毎年夏になると高温の車内で子供が死亡するというニュースがあります。
残念ながらこの夏も例外ではなく すでに何件も耳にします。
そこで今週は「真夏の車内に注意」をお送りしました。

【7月24日】

奈良市の駐車場で停車中の車内から意識不明で発見された9歳の男の子が
熱中症とみられる症状で亡くなりました。
病院に診察に行く母親が一緒に来るよう促しましたが
男の子は車内で食事をするので残ると言ったため
母親は車の窓を閉め エンジンを切り
「後から鍵を閉めて来るように」と鍵を渡しました。
男の子は1時間半後 車に戻った母親にぐったりした姿で発見されました。

JAFが去年8月にキーがロックされてしまったことを理由に出動して
子供やペットが車内に取り残された件数は約310件。
こうしたことが悲劇に繋がりかねないので十分に気をつけましょう。

JAFは『真夏の車内温度 – 短時間で熱中症の危険!』というテストをしています。
2012年8月22日と23日。埼玉県 戸田市 彩湖・道満グリーンパーク駐車場。
天候 晴れ。気温35度。正午から4時間。
駐車条件が異なるミニバンを5台用意して炎天下の室内温度を比較しました。

1) 何も対策をしていない黒のミニバン
2) 何も対策をしていない白のミニバン
3) サンシェード装着
4) 3cm窓が開いている
5) エアコンが作動している

直前までは5台とも全て室内温度は25度にしておきました。
1台目の黒く対策なしの車が車内最高温度が57℃
2台目の白く対策をしていない車が 52℃
3台目、サンシェードを装着していた車が50℃
4台目、3cmほど窓を開けた状態の車が45℃
5台目のエンジンをかけたままエアコンを作動させていた車は27℃

テスト車5台のうち「エアコン作動」以外は全て高温になります。
最高温度が「窓空き3cm」が45度。
「サンシェード装着」「対策なしの白・黒」で50度以上。

JAFのかつてのアンケート調査によると
3割近い人が「子供を残したまま車を離れたことがある」と回答しているそうです。
上記の室内温度を見れば一目瞭然。
危険極まりないので絶対にやめましょう。

そして 熱中症については熱中症指数という数値があります。
車内のエアコンを停めてからの時間と熱中症指数の相関関係です。
子供が乗った状態で何も対策もせずにエンジンを切ると熱中症指数はどう推移するか?

この熱中症指数は5段階。
「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」。
エアコンが25℃の状態でエンジンを切ってスタートさせているのですが
エアコン停止後 約5分で注意から警戒レベルのところまで達しています。
10分後には もう厳重警戒の位置に入っていて
開始15分後には危険のレベルまで推移しています。
本当に短時間であっても一瞬で熱中症指数がドンドン上がって
危険な数値までなってしまうということが言えます。

真夏の車内と子供の安全に十分気をつけて下さい。


激しい雨が 狭い範囲で短時間に降る現象 いわゆる「ゲリラ豪雨」。
運転中に見舞われたら、充分な注意が必要です。
事前の備えもあったほうがいいでしょう。
今週は「ゲリラ豪雨の備えと対策」を追跡しました。  



実は「ゲリラ豪雨」という言葉は正式な気象用語ではありません。
気象庁は「集中豪雨」「局地的な大雨」といった表現をします。
しかし、1970年代からマスコミで使われはじめ、
2008年の「新語・流行語大賞」でトップ10入りしました。

正式な気象用語ではないので「ゲリラ豪雨」に明確な基準はありません。
ただ、過去を振り返ると1時間の降水量が50mm以上を記録した雨は

1976年 - 1986年 年平均160回
1987年 - 1997年 年平均177回
1998年 - 2008年 年平均239回

2009年の時点で10年前より35% 20年前より50%増えています。
ということは いわゆる「ゲリラ豪雨」も増えていると推測できます。
こうしたデータを見ると短時間の集中豪雨は増加していると言っていいでしょう。

独自の基準で「ゲリラ豪雨」の予測を発表しているウェザーニュースは
今年7月から9月の全国のゲリラ豪雨回数は
過去3年の平均と比べて3割増
7,043回発生するという予想を発表しています。

こうした雨の状況は車の走行にトラブルを起こします。
今月の北九州の豪雨に際してはJAFへの救援依頼が増えたといいます。
JAF東京支部 事業課交通環境係 金子力生さんによると
今年7月5日の0時から7月7日の15時45分までの統計は対昨年度比較1.5倍。
管水路を走行した事が原因と思われる事例とかもあったということで
やはり救援依頼の増加は雨の影響があることも推測されます。

金子さんが まず話していたのは
大雨や集中豪雨の時にはなるべく運転を控えること。 
視界が悪くて危険です。
川の氾濫や都市部は排水が降水量に追いつかずに
道路に水たまりができてクルマが水没したり、冠水する恐れがあります。

運転している途中にゲリラ豪雨が降ってた時は
水位が上がり身動きが取れなくなる可能性もあります。
安全を確保するために走行を続けたとしても
周囲より低いガード下やアンダーパスなど水が溜まりやすいところは避けましょう。
充分に速度を落として運転をするようにしてください。
また 冠水している道もなるべく避けましょう。

JAFは冠水した道路をクルマで走行した実験を行っています。

道 路 ▷ 長さ30m

水 深 ▷ 30cmと60cmと2通り

クルマ ▷ セダンタイプとSUVタイプの2種類

速 度 ▷ それぞれ時速10キロと時速30キロ


セダンタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに
何とか走り抜ける事は出来たそうです。
ただ 水深60cmになると かなり水に埋もれてしまう部分が多く
速度10キロでは走り切れずにエンジンが停止。
空気を吸う部分から水を吸ってしまいエンジン内に水が入った事が原因です。

SUVタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに走り抜ける事は出来ました。
しかし 水深60cmになると時速10キロでは何とか走り抜ける事は出来たのですが
時速30キロでは勢いがあって水しぶきがたくさん上がったため
水たまりに入ってすぐにエンジンが停止。
以上のテスト結果が出ています。

こうした冠水した道路を走る危険の1つが
水の影響でパワーウィンドウが作動しない ドアを開けられない、
最終的に車の中に閉じ込められてしまうこと。

そうした緊急事態のために
シートベルトカッターとガラスを割るハンマーが1つになったレスキュー道具を
車に備えておくことをおすすめします。


夏休み。
子供たちの行動パターンは学校がある時と異なります。
いつもと違う生活環境で交通事故に遭わないよう注意が必要だということ。

今週は公益財団法人 交通事故総合分析センター
研究部 主任研究員の山口朗さんにお話を伺い
特に小学校の児童向けの「夏休みの交通安全」を追跡しました。





学校がある期間と学校が休みの期間。
子供を交通事故から守るため 2つの大きな違いを認識しましょう。

1)登下校がない
2)日中いつでも街を歩き 自転車に乗れる

この2つは表と裏のような関係です。
ここ数年の小学1年生と小学2年生の月別死傷者数のグラフを見ると
いずれの年も12ヶ月のうち8月の人数が最小。
これは「登下校時」がないからだと推測されます。
反対に浮かび上がるのが ふだんなら学校にいる時間に街中にいる可能性。
そこに気をつけなければいけません。

例えば 登下校時ではない子供は
「交差点」ではない道路の直線区間「単路」に気をつけるべき。

歩行中の交通事故を全年齢で見てみると
半分が交差点で起こっていて交差点以外の「単路」では約1/3。
ところが 登下校中以外の小学1年生の歩行中の交通事故を見ると
半数が単路で起こっています。これは小学生全体にある程度 当てはまるでしょう。

では 単路で子供が遭遇する交通事故には どんな事故類型が高いのか。
横断歩道ではなく 横断歩道がない場所を横断をしている時の事故が多いのです。
単路の事故の60%が横断歩道が無い場所を横断中に発生しています。
お父さん お母さんは 子供に対して
横断歩道を渡るよう言い聞かせるようにしましょう。

交通事故に遭った歩行者にも 法令違反があったケースも少なくありません。
子供の場合は 法令違反別死傷者数のデータから1つの危険が浮かび上がります。
「飛び出し」です。

歩行者側の法令違反の割合を見ると 成人では7割位が法令違反が無い。
ところが小学生になると5割以上が 何らかの法令違反があります。
信号無視や斜め横断など 横断に関する違反は 小学生の成人も割合は同じようなもの。
違いが1番出ているのが「飛出し」。
大人の場合は 飛出しは1割 〜 2割ですが小学生の場合は3割。
低学年になるほど その割合は高くなります。

2015年度のデータでは 男の子の35%が飛出しが原因の事故。
男の子と女の子で比較をすると 男の子の方が割合が高いことが認められます。
女の子は27%。これは学年に寄らず1〜6年生まで同じ傾向があります。

これらのことから考えられるのは
子供は色んなところに注意を同時に向ける事が出来ないということ
さらに飛び出してきやすい性質を持っているということ。
ハンドルを握るなら 前方に小さな子供が歩いていたら
横断報道の有無に関わらず 横断してくる可能性を考えましょう。
いつでもアクセルペダルからブレーキペダルに足を移せるようにしておく。
止まれる準備をしておいたほうが良いと山口さんはおっしゃっていました。

お父さん お母さんは。
夏休み前に子供に交通安全についての話をしましょう。
ドライバーの皆さんは運転にはより一層、気を引き締めましょう。
2017年の夏休みの交通事故を1つでも減るように!
      


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