交差点の一形態「ラウンドアバウト」。
日本語名称を「環状交差点」が、どんな交差点かご存知ですか? 

2014年に道路交通法で明確に定められて10年。
この番組では3回目のテーマですが
全国で導入が進む中、初めて遭遇した時に戸惑わないよう
毎回お話を伺っている日本のラウンドアバウト研究と普及の第一人者
名古屋大学 大学院 環境学 研究科 中村 英樹 教授にお話を伺い
その利用の仕方と注意点をお伝えしました。





ラウンドアバウトの交差点には信号がありません。
上写真のように中央にクルマが入れない円形区域があり
周囲をドーナッツ状の道路が1周ぐるりと通っています。
その環状道路に複数の道路が接続していて
接続箇所の手前に横断歩道が設置されているところもあります。





ラウンドアバウトは環状道路に接続する道路から
左折して交差点内に入ることになります。
その際、優先順位は環状道路内を走行中のクルマにあります。

クルマの流れを見計らって交差点内に入った後は
自分が進路を変えたい方面の道路を経由して環状道路を出ます。
その時にも横断歩道があるケースが多いので充分に気をつけましょう。





日本では、導入から10年。
2015年5月には全国に「45」あったあラウンドアバウトの数は
今年の3月末の時点では「155」に増えています。
導入してみての評価は、中村教授曰く上々。

出会い頭の事故が劇的に減る。
信号の場合に比べるとドライバーの待ち時間が少ない。
信号機を設置しなくていいのでコスト削減になる。
そんなことが理由です。

また、一般の交差点と違って猛スピードで侵入することは出来ず
確実にいちど速度を落とすことになります。
さらに環状道路では全車同じ向きに走っているので
接触事故が起きても大事故になりにくいというメリットもあります。





さらに自然災害が多い日本。
停電によって信号機が表示されなくなると交通は混乱し、大事故も起こりかねません。
そんな時にもラウンドアバウトは有用だと中村教授はおっしゃっていました。

特に都市部に住む方は、未体験の方も多いかもしれないラウンドアバウト。
今日の情報を頭の片隅にメモしておいて下さい。

1日を時間にわけてみると最も交通事故が多く
危険なのが「薄暮時間帯」と言われる日没前後の1時間。
日没が早くなっている今の時期は特に注意! 
今回は運転を科学する株式会社 ディ・クリエイト 
代表取締役 上西一美さんにお話を伺い
秋から冬にかけての薄暮時間帯の交通安全を注意喚起しました。





薄暮時間に事故が多いのは、
1つに運転手の目が暗さに目が慣れていないため。
そこに夏至が過ぎて日没時間が早くなり
「薄暮時間帯」と仕事や学校からの帰宅時間と重なると
交通量が増えるため、多くの事故が起こってしまいます。
そして、これは毎年繰り返されていること。





警察庁の平成30年から令和4年までの事故件数を集計した資料
「薄暮時間帯における死亡事故に係る分析」によると
時間帯別死亡事故件数は、多い順に17時台・18時台・19時台とまさに薄暮時間。
そして、月別の死亡事故件数を並べると11月、12月、10月の順。
つまり、これから3ヶ月が最も多い時期です。

そして、事故当事者別の件数を見てみると、
薄暮時間帯を除く昼間は車両単独が31%、自動車と歩行者が20%、自動車と自動車も20%
これが、薄暮時間帯になると自動車と歩行者の事故が20%から48%に上昇して
反対に車両単独と自動車と自動車は減ります。
薄暮時間帯はドライバーも歩行者も気をつけなければいけません。





実は薄暮時間帯に突出している自動車と歩行者の事故は、
特徴が顕著なので対策が立てやすいと上西一美さんは言います。

1つに高齢者が死亡する事故が多いこと。
次の特徴は車からすると右側、 歩行者から左側の車と接触するケースが多いこと。
高齢者には目の前のリスクは考えても、その次の続くリスクに考えが及ばない特性があります。
道路を横断しようという時手前で近づく右からくる車には注意を払いますが
その先の左からくる車にはあまり関心を寄せていないようです。

薄暮時間帯における「自動車対歩行者」事故の85%が歩行者は道路を横断中。
そして、道路を横断中に死亡事故に遭った歩行者の7割が横断歩道以外の道路を横断中で
さらにその横断歩道以外の道路を横断した歩行者の7割に法令違反が認められています。

ドライバーからすると「えっ!? なんでここで人が!!」という
取り返しのつかない事態が起きかねないわけです。





そんな悲劇を呼び込まないためにドライバーがすべきことは、まず早めのライト点灯。
交通量が少ないところはハイビーム走行が基本なのでハイビームで走る。
対向車が来た時にはロービームに変えますが、通り過ぎたらハイビームに戻しましょう。
もう1つは万が一、歩行者と接触事故を起こした時のために速度は極力落とすこと。

一方で歩行者や自転車利用者としては交通ルールをきちんと守り
自分から危険を招かないようにしましょう。
家族や近隣に子どもや高齢者がいる方は、このことを伝えて下さい。

今の時期の薄暮時間帯。
ドライバーも歩行者や自転車利用者も充分に気をつけましょう!

車を運転していると時に狭い道を通り抜けする状況に出くわします。
多少ゆとりがあっても対向車とのすれ違いにヒヤヒヤの方は多いでしょう。

そんな状況で不安にならず、安全にすれ違うためにはどうすればいいか?
今回は身につけておきたい知識やテクニックを
日本自動車ジャーナリスト協会 会長で日本自動車連盟 交通安全委員会
委員 菰田 潔さんにお聞きしました。

「狭い道」と聴いてイメージする広さは違うと思いますが
今回は制限速度が時速3Oキロ以下、
スピードを落とさないと対向車とすれ違えない、
そんな道を想像して下さい。

その狭い道では対向車とすれ違う時に
左に寄りすぎて電柱や縁石にクルマを擦ってしまう
反対に左に寄りすぎるのが怖くて対向車と
ドアミラーがぶつかってしまうケースが考えられます。
こうしたことにならないようクルマの車幅感覚を掴んでおきましょう。

狭い道か広い道に関わらず、車の前輪の左右のタイヤが
どこを通るのか正確に把握しながら運転すると
車全体の車両感覚がつかめるようになります。

ボンネットが見える車であれば、運転席から見てボンネットの先端の左右の
中央付近の前の道のあたりが大体タイヤが通る場所です。
日頃から、その車両感覚を正確に把握するように運転しましょう。





車幅感覚を掴んだ上で、狭い道での対向車とのすれ違いのポイントは
車体をまっすぐにする、道路と平行にすること。
頭だけ左側に向けるとクルマの後部が道路の中央に残っていて
すれ違いできる余地がないかもしれません。
道路と平行に徐々に道路の端に寄って車体を並行にしましょう。
さらに車体を並行にしてもタイヤが曲がっていて
車体より出た状態になってしまいすれ違えないことがあります。
これもポイントの1つです。





そして、狭い道ではさほどスピードは出せないので、
車同士の接触や単独で電柱や縁石にぶつかっても
さほど大事に至ることはないかもしれません。
しかし、衝突する相手が人間であれば、その限りではありません。
最も気をつけたいところです。

狭い道での交差点では飛び出しによる人と車の事故もあります。
クルマを運転していて広い道だと横から来る人や自転車も見えやすいですが
狭い道の場合には見えにくいので子どもの飛び出しに気づくのが遅れます。
狭い道はスピードを落とすというのが大事なポイントです。

子どもやお年寄りは極めて危ないですし、
頑健な大人でも打ちどころが悪ければ大事に至ります。
さらに自転車との衝突も早く走っている分、衝撃が強くなって危険です。





その狭い道を曲がるのが苦手な人も多いはず。
そんなドライバーに菰田潔さんが提唱するのが「アリさんブレーキ」。
今はほとんどの方がオートマ車だと思いますが、
ブレーキペダルを離すとクリープでゆっくり車は走るので
それをブレーキを使いながらゆっくりゆっくり走る
その状態からハンドル一気に切ると小回りが効くので
それで狭い道の交差点を曲がるという手法です。

今日の情報を念頭において、
狭い道の運転も焦らず、スピードを出さず、ご安全に!


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