あさって4月6日 日曜日から「令和7年 春の全国交通安全運動」が始まります。
期間は4月15日 火曜日までの10日間。

そこで、今週と来週は警察庁交通局 交通企画課 安全係の成田洋基さんをお迎えして
今回の「春の全国交通安全運動」について、お伝えします。





まずは去年の全国の交通事故状況について。
令和6年の交通事故による死者数は2,663人でした。
前年と比べると15人少なく、割合にすると0.6%の減少です。
重傷者数は27,285人で前年より351人少なく割合で1.3%減。

一方で65歳以上の死者数は1,513人。
これは前年より47人増えて、割合にして3.2%の上昇です。

また、状態別で見ると「自動車乗車中」が増加。
「歩行中」「二輪乗車中」「自転車乗用中」は減少しました。





もう少し細かくデータを見ると、気になることが2つ。
まずは自動車乗車中の死亡事故を見ると高齢運転者の死亡事故が増えていること。
75歳以上の高齢運転者による死亡事故が410件。
4年連続の増加で免許保有者10万人当たりの死亡事故件数を見ると75歳未満のほぼ2倍。
さらに車両単独事故の構成率は75歳未満の約2.5倍です。

そして2点目。
自動車 乗車中の運転手の状態にフォーカスすると大きな問題が2つ浮かび上がります。
1つは、相変わらずなくならない飲酒運転。もう1つが、携帯電話の使用です。

飲酒が引き金となった死亡事故は、前年比なんと25%増。
数にして28件増えた140件という結果でした。

携帯電話等使用による死亡・重傷事故件数は136件。
過去10年で最も多くなっており、増加傾向にあります。
ちなみに携帯電話等使用による死亡・重傷事故は、20代・30代が全体のほぼ半数。





歩行中に交通事故で亡くなった方は、65歳未満で増えていて、時間では夜間が増加、
事故類型別では65歳以上より路上で寝そべるなどの「路上横臥」の割合が高く、
夜間の事故の75%に飲酒がありました。

65歳以上では、65歳未満と比べて「横断中」、
特に「横断歩道以外横断中」の割合が高くなっています。
その7割が夜間の事故ですが、反射材の着用率はわずかに4.1%でした。





次に自転車乗車中に亡くなった方。
自転車乗用中の交通事故で亡くなった方は324人。
そのうちの8割に何らかの法令違反があり、ほぼ半数が頭部に致命傷を負いました。
自転車利用者のヘルメット着用率は、前年比で3.5ポイント上がっているものの、いまだ17%。
8割以上がヘルメットをかぶらずに自転車を利用しているというのが実情です。





こうした状況がある中で、
令和7年の「春の全国交通安全運動」の重点ポイントは3つ。
  

(1) こどもを始めとする歩行者が安全に通行できる道路交通環境の確保と正しい横断方法の実践

(2) 歩行者優先意識の徹底と、ながら運転等の根絶やシートベルト・チャイルドシートの適切な使用の促進

(3) 自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルールの遵守の徹底



次回は重点ポイントの解説です。


日本列島には、桜が咲き始めて、やってきた春。
クルマで遠出する機会も増えるでしょうが、高速道路では車線変更に注意して下さい。
時速100km前後で走っているので、万が一の時には大きな事故に繋がりかねません。





今回のコメントは、日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員菰田潔さんでした。

高速道路での車線変更は、約3秒前に合図を出すと道路交通法で定められています。
合図は一般的にはウインカーで、安全確認・ウィンカー・3秒後に車線変更開始が正しい順序。

菰田さんの印象だと3秒前にウインカーを出して車線変更するドライバーは稀。
ウインカーを出すのは、他の車に自分の行動予定を示すためです。
車線変更をしたいと思ったらすぐにウインカーを出すこと。
そして、3秒間に他車の動向を見て、安全ならゆっくり車線変更します。





高速道路での車線変更は後続車にも注意しましょう。
バックミラーで1回だけでなく複数回見て、続いて来る車の速さを予測します。
特に走行車線から追い越し車線に出る時には気をつけて下さい。
追い越し車線に出て走行車線の車を追い抜いた後で、
前方に車がいなければ走行車線に戻ることも大切。
戻るタイミングはドアミラーではなく
ルームミラーに追い抜いた車のフロント部分が見えた時です。

また、ハンドルの切り方も重要。
ハンドルには指1本分ぐらいの遊びがありますが
その遊びの範囲内で車線変更したい方向にハンドルをやや押す程度でいいそう。

100km/hで走るクルマは1秒間に28m、5秒間で140m進みます。
最近は一部で120キロの制限速度の区間もできました。
120km/hだと、1秒間に33.3m、5秒間に約167m進みます。

この走行距離を考えると、ほんの少しの車の角度の変化で、大きく横に移動してしまいます。
だから、より丁寧な運転が必要になるのです。





車線変更してはいけない、あるいは避けるべき状況もあります。
まず、道路交通法で、トンネル内での追い越しは、原則として禁止されています。

また、雨や雪が降っている時には、路面が滑りやすく、視界も悪くなりがち。
車線変更の時に急ハンドルを切るとスリップしてしまう可能性も大。
そうなると接触事故や追突事故となって、
どのクルマもかなりのスピードを出しているわけですから大惨事が生じかねません。
無茶は決してしないようにしましょう。
      
もうすぐ4月。暖かい春を迎えて、みんな活動的になり、
外を歩く時、自転車に乗る時、これまでより自由度が増します。
そんな時に気をつけたいのが横断歩道。
利用する側もクルマを運転する側も交通事故に遭わないように起こさないようにしましょう。





警察庁によると、令和元年からの5年間で
自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は4,435件。
3,079件が歩行者が横断中の事故で、
そのうちの35%、1,086件が横断歩道で起こっています。

まずは、どんな立場にあっても、
横断歩道の交通ルールを知っておく必要があります。

歩行者は横断歩道が近くにあれば、横断歩道を渡らなければいけません。
その際には縞模様になっているラインの上を歩くこと。
横断歩道の近くを横断する行為は禁止されていて、細い規定ですが、
歩行者の安全を考えての規定なのできちんと守るようにしましょう。

横断歩道がなくても、信号がある交差点があるなら、ここを渡ります。
近くにはともに無く、さらに歩道橋や地下道もない場合には、
道路を横断していいと規定されていますが、斜め横断や、
例えば車が渋滞していてその前後・隙間から抜けていくような横断は禁止されています。





歩行者は、道路を渡りたい時、近くに横断歩道があるなら、
必ず横断歩道を横断しなければいけませんが、
ここで、歩行者用信号には青から赤に変わる前には点滅時間がありますが、
あれはどんなメッセージか知っていますか?

横断歩道を渡ろうとしたら歩行者用信号が点滅し始めて、
急いで横断したけれど横断途中で赤に変わったという経験があるでしょう。
実は、それは当然のこと。

道路交通法では「歩行者用信号機が青信号で点滅している時は、
道路の横断を始めてはいけません。 横断中の場合は、速やかに横断を終えるか、
引き返しましょう」と規定されていて、引き返す前提があるので点滅時間は短め。
多くの歩行者用信号は、半分を渡れる程度の設定になっていて、
点滅してから横断しても渡りきらないうちに赤になってしまうというわけです。
覚えておいて下さい。





次に自転車を利用している方。
自転車に乗って横断歩道を歩行者と一緒に横断しているでしょうか。
これは、交通ルール上NGというわけではありませんが、注意が必要です。

道路交通法では、歩行者の通行を妨げないことが求められていて、
歩行者の邪魔になってしまう場合は、降りて押して渡らなければいけません。
もう一つ、「自転車横断帯」がある場合には、そこを通行する必要があります。

自転車は歩行者に準じたものではなく、法律的には軽車両という扱い。
横断歩道の利用も車両であることを意識して下さい。





最後にクルマを運転している時の注意点。
まず、信号のない横断歩道に渡ろうとしている人がいたら必ず停止線で一時停止すること
ただ、横断歩道がないところを歩行者が渡ろうとしている場合は、
クルマで走行している道路のほうが幅が広い、優先道路なら泊まらなくても大丈夫です。
ただ、もちろんその場合も、渡ろうとしている人がいることを意識して通過しましょう。

それから、横断歩道や自転車横断帯の30m手前からは追い越しや追い抜きは禁止。
横断歩道や交差点の前後5mの中は駐停車禁止。
交通事故の要因を作らないため、こうしたルールはきちんと守って下さい。





歩行者、自転車利用者、クルマのドライバー、
それぞれの立場で横断歩道での事故が起きないように気をつけましょう。
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