1cmの溝を彫ると1音上がる。
そんなふうに楽譜に合わせて路面に設置したのです。

何の曲をためそうかと思った時に思いついたのは北海道を舞台にした「知床旅情」。
標津町に「知床旅情」のメロディーロードが生まれました。
同じ年、偶然にも知床は世界自然遺産になったので、
メロディーロードもそれにあわせて話題にもなりました。

メロディーロードの効果は・・・
音楽に合った法定速度で走ろうという注意喚起を得られること。
道路に対して溝を横方向に彫るのでブレーキの制動効果が良くなること。
メロディーが流れることで目覚まし効果があること。

篠田興業がメロディーロードの開発を発表すると、
問い合わせや注文が入るようになりました。
他社が敷設したものを合わせると、その数は今、全国におよそ30。
メロディーは土地に縁あるものが多く選ばれています。

メロディーロードの導入によって交通安全に繋がるデータもとられています。
愛知県のトンネルで完成してすぐ、アイスバンで滑って事故が発生。
トンネル内で減速する事によって安全を計れないかとメロディーロード敷設の依頼がありました。
そこで篠田興業は「どんぐりコロコロ」を彫りました。
60kmで走ると心地よい音楽が鳴るようにしたのです。
後日、地元専門学校の生徒さん達がトンネル内の速度を追跡調査したところ、
8〜12km位の減速効果が得られているという結果が出たそうです。

「道路を削ることが危険なのでは?」という疑問を持った方もいるかもしれません。
専門用語で「グルービング」というスリップを避けるため、寒い地域の道路や、
飛行機の滑走路に溝をつくる工法がありメロディーロードもそれに準じたもの。
「危険性の心配はない」ということです。

今週は先週に続く「車の冬の装備 後編」。
先週「冬の安全運転にクルマの性能や運転技術は関係ない」ということをお伝えしました。
それは冬は雪や氷によって他の季節と大きく運転環境が変わるから。
冬の運転には多くのお思いがけないことが待ち受けています。
中西さんも、スリップで怖い経験をしたことがあるとか。
そして、安全運転に欠かせない視界が天気や環境に左右されることもあります。

まずは「ブラックホール」「ホワイトアウト現象」があります。
雪に照らされて明るく眩しいところから暗いトンネルに入ると、
目が慣れず真っ暗に感じるのがブラックホール現象。
反対に暗い所から明るい所に出て眩しさで目がくらむというのがホワイトアウト現象。
こちらはサングラスなどで状況変化に備えるようにして下さい。

それから大型車などと並行に走っている時、
車輪で雪を跳ねられて、一瞬、目の前が見えなくなる事があります。
慌てて急ブレーキや急ハンドルなどの操作を行わないようにしましょう。
また、山で多いのですが、地吹雪で前は見えなくなることがあります。
地吹雪は地上2m位まで吹き上がるもの。
トラックなど大型車は平気ですが乗用車は前後左右の視界が失われる事があるので、
地吹雪時は前方の車、左右の道幅などに充分に注意して走行するようにしましょう。

そして、冬は雪や氷で道路が滑りやすくなります。
踏み固められた圧雪状態の路面は傾いていたり凹凸があったり、轍が出来ていたりします。
こうしたところではハンドルを取られ、思いがけない方を車が向いてしまう事があります。
それから雪の降り始めや雪の雪解け時に出来るシャーベット状態の時には
タイヤの溝が雪に詰まり、突然スリップして、滑り出したりすることもあります。
十分に注意しましょう。

冬の環境が自動車の性能を制限することもあり得ます。
フロントガラスに湿った雪が溜まって、
ワイパーを浮き上がらせ、動いていても全く効かない事があります。
出発前にアイススクレーパーなどでフロントガラスの雪や氷を取り除いてください。
ヘッドライトやテールランプに雪が付着することもあります。
そういった時には前が見えにくく後ろの車からも確認しづらいので危険。
サービスエリアやパーキングエリアでこまめに取り除いてください。
走行中に跳ね上げた雪がタイヤハウスに付着して氷の塊になりやすいもの。
ハンドル操作の妨げにもなりますので大きくなる前に取り除きましょう。

年末年始。
帰省に旅行に寒いところを走行する方も多いでしょう。
きちんと天候と道路状況を入手することが大切です。

その方法としては一般道から高速に入る前に
インターチェンジ入口付近に設置してある情報板で現時点の高速道路の状況を確認し、
料金所入口でも再度、道路交通情報を確認。
そして、走行中、本線のインターチェンジ手前に設置してある本線情報板をチェックしましょう。
その他、本線上にある広域情報板で変化する気象と道路の正確な情報を掴んでください。
高速道路の事故、渋滞、工事、気象など伝える
ハイウェイラジオ(AM1620kHz)を活用するといいでしょう。



12月に入り、各地で雪が降っています。
あなたのクルマは冬支度をしましたか。
今週と来週は2回にわたって「冬の車の装備」をお届けします。

コメントは冬装備と安全運転を喚起している
東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社 平栗一哉さん。
 
まず、冬の交通安全の心得!
「雪道の運転には初心者もエキスパートもありません」とのこと。
滑りやすく、視界も悪かったりするので、運転技術や車の性能を過信せず、
先を読み、無理をせず、特に坂道で焦ってスピードを出しすぎないことを心がけて下さい。

まず、冬の交通安全に欠かせないのが出発前の点検。
冬季の運転環境は他の季節とは違います。

雪道は普段よりも燃料の消費が早いもの。
燃料を満タンにするようにしましょう。
また、バッテリーは気温が低くなるほど性能が下がりやすくなります。
お出かけ前にガソリンスタンドでチェックをするようにして下さい。
そして、ワイパーブレードは傷や割れ目が無いか確かめましょう。
できるなら凍結に強いウェインターブレードに交換してたいところ。
そして、ラジエーターとウォッシャー液は不凍性のモノを使うようにします。
特にウォッシャー液は大量に消費するので充分な量を補給して下さい。
ディーゼル車の場合、軽油は零下10度以下で凍結する恐れがあるので、
寒冷地に入ったら凍らない「不凍性」のモノを補給して下さい。

他の季節と冬で大きく変わるのが道路の状態。
『乾燥した道路』を「1」とすると滑りやすさは・・・

『雪が圧雪した状態の道路』 3.2 倍
『凍った道路』 5.4 倍
『つるつるに凍った道路』 8.0 倍

寒いところを走る時には、必ず「冬用タイヤ」を装着しましょう。
「冬用タイヤ」は大きく3つ。

『スタッドレスタイヤ』
スタッド(金属鋲)が無いタイヤ。
低温でもしなやかさを失わない特殊性配合ゴムを採用。
溝の形、切り込みを改良して制動性能が大幅に向上しています。

『スノータイヤ』
素材は夏タイヤと同じですが雪や凍結路面での制動を良くするため、
普通のタイヤより表面に深くて広い溝を付けることで、
雪をつかみやすく、制動距離を短くしています。

『タイヤチェーン』
ご存知、タイヤに巻きつけるもの。
素材は一般的にはゴム製ですがスタッドレスやスノータイヤなどの冬用タイヤに比べ、
最大の制動効果を上げる事が出来ます。冬用タイヤをいえども万能ではありません。
雪の状況によって、全車両チェーンの装着規制が実施される場合もあります。
必ず、タイヤチェーンを用意してください。

平栗さんによると・・・
前輪駆動車も後輪駆動車も雪道では同じ。
前輪駆動車の方がカーブ時の安定性が良いとされていますが、それは乾燥した道路の時。
雪道の場合は前輪駆動車も後輪駆動車も違わないという事を頭に入れておいてください。
四輪駆動者も車の高機能化が進んでいます。
しかし、あくまでも「走る」「曲がる」「止まる」
車の基本的な働きを助ける付加機能に過ぎないとのこと。
雪の道、凍った道ではクルマの性能や運転テクニックは関係ないのです。

もうすぐ年末・年始のホリデーシーズン。
目的地のスキー場や温泉地に雪が降っている事も考えられます。
事前に気象情報、交通情報を確認して、寒い地域に出かけるなら充分ご注意を!

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