クルマの安全性に対する考え方の後編です。
先週、お伝えした安全装置をなるべく導入する上で推奨するアイテムを
もう少し詳しく説明すると
【自動ブレーキ機能】
「ミリ波レーダー」や「カメラ」や「赤外線」を使って、
障害物や人間を検知して衝突を回避してくれるもの。
これはここ数年でかなりポピュラーになり
わかりやすいという意味で導入を考える人が多いことでしょう。
【サイドエアバッグ】
運転席や助手席の両側に備え付けられ、乗る人を側面衝突から保護するもの。
カーテンエアバッグ
自動車内部の両側面に備え付けられていて、衝突時には窓を覆うようにふくらみ、
乗る人の側面衝突、車外への飛び出し、ガラスの飛散によるケガを防ぎます。
交通事故による死亡者数の推移を見ると安全性に対する意識は確実に高まっています。
ただ、これは誰もがクルマの機能や性能に詳しいわけではない、
一般ドライバーだけの努力や意識改革だけでは実現できません。
行政の施策と自動車メーカーの取り組みも欠かせないのです。
モータージャーナリスト 岡崎五郎さんは、こう指摘します。
ぶつかった時の安全なボディとかぶつからないようにする為のハイテクが出てきて、
その結果として交通事故死亡者数が劇的に下がってきた。
それはドライバーの安全意識が高くなってきたことの一報で、
道路が良くなった、歩道と車道が分離された、シートベルトの装着率が高くなった、
飲酒運転に対する取り締まりが厳しくなったという、
国を上げて交通事故を減らすという取り組みがあったから。
つまり行政が牽引した力も見逃せないわけです。
それでも、まだ4千人が1年に亡くなっている。
これは由々しき問題でゼロを目指さないといけないのです。
さらに岡崎五郎さんは自動車メーカーに、
今以上に安全性の向上に貢献することを期待しています。
エアバックはぶつかるとドーンと風船が開いて、
体が守られるんだなというのがイメージしやすいもので早く普及した。
それに対して一般ドライバーの方が想像力を持ちにくいものはなかなか普及しない。
数万円のお金を払う事に二の足を踏むドライバーが多ければ、
付けなくても良いかとメーカーもとらえて、
元来は付いていたものをオプションに変えたり、
オプションですら用意しなかったりということもあるそうですが、これは間違い。
一般ユーザーのすべてが1つの装置が安全性を高めるのに
どれだけ有効なのかを判断するのは難しいわけで、車作りのプロたる自動車メーカーは、
これはこういう時に安全性を高めるというアピールをして普及に務める義務があるといいます。
そして、岡崎さんはマスメディアにも、
交通事故について、有意義な情報発信の必要性を、指摘します。
車の事故で亡くなる人の数は大災害に匹敵するレベル。
それにも関わらず事故の概要だけが報道されて、
なぜその事故が起こったのか、どうすれば避けられたのか、という情報に乏しい。
事故が起こると綿密な調査がされて安全性を高めてきた航空業界のように、
自動車に関しても情報を得た人が同じ間違いを繰り返さない内容を発信するべきだと。
メーカーがより安全な車を作る。
国がより安全な交通環境をつくる。
一般ドライバーが、より安全な車を選び、安全な運転をする。
三位一体の努力によって1つでも交通事故を減少させたいものです。
クルマを持っている方、
そのクルマを選んだ時の大きなポイントは何でしたか?
これからクルマを買おうと思っている方、
何を重視して選ぼうと思っていますか?
今週と来週は2週にわたって
『クルマの安全性に対する考え方』を追跡します。
コメントはクルマの安全性に対する考え方について
警鐘を鳴らすモータージャーナリスト 岡崎五郎さん。
車が生み出す一番のネガティブな部分は交通事故。
日本では年間1万人が亡くなっていたという状況があったにも関わらず、
なぜ皆、安全性に関心を向けないのだろうという疑問を持っていたといいます。
そこで執筆する文章で安全性への意識について指摘をしてきた方です。
去年およそ1万人を対象者に行われた
「航空会社の利用」についてのアンケート調査結果を見ると
『航空会社を選ぶ際、どんな点を重視しますか』という質問に対して
最も多かった回答は「信頼できる」かどうか、
次に多かったのが「安全性が高い」かどうか。
そして、2013年に行われたた有効回答数1,000人のクルマについてのアンケート調査で、
『車を購入する際、一番重視するポイントはどこですか?』という質問に対しての回答は
5位 車種 4位 メーカー 3位 燃費 2位 外装デザイン 1位 価格 でした。
なぜ飛行機に乗る時には安全を第一に選ぶのに
クルマを選ぶ時にはそうした思考がなくなってしまうのでしょうか。
岡崎さんの見解ではクルマが日常生活に深く根付いているため。
危険なものだという想像力が働かないのではないかということ。
実際は1t、1.5tという重量の車が高速道路を100kmで走れば凄いエネルギーです。
アクセルとブレーキを踏み間違えた先に人がいたら、
何人もを一瞬で怪我させる、あるいは死に至らしめてしまうものでもあるわけです。
でも、あまりにも日常的なモノ過ぎて、そういう想像が出来にくいのではないかとのこと。
飛行機なら、非日常なモノなので、落ちたらヤダなと思う。
でも車は事故を起こしたら・・・という事を想像して運転してる人はほとんどいない。
そこに落とし穴があるのではないかということでした。
クルマは危ないものなのだということを心に刻むようにしてください。
ここ最近、以前よりはクルマの安全性に対する意識は高まってきました。
2000年の交通事故死者は9,073人。去年2015年は4,117人。半数以下になっています。
もっと減らすためクルマを買う時に持つべき姿勢は選択の基準に安全性を絶対に入れること。
自動車事故対策機構が自動車のアセスメントをやっていて、
HPにクラッシュテストの結果を細かく出しています。
それで上位に来る車を選ぶ。
新車を買う場合は安全性についてのオプションは選ぶようにする。
かっこよさのために安全装備を外すのではなく
安全装備を第一にして安全についてお金を惜しまない。
万が一の時に事故を避けられるなら高い買い物ではありません。
クルマの安全も飛行機に乗る時と同様、
コストがかかるという意識を持つべきでしょう。
クルマを買う時のオプションとして、いま岡崎五郎さんが強く薦めるのが
「サイドエアバッグ」と「カーテンシールドエアバッグ」。
横から突っ込まれて来た時に乗っている人を守ってくれるこの2つは、
義務化されていないモノだからと付けていない車が多いのが現状。
トヨタが良いモノなので全車標準装備を打ち出しましたが、
ユーザーこれにお金を払ってくれないとオプションにしてしまいました。
しかし、岡崎さんによるとクラッシュ映像を見れば、
付いてなきゃダメでしょ!と思う位、素晴らしい機能。
ぜひとも付けてほしいという話でした。
さらに今、流行っている自動ブレーキは、
追突事故を起こしてしまい、相手の車を修理しなければいけない、
自分の車を修理しなければいけないとなればお金がかかります。
もっと悪い事態の人身事故を防ぐ為にも人や自転車を検知出来る
優れた衝突防止自動ブレーキも出てきているので付けてほしいとのことでした。
今回の「なるほど!交通安全」は、交通安全のために・・・
『クルマの運転に「危険」の想像力を働かせる』!
『新しい安全性能を取り入れることを考慮に入れる』!ことを心にとめて下さい。
来週はこの続き『クルマの安全に対する考え方』の後編です。
日本人は「謙虚な国民」だと言われます。
本当にそうかというところはさておき・・・
誰かに道を譲ってもらった時、ありがとうの思いとともに、
待たせてすぎてはいけないと急ぐ人が多いかもしれません。
それは人間関係としては美しいこと。
でも、交通の場においては交通事故の原因になることも。
それは「サンキュー事故」と呼ばれます。
「サンキュー事故」? 聴いたことないなと思った方。
実はずいぶん前からこのネーミングの事故はあったようです。
全国で企業相手の交通安全講習を行っている、
株式会社ムジコクリエイト 東京営業所 所長 野藤智さんによると
典型的なサンキュー事故のケースは2つあります。
? 本線で停車して右折待ちをしている時に対向車が道を譲ってくれた
そこで「ありがとう」と急いで右折をしようとした時に、
譲ってくれた車の左側横をすり抜けて来た二輪車や、
他にも車線がある時には停車した車の横の車線を走ってきた車とぶつかってしまうケース
? 駐車場から自分が本線に右折で出ようとしている時に
自分から向かって右側の車が道を譲ってくれた
そこで、ありがとうと急いで右折を開始したところ、
自分が入ろうとしている車線の左側から進行してくる
進行してくる車を見落として衝突してしまうケース
このサンキュー事故を起こしてしまうのはドライバーの焦りと過信。
「譲られているから早く行かなくては」という急ぎの心理が1つ。
道を譲ってもらって気は使うかもしれません。
それでも確実に車を停めて見るところは注意して見る。
もし、見えないのであれば、車をゆっくりと進める。
その間、対向車を待たせるのは気まずいかもしれませんが、
事故を起こしてしまうよりはいいでしょう。
さらに譲られたので安全だろうという過信をしないことが1つ。
相手は道を譲ってくれただけで「背後が安全ですからどうぞ」と
言っているわけではないのです。
ありがとうの気持ちをもちながらも
自分でしっかり安全確認、過信はしない。
その心がけで「サンキュー事故」は防ぐことができます。
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