今週は先週に続く「子供同乗自転車の交通安全」の後編。
先週は子供を乗せた自転車運転について
認められていること 認められていないことを 法的根拠とともに紹介。
今週はもう少し実生活に即した情報をお伝えしました。

今回のコメントは自転車の安全利用促進委員会のメンバーで
自転車ジャーナリスト 遠藤まさ子さんでした。

まず 遠藤さんによると自転車が関わる交通事故数は減少しているものの
それ以上に交通事故の全体数が減っているため割合としては増えているそうです。
車の交通事故は警察に届けるのが当たり前という意識があります。
翻って自転車となると警察に届けないというケースが多いのが現実。

物損事故・人身事故なのに当事者間で「すいません」「大丈夫ですか?」で済ませる。
交通事故と認識してないというケースも多いのです。
遠藤さんは潜在化する事故を含めると
自転車交通事故の総数は非常に増えているのではないかと懸念しています。

そして 今回のテーマは自転車運転の中でも「子供を乗せた2人乗り、3人乗り」。
自転車に子供を乗せて自転車で走っている方も多いでしょう。
その時に道路のどの部分を走っているか? これはとても重要なこと。

自転車は基本的に車道の左側を走らなくてはいけません。
歩道の走行は「車道に危険なものがある」「車が停まっている」など
危険回避のため やむを得ず出来ることなのです。
そして 危険回避のために歩道を走るとしても徐行を定められています。

歩道での子供同乗自転車は 
運転手は自転車を降りて、押すことが理想です。
遠藤さんは この習慣づけを勧めていました。
歩道は歩行者が通行する道路で歩行者が最優先。
「子供を乗せている自転車だから」は免罪符にはなりません。
自転車はいつでも加害者になる存在だと認識して下さい。
法律上では「軽車両」=車両の1つなのです。

そして 遠藤さんがお父さんとお母さんに気をつけて話していたのが
抱っこ紐を使う時と自転車をどこかに駐輪する時。

「前抱っこ」で子供を乗せながら走っているお父さん・お母さんがもいます。
「前抱っこ」はペダルを漕ぐ足を妨げたり
転倒した時に子供が下敷きになってしまう可能性があるので避けましょう。
抱っこ紐を使う場合は必ずおんぶのスタイルでで乗せる習慣を身につけてください。

また 自転車は走る時だけではなく 
駐輪している時にも安全面に気を付けましょう。
子供をチャイルドシートに乗せたまま 
駐輪をして 何か用事を済ませている光景
目にしたことがある人は多いと思います。

これは目を離した隙に子供がバランスを崩して自転車ごと転倒して
大怪我をする可能性を高めてしまいます。
ちょっとの時間であっても面倒くさがらず 
子供を安全のために降ろして駐輪することを心がけましょう。

自転車は身近なものでありながら
交通事故に繋がる可能性のある交通手段だということを
いまいちど認識して 日常生活で使ってください。


時折 街中でみかける、
同じ自転車に子供を乗せてペダルを漕ぐ お父さん お母さんの姿。
2人乗りはバランスが崩れやすいもの。少し心配になります。
「何かの拍子に倒れたり、歩行者や車とぶつからなければいいな」と。

日本の法律では、基本的に禁止されている自転車の複数乗車。
どの範囲で例外として認められているのか?
法に則って複数乗りをする時は事故に遭わないよう何に注意すべきか?
今週と来週は2週にわたって「子供同乗自転車の交通安全」です。

前編の今回の監修とコメントは東京 麹町
みらい総合法律事務所の吉田太郎弁護士でした。

自転車の複数乗り。
法律上ではどんなふうに規定されているのか? 
吉田先生によると

自転車に何人乗れるかについては
道路交通法の57条2項に定められています。
公安委員会は道路における危険を防止し
交通の安全を図るために必要があると認める時は軽車両の乗車人員 
または積載重量等の制限について定める事が出来ると定めています。
自転車は道路交通法上は軽車両という位置づけ。
公安委員会が自転車に何人乗っていいかを決める事が出来ると定めています。
公安委員会は各都道府県ごとにあります。
平たく言うと自転車に何人乗っていいか?という事は
各都道府県で決めると定めている事になります。


自転車の同乗者については各都道府県によって規制が違うこのこと。
47都道府県を見ることはできないので
1つの例として東京ではどうなのか伺ってみました。

東京都では東京都道路交通規則10条で
原則的には運転者以外は乗車出来ないという規定があります。
2人乗りしてはいけないということです。
ただ、場合によっては2人、あるいは3人乗って良いという例外規定もあります。
これは各都道府県でも同じようにあるものですが
何歳の人を一緒に乗せていいかという点で差異があります。
東京都では運転者は16歳以上。一緒に乗る人は6歳未満。
しかし 6歳未満ならどんな風に乗せても良いという訳ではありません。
いわゆるチャイルドシート 子供を安全に乗せられるような幼児用座席に乗せる。
こうした例外的用件が満たされる場合に限り 2人乗りが出来ます。
そして 3人乗りも幼児2人同乗用自転車であれば可能となっています。
また、変則的な形になるかもしれませんが チャイルドシートに乗せた子供のほかに
いわゆる抱っこ紐を使って確実に背負えるということであれば3人乗りも可能です。


東京都は同乗できる子供は「6歳未満」ですが
これが大阪になると「4歳未満」と規定されています。

こうした情報は都道府県のWEBサイトにわかりやすく掲載されています。
警察に問い合わせるのもよいでしょう。

また 都道府県に関わらず 幼児・児童が自転車に乗る時
その保護者はヘルメットをかぶらせることが義務付けられていることをお忘れなく。
      
あなたの住んでいる都道府県での決まりはどうなのか? 
あらためて確認してみてください。


性格や気質はその人の思考や行動を決定づけます。
それはつまり 人はタイプによって
交通事故を起こす可能性が高いかもしれないということ。

今回は交通心理学の専門家 九州大学大学院 
システム情報科学研究院 志堂寺和則 教授にお話を伺い
「交通事故を起こしやすい3つのタイプ」を追跡しました。

コメントは 。


1)自己中心的

自己中心的な人は周りに対する配慮が足りません。
交通とはお互いが安全であるように振舞う
他のドライバーや歩行者とのコミュニケーションでもあります。
しかし 自己中心性の高い人は「譲る」という考えが希薄です。
一般的なドライバーが「これは無理だろう」と思う局面でも
「俺が!」「私は!」と無理矢理な行動をとることが想像されます。
それに応対しなければドライバーからすれば「まさか」の行為。
当然 その局面の危険度はUPします。
また 自己中心性の強い人は攻撃的である可能性が高いようです。
これは車の運転だとスピードを出す 車間を詰めることと関連しています。
これももちろん周囲の危険度を上昇させます。


2)自己認知が不的確な人

自己認知が的確でない人は
自分は運転の技術や安全性を過信している
あるいは誤解しているという可能性があります
運転の「上手」「下手」と事故を「起こす」「起こさない」は
あまり関係ないとされてます。
むしろ自分が上手いと誤解をしている人のほうが事故が多いのです。

最近は高齢者に自分の運転能力を誤解している人が多いと言われています。
高齢になれば若い頃のようには運転できない部分が多々出てくるもの。
その変化に本人が気づいていないのです。

こうした自己認識の不的確さや錯誤については
できれば同乗者がなんらかのかたちで伝える。
その人を交通事故から救うことになるかもしれません


3)感情の起伏が激しい人

感情の起伏が激しい人は頭に血がのぼると荒い運転になります。
反対に落ち込んだ時には周囲に周囲を払えなくなってしまう。
「自分は感情の変化が激しいと」思う人は
気持ちが高ぶっている時や滅入っている時
気分が落ち着くまで運転することを避けたほうがいいかもしれません。


以上 今回は3つの交通事故を起こしやすいタイプを紹介しました。
もちろん これ以外にも 特に事故に気をつけたいタイプはあります。
「そそっかしい」「調子に乗りやすい」「見栄っ張り」など。

いちど自分の性格・気質を見つめた上で
車の運転ではどんなことに どういう時に気をつけるべきか?
考えてみると交通事故の予防になるでしょう。

      
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