数年前に「資格」ブームがありました。
交通安全については「心理」的なアプローチから
交通事故が起こらない働きかけをする「交通心理士」という資格があります。
「日本交通心理士会」が認定している民間資格で2002年からスタートしました。
今回のコメントは日本交通心理士会 会長で
中京大 名誉教授の神作博さんでした。

交通心理士は心理、生理的な人間の特性を踏まえた上で交通安全に関わる人。
当然、人間が引き起こす事故が、交通事故の中では圧倒的多数。
原因を探り、事故が起こらないようにするのは心理的な知識が必要です。
心理学の専門家として交通事故を研究してきた神作さん。
似たようなスタンスは極めて少ないのでネットワークをつくりたいと考え
1977年に前身の団体が設立されました。


役員名簿を見ると・・・

▶ 大学教授
▶ 自動車学校
▶ 自動車メーカー
▶ 交通安全ジャーナリスト

といった肩書きが並んでいて、いま交通心理士は600人弱。
一般の我々が現場で活躍する「交通心理士」の資格をとる過程は、

審査を受けて日本交通心理学会に入会した上で3日間の事前講習会に参加します。
その後に4段階ある中の「交通診断士補」になるための試験を受けます。
試験内容は筆記試験と小論文と面接。
合格すると日本交通心理学会認定の交通心理士補になり、
さらなるプログラムを受けると「交通心理士」が誕生します。
これが仕事の中で交通心理士の資格を持って実務にあたる人たちです。

残る2つのうちの1つが「交通心理士」を指導する「主任交通心理士」。
その上位にあるのが「主幹総合交通心理士」。
社会の必要性を汲み取って交通心理士制度のプログラムを決める立場です。
「主任交通心理士」「主幹総合交通心理士」は、
心理学の修士学位取得者か同等の学識を持った者でなければいけません。

「交通心理士」は自動車運送業まわりの仕事をしている人に多くいます。
今では国土交通省が行っている適正診断と運行管理者の仕事を民間が受けています。
それを受託した事業所の社員で交通心理士の資格を持つ人がそれを担当。

ただ、残念なことに「交通心理士」は一般にあまり知られる資格ではありません。
自動車学校の方の取得がいちばん多いそうですが・・・

▷ 自動車運送業の中で資格の所有が当然のものになる
▷ その一方で資格取得のハードルの低くなり一般の人も取れるようにする
▷ 資格を活かせる場を広げる
▷ 知識や情報が地域の交通安全の啓蒙活動に利用される

そういった方向に進めば、
より交通事故減少に寄与するかもしれません。


日本交通心理士会 webサイト
https://www.jatp-web.jp/



今週は「スタッドレスタイヤとタイヤの冬仕様」の後編。
コメントは引き続き自動車評論家の国沢光宏さんでした。

スタッドレスタイヤでいちばん大事なのは雪道の中でも凍った道。
雪は降り立てならどんなタイヤでも走れますが、
凍って表面に少し水がはった滑る状態の時に差がでます。
性能は1世代、4〜5年ごとに10〜20%上昇。
国沢さんによると最初の頃のスタッドレスタイヤに比べるて、
今のはとても性能が良いそうです。

とはいってもスタッドレスタイヤを買う時に何を基準に選べばいいのか?
悩む人は多いでしょう。

しかし、スタッドレスタイヤは重要な生活必需品ということで、
メーカーがライバルの製品の性能を出して比較する事を禁じられています。
メディアもタイヤを買ってテストしていますが、
スキーのように1本滑ったあとで雪質は全く変わる可能性があるもの。
正確さを求めるのは難しい現実があります。
そこで、国沢さんがオススメするのは2点。

? プロの評価。

  一般の方がSNSで個人評価を掲載していることがありますが
  それは限界まで走っている訳では無くあてにしにくい!!


? メーカーがテスト走行に使う車

  確かに!
  タイヤの性能が悪いと車体の低評価に繋がるので
  よりよいものを履かせるはず!!


そして、買い換え時期。
スタッドレスタイヤは年数とともに劣化します。
先週お伝えした柔らかい発泡ゴムが素材のもので 5年 。
それ以外のものは 3年 が目安。

スタッドレスタイヤの購入を考えている中で、
「これはどうなんだろう?」というモノに出くわします。
その1つが欧州に輸出している価格が安いアジアンタイヤ。

ドイツでは冬にはスタッドレスタイヤを履くという法律ができました。
でも、ミシュランやピレリなどは高い。
そこで、アジアのタイヤメーカーが一斉に作り出したのです。
でも、国沢さんによると「日本の道を想定しておらず、あまり合っていない」とのこと。

日本の雪道は普通の雪、硬い雪、乾いた雪、ビチャビチャな雪、アイスバーン etc...
状態が多様で、ヨーロッパの自動車メーカーの人たちが「こんなに滑るのか!?」と驚くほどだとか!

そして「これはどうだろう?」と思っている人がいるかもしれない、
もう1つ気になることが「オールシーズンタイヤ」。

国沢さんによるとオールシーズンタイヤは夏に乗ってもまったく問題ありません。
また、このタイヤは降ったばかりの雪にはとても強い。
ただ、完全に凍ったアイスバーンには強くありません。
だからふだんはほぼ雪が無いところを走り、
ごくたまに遠くに行った時にチェーンを持つのが面倒臭く不安なら
雪が降ったらゆっくり走る条件つきで良いでしょうとのことでした。

お住まいになっている地域にもよりますが
スタッドレスタイヤの知識をあらためて身につけて
ご自分の車に履かせるかどうか検討してみてください


10月の最終木曜日。
北国に暮らす方は愛車のタイヤを冬仕様にしたことでしょう。
一方で、雪の降る地域が広まっているこの頃。
「自分の車はどうしよう?」 と思っている方も全国には多いかもしれません。
今週と来週は自動車評論家 国沢光宏さんのガイドで
「スタッドレスタイヤとタイヤの冬仕様」を追跡します。

「スタッドレスタイヤ」 とはstud=鋲(びょう) が「less」=ない タイヤのこと。
以前、冬用タイヤの主流は鋲がある 「スパイクタイヤ」 でした。
しかし、スパイクタイヤは、道路を削って走ることで生じる粉塵(ふんじん)や
路面への影響のため1990年代に廃止となり、現在ではスタッドレスタイヤが主流です。

雪道対策には「タイヤチェーン」を巻く方法もありますが、
『ガタガタして車の乗り心地が悪くなる』
『着けたり、外したりが面倒』という側面があります。

国沢さんによると以前のスタッッドレスタイヤは、
夏タイヤに比べて性能が悪かったといいます。
音がうるさい、ハンドルがグニャグニャする、ブレーキが効かないという指摘がありました。
しかし、最近はとても性能が良くなり、一般道で走っても問題ありません。
そういう背景から雪が少しでも降る地域ではスタッドレスタイヤを履く傾向にあります。
雪が年間、10日ぐらい降るところはもちろん、
東京のように年2〜3回しか降らないようなところでも、
人によっては雪が降る地方に行くこともあるので履く方は多いということです。

実は「雪道」とひとくちに言っても、その状態はさまざま。
その中で交通安全のために最も大切なのは氷の表面が溶けている道路をどう走るか。
雪の降りたてはどんなタイヤでも走れてしまうもの。
長靴の裏のように溝がしっかりあればいいのです。
でも、氷を金属のトングで取ろうとしても滑ってしまうように、
アイスバーンの上を硬いモノで走ろうとしても滑ってしまいます。
氷上を走るには表面の水をいちど拭いて無くし、それから路面を掴むロジックが必要。
これは製品によって決定的な差が出るのです。

そのためスタッドレスタイヤはノーマルタイヤと比較すると
わかりやすい特徴がいくつかあります。

? ゴムの柔らかさ
       
温度が低い環境ではノーマルタイヤは硬くなり、
路面をつかむグリップ力が落ちます。
スタッドレスタイヤには低温でも硬くならない柔らかなゴムを使い、
の粘着摩擦力で路面をしっかりグリップします。


? 溝の深さ

タイヤの溝をノーマルタイヤより深く多くすることによって、
滑りの原因となる路面上の水を遠心力で掻き出せるようになっています。


? たくさん入った細かな横溝(サイプ)

タイヤの路面への接触面を増やして摩擦力を高めるとともに
タイヤが路面をひっかく力を大きくしてグリップ力を向上させます。
また、隙間に水を吸収してミクロの水膜をなくす働きもあります。

そして、スタッドレスタイヤで覚えておきたいのが「発泡ゴム」という素材。
発砲ゴムはファイバータオルで拭いた瞬間のような氷をしっかりとグリップします。
ゴムの穴の開け方も均一にしたり、細かくしたり、日々向上しているとのこと。
スタッドレスタイヤの導入を考えている方は、
こうした素材についても意識してみて下さい。

来週はこの続き。
スタッドレスタイヤの選び方、替え時などについてお伝えします。
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