近づいて来ている春。
暖かくなってのドライブが楽しみな方も多いでしょう。

でも「春の嵐」という言葉があるように
春は低気圧が急速に発達して台風並みの暴風が発生する季節。

今週は 自動車運転工学研究所 代表 細川一夫さんの監修とコメントで
「強風時の安全な運転」を追跡しました。

まず1秒あたり
どのくらい風が吹くと車の運転に影響するか。


【風速10m から15m】 

人への影響は「風に向かって歩きにくくなる」「傘がさせない」
気象庁が「強風注意報」を出すくらいの、やや強い風。
車の運転にも影響が出始めます。
高速道路の吹流しが水平になるのが風速10m以上。
高速道路で乗用車は横風に流される感覚を受けます。


【風速15m から 20m】
  
人への影響は「風に向かって歩けない」「転倒する人も出る」ほど。
高速道路ではハンドルをとられる感覚が大きくなり
通常の速度で運転することが困難になります。


【風速20m以上】
    
人への影響は風速20mを越えると「しっかりと体を確保しないと転倒」
風速25mになると「立っていられない」「屋外での行動は危険」ほど。
車の運転は風速20mを越えると運転することが危険となり、
風速30mを越えると運転自体が困難になります


というように車の運転は
強い風に大きく影響されることになります。

風の影響を最も受けにくいのが車高の低いスポーツカータイプの車。
重心も低く横風を受ける面積も少ないので風の影響を受けにくいのです。
逆にワンボックやミニバンなどの背の高いタイプの車は横風を受ける面積が多いので、
そのぶん風の影響を強く受けます。
また車重の軽い軽自動車や二輪車も横風の影響を強く受けます。
そして、いちばん影響を受けるのがロングタイプのトラック。
車重が重いトラックは、横風にも強いように思いますが、
走行中だと車重が重いほど遠心力や慣性力が大きく働きます。
      

そして、地形によっては風が強くなりやすく、
車を運転している時に気をつけなければいけないポイントがあります。

一番気をつけていただきたいのがトンネルの出口。
トンネル内では風の影響を受けることはほぼありませんが、
トンネルを出たとたん急に横風を受けて大きく横に流されることがあるから。
また、山間部のトンネルの出口は谷間になっている場所が多く、
風が穏やかな日でも強い風が吹くことがあります。
「谷風」といって谷間などの狭い場所を通る風は圧力が強くかかり風速が他の場所よりも増すから。
同じ理由で、ビルの谷間や防音壁の隙間、谷間にかけられた橋の上などは気をつける必要があります。
また、海岸線の道路や橋の上も風を遮るものがないから注意が必要。
高い位置ほど風が強くなる場合が多いので高速道路の高架橋などでは特に注意が必要です。


そして、風が強い日の運転で気をつける点は・・・ 

まず、速度を落とすこと。
速度が高いほど、車は風の影響を強く受け、逆に速度が低いほど安定するから。
実は強風そのものが事故の原因となる場合は少なく、
ドライバーが風の影響を受けてパニックになることで起きる事故が多く発生しています。
よくある例としては、突風でハンドルを取られてふらつくとパニックになり、
それを立て直そうとして、慌てて急ハンドルを切り、バランスを崩して横転する。
また、急ブレーキも車のバランスを崩したり、スリップを起こしたりするので危険です。
強風時は急ハンドルや急ブレーキを避け、緩やかな減速と丁寧で確実なハンドル操作を心がける。
決して、強風を侮ってはいけません。



今週は前回に続いて3月12日に改正される
「道路交通法」の主な改正ポイントをお伝えする後編。

警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐 
松代栄一さんをお伝えしてお送りしました。
今回の改正点の軸となるのは3つ。

【1】臨時認知機能検査と臨時高齢者講習 

現行制度では、75歳以上の運転者は、
3年に1度の免許証更新の時だけ認知機能検査を受けています。

改正後は更新時以外でも、75歳以上の運転者が、
認知機能が低下した時に起こしやすい違反行為をしたときは、
臨時に認知機能検査を受けることになります。
その「違反」とは信号無視・高速道路の逆走・一時不停止など 18種類。

臨時の認知機能検査の結果、
それ以前の検査結果より悪くなっている場合は、
新設される臨時の高齢者講習を2時間受講することになります。
講習では車を運転する実車指導や、その様子をドライブレコーダーで記録し、
映像に基づいた個人指導を行います。


【2】臨時適性検査制度の見直し 

現行制度では「認知症のおそれがある」方でも、
医師の診断を受けるのは信号無視などの一定の違反があった人のみ。

改正後は臨時の認知機能検査、免許更新時の認知機能検査、
ともに「認知症のおそれがある」人は医師の診断を受けることになります。

そして、指定された期日までに診断書を提出しない場合は、
免許の停止や取消しの対象となります。
また、診断の結果、認知症だと診断された場合は、
運転者の事情を聴くなどの手続きの上で運転免許の取消しなどの対象となります。
この点は、現行制度でも同じです。


【3】高齢者講習の合理化・高度化 

高齢運転者に負担をかけすぎないように、認知機能検査の結果、
認知機能の低下のおそれがない方、75歳未満の方の講習を合理化して
現行の3時間程度から2時間へと短くなります。
      
一方、認知機能の低下のおそれがある方などへの講習については、
運転の様子をドライブレコーダーで記録し、
その映像に基づいて個人指導を行うなど内容を充実させます。
講習時間も2時間半から3時間に長くなります。

最後に警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐 
松代栄一さんからのメッセージを記しておきましょう。

超高齢社会を迎えている中、
今後も運転免許を持つ高齢者の増加が見込まれます。
高齢者ではない方も、ご家族に高齢者がいらっしゃる方は多いでしょう。    
また、誰もがいずれ高齢者になります。決して他人事ではありません。

高齢者の方でこれまでのような運転ができなくなったと感じ始めたり、
ご家族の運転に不安を感じたりしたときは早めに警察にご相談いただくことが重要です。
全国の運転免許センターなどに設置されている運転適性相談窓口では、
専門知識の豊富な職員が高齢者の方やそのご家族からの相談に、
丁寧に対応してまいりますので遠慮なくご相談ください。
免許証の自主返納に関する相談も受け付けています。


高齢者による交通事故を社会が協力して減らしたいものです。
      




3月12日から「改正道路交通法」が施行されます。
今週と来週は、その改正のポイントを、追跡。

お迎えしたのは警察庁 運転免許課 
高齢運転者等支援担当補佐 松代 栄一さん。

今回の改正の目的。
それは高齢運転者の認知機能の状況をタイムリーに把握し、
認知症の方やその恐れののある方による交通事故の防止を図ることです。

死亡事故全体の件数は10年前の半分近く減少していますが、
75歳以上の運転者による死亡事故は450件前後でほぼ横ばい。
運転免許を持つ「高齢者」の増加を背景に、
死亡事故全体に占める高齢者による事故の割合が増えているのです。

免許保有者10万人あたりの死亡事故件数を見ると
平成27年中、75歳以上は75歳未満と比べて2倍以上なのです。

しかし、75歳未満が起こしている死亡事故件数では、
16歳から24歳までの若い年齢層が高いことも覚えておいてください。

ただそうは言っても、高齢者による死亡事故の数は横ばい。
75歳以上の割合は高くなっているということで、
今回の道路交通法改正ではどんなことが変わるのか?

1つめは【臨時認知機能検査と臨時高齢者講習】 

2つめは【臨時適性検査制度の見直し】

3つめは【高齢者講習の合理化・高度化】

この3つのポイントについて、
来週は松代さんに詳しく説明していただきます。



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