ここしばらく問題になっている、
信号機がない横断歩道での自動車の一時停止状況について、
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が、2024年の調査データを発表しました。
今週はその結果を紹介しつつ、優れた地域に、
私たちの交通社会をさらによくするヒントを探りましょう。
JAF東京支部 認定セーフティアドバイザー 杉本 実さんによると
2024年の一時停止率は全国平均で53.0%でした。
JAFがこの調査を始めたきっかけは、
2016年の「交通マナーに関するアンケート調査」。
『信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い』
という設問にYesと答えた人が、ほぼ9割いたので、実態を把握するために
同年から調査をスタートさせて毎年1度行っています。
最初は7.6%。
そこから 8.5% → 8.6% → 17.1% → 21.3% → 30.6% → 39.8% → 45.1% →53%という推移。
今年は初めて50%を超え、前年比で7.9ポイントの増加。
評価できる部分もありますが、依然として半数の車が止まらない状況です。
都道府県別に見ると、一時停止率が高いところは・・・
⑤位 福岡県 74.3%
④位 熊本県 74.8%
③位 岐阜県 75.2%
②位 石川県 80.9%
①位 長野県 87.0%
反対に低いところは・・・
⑤位 和歌山県 36.2%
④位 茨城県 35.2%
③位 福井県 34.7%
②位 北海道 34.1%
①位 富山県 31.6%
率が低い地域は、それだけ交通事故の危険も多いということ。
特に子どもや高齢者の方は気をつけなければいけません。
道路交通法上では信号機のない横断歩道については3つの規定があります。
1)横断しようとしている或は横断中の歩行者がいる時は一時停止をして歩行者を優先する
2)歩行者等の有無を確認できなければ、横断歩道等の停止位置で止まるような速度で進行する
3)横断歩道等およびその手前30mは追い越しや追い抜きが禁止
信号機のない横断歩道の手前には、横断歩道ありの標識や路面標示が設置されています。
これらが見えたら歩行者等の有無をしっかりと確認しましょう。
この件について、毎年最も優秀なのが、長野県。
一般財団法人 長野県交通安全教育支援センター 宮澤まゆみさんによると
学校やいろんな団体による子どもへの交通安全教育の結果
横断歩道では意思表示をして、止まってくれたらお礼を表現することが習慣づいている。
その子たちが大きくなってドライバーになった時に活かされているのではないでしょうか。
そのくらいしか思い当たることがありませんとのこと。
知らず知らずのうちに習慣化していたということでしょうか。
他の都道府県や地域でも、こうした自然のサイクルをつくり出すことで、
一時停止率は高まるのかもしれません。ただ、一朝一夕でそうなることはありません。
まずは全ドライバーが必ず一時停止をすること。それが状況改善の早道です。
宮澤さんは「横断歩道は歩行者にとって最も安全な場所でなければいけません。
止まることが当たり前の私達にとっては止まらないことに不思議な感覚があります。
そうは言っても長野県も横断歩道での交通事故がないわけではないので、
私達は”歩行者と運転者目と目で交わす思いやり”をスローガンに活動しています。
全てにおいて思いやりの心で道路を利用してもらえれば
必然的に守るルールは守り、ドライバーの行動も変わってくるのではないか、
変わってほしいなと願っています」と全国のドライバーにメッセージを送って下さいました。
信号機のない横断歩道での一時停止率を上げることは、
自分の家族や親戚、友人・知人を守ることに繋がります。
交通ルールを頭に、思いやりを胸に、ハンドルを握るようにしましょう。