今日から始まるお盆の帰省ラッシュ。
できればクルマの渋滞は避けたいもの。
事故などのトラブルにも巻き込まれたくありません。
今週は「渋滞対処術」を追跡しました。

近頃では様々なものがある渋滞情報。
モータージャーナリストで日本自動車連盟交通安全委員会委員の
菰田潔さんによると中でも信用度の高いものは、
東日本・中日本・東日本、3社ある高速道路の管理運営会社NEXCO。
ウェブサイトで渋滞情報を発信しているのでお出かけの際には参考にして下さい。

ドライバーの運転も渋滞の原因になっています。
それはハンドルを握る人が力を合わせて防ぐべきこと。
「2秒の法則」を覚えておきましょう。

車間距離を2秒あけて走ればクルマの流れが効率的になり
渋滞になりにくいというデータが出ています。
それより車間距離の時間が詰まるとブレーキを踏むクルマが増えて渋滞が起こる。
反対に5秒、10秒と車間距離を時間的にたっぷり空けてしまうと、
一定時間内に通れる車の数が減るので、これも渋滞につながります。
安全性が保たれて滞が起こりにくいのは車間距離2秒間ということを知り、
多くのドライバーがそれを実行すれば渋滞は減るでしょう。

渋滞の中で一番起こりやすい事故は「追突」です。
まずは「他のクルマに自分が追突しない」ように気をつけましょう。
高速道路の走行スピードはおよそ100キロ。
渋滞が起こっている箇所に到達すると、
その100キロから0キロにスピードを落とさなければいけません。
その際、止まり切れずに渋滞の最後部にぶつかる事故が生じます。

自分が渋滞の最後尾に追突しないように
5台ぐらい前の車の動きを見ながら走るようにしましょう。
目前の車だけを見ていると、その車が急ブレーキを踏んだ時に、
間に合わないという事態が起こりかねません。
しかし、数台前の車まで見ていれば、徐々に止まるなということが分かります。

その時のブレーキの踏み方のコツとしては、
前の車がブレーキを踏んだ場合、同じ車間距離を保ったまま減速する。
そうすれば前の車が予想以上に急に止まったとしても余裕が出来てきます。

反対に「他のクルマに追突されない」ことにも気をつけましょう。
そのコツとしては自分が渋滞の最後尾にならないこと。
前の方で渋滞が起こったら自分の前の車間距離をたくさん開けておきましょう。
そして、自分の後ろに3台ぐらい車が連なったら最後尾に付くようにすれば、
自分が最後尾になることなく、渋滞の列に並ぶようになります。

渋滞の中で、時折ススっと進めることがあります。
そんな時でも渋滞箇所を通り過ぎたとも限りません。
いきなりスピードを上げて前のクルマに追突しないように注意して下さい。

お盆と年末年始。
帰省ラッシュは日本の年中行事のようなもの。
ただ、例えばドイツでは地域ごとに夏休み取得の時期を変えているそうです。
そうすれば渋滞の緩和につながり、観光地も混雑しすぎることがありません。
また、観光地にしてみても、ある時期に一極集中的に来る人が集中してしまう
という事態が避けられ、繁忙期が期間的に続きます。

お盆、大晦日・正月が年中行事としてある日本では難しいかもしれませんが
できる範囲で、休みの時期をずらすということができれば、
今のような車の渋滞を多少なくすことができるかもしれません。


減少傾向にある交通事故。
飲酒運転もまた、年々減っています。
しかし、ドライバーの意識の問題で、ゼロになりません。
それならば進歩する「技術」で『飲酒運転ができない車』を実現できないのか?
今回は追跡しました。

コメントは自動車業界に詳しい
経済ジャーナリスト 片山修さんでした。

警察庁のデータを見てみると・・・

平成10年の飲酒事故数 — 21,061件
      死亡事故 —  1,268件

平成26年の飲酒事故数 —  4,155件
      死亡事故 —   277件


減っているとはいえ4,155件の飲酒運転事故。死亡事故も277件。
これは交通事故が起こった数。飲酒運転の氷山の一角にすぎません。

飲酒による事故を起こした場合は重い罰則が与えられますが、
巻き込まれた被害者はたまったものではありません。

日本では2011年から、プロのドライバーに対しては、
事業所による勤務前のアルコール検知が義務付けられています。

しかし、一般のドライバーに、それはできません。
そこで、普及しているのが「アルコール・インターロック」。
ドライバーがアルコールを飲んでいると
呼気でそれを感知してエンジンがかからなくなる装置です。

日本にも「アルコール・インターロック」の義務化を求める声があります。
しかし、それには問題も少なくありません。

1台 10万円以上と高価なもの。
義務化された場合、費用は自己負担なのか?

アルコール検知の難しさ。
アルコールが弱い人  強い人。
アルコールを消化しやすい人 しにくい人。
どのような基準にするのか? 世界でも決まっていない。

日本の自動車メーカーも「アルコール・インターロック」の研究開発に乗り出しています。
その気になれば、導入もできるとのこと。
ただ、今のところ、その動きはありません。

また、Hondaは日立と組んでマウスピースなしで利用可能な
呼気認識機能を搭載したスマートキー対応の
ポータブル呼気アルコール検知器の試作に成功しています。
簡易に3秒でアルコール検知ができる優れもの。
ただ、難しい部分もあり「共犯者」がいれば、
お酒を飲んでいない共犯者の呼気を使えば
クルマのエンジンをかけられてしまうのです。

「飲酒運転ができない車」。
技術的には、実現可能なところまできている印象を受けますが、
費用、規則、制度といったところで課題が多いことがわかります。

ただ、いちばん大切なのは、今ある飲酒事故の状況を社会がどうしたいか。
日本はもっと積極的に飲酒運転撲滅に向かったほうがいいのかもしれません。


運転マナーには多少の地域性があるもの。
夏休みに慣れない土地でハンドルを握る時は気をつけましょう。
今週は悪しき運転マナーの地域性を紹介する「危ない!車のローカルルール」後編でした。

取り上げたのは「播磨道交法」。

播磨地方はかつて播磨国があった兵庫県南西部の一帯。
姫路市を中心にたつの市・相生市・赤穂市周辺のことです。

その播磨地方にまつわるのが「播磨道交法」。
でもこれ、実在する法律ではありません。
地元新聞社の神戸新聞のある連載から生まれたものです。

当時を知る淡路総局長 三好正文さんによると
13年前のこと、関西では「1 姫、2 和泉」と言われ、
兵庫県西部の姫路ナンバーが交通マナーが悪い車だとされることが多いため、
姫路地域の運転マナーは本当に悪いのか? どういうふうに悪いのか?
読者とともに考えてみようという連載を始めました。

その中で読者から「姫路ナンバーの運転は荒いか」意見を募集。
すると「荒っぽい」という意見、「そうでもない」という意見、
また「そういう運転には事情がある」という意見など多数が寄せられ、
専門家を交えて紙面上で考えていったそうです。

そして、テーブルに挙げられた地域の運転マナーの悪さを、
自戒の意味を込め、法律的な文章にして紙面に掲載しました。
それが「播磨道交法」です。

ともすれば読者からの反発や批判もあったかもしれない
「自戒」と「皮肉」と「ユーモア」を込めた「播磨道交法」の作成と掲載。
そこには「地域の交通事故を減らしたい」という思いと願いがあったからでしょう。
「播磨道交法」は3つの賞からなります。

第1章・交差点 

(1) 先に入った車が優先。右折時、対向車が直進してきても待つ必要なし。

(2) 右折時、対向車が左折なら、一緒に曲らなければならない。
   左折車を先に行かせていると、右折待ちの後続車からクラクションを鳴らされる。

(3) 自転車や歩行者は、車が通らなければ、赤信号は青とみなす。

(4) 右左折時、横断歩道を人が歩いていても、通れるスペースがあれば、すり抜けるべし。

(5) 右折は、右折信号が出てからが勝負。
   右折信号が消え、赤と続く数秒間に何台潜り込めるか。


第二章・歩道、車線変更 

(1) 信号のない横断歩道。
   歩行者は、車が途切れるまで待つべし。車は止まってはくれない。

(2) 車線変更。狭い間隔でも、スペースさえあれば割り込み可。

(3) 指示器は曲がると同時に出す。

 
第三章・附則 

(1) バスは、停留所から車線に戻るとき、辛抱強く待たなければいけない。

(2) 前に人がいれば、クラクションで道を空けさせる。



こうした悪しき運転マナーは、今回とりあげた、
伊予地方、名古屋、播磨地方に限ったことではありません。

長野県の松本周辺には「優先道路に出る際、一時停止をしない」などの
「松本走り」と言われるローカルルールがあります。
山梨県には「直進車の有無に関わらず、減速なしで右折する」などの
「山梨ルール」と言われるものもあります。
     
程度の差こそあれ、こうした運転はどこにもする人がいるもの。
今回とりあげたローカルルールは、有名なだけに気をつけやすく、
地域の住民が意識的な分、大きな改善の余地があるのかもしれません。

大多数が当たり前に危ないローカルルールで運転していて   
そのことを地域外の人たちはまだ知らない・・・それがいちばん怖いことかも。
知らない土地で運転する時には充分注意しましょう。

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