冬至が近づいて日に日に日没時間が早まってきました。
特にこの時期はヘッドライト(前照灯)の使い方によっては事故の危険が生じる時期。
あなたは正しく、有効にヘッドライトを使っていますか?





モータージャーナリスト 鈴木ケンイチさんが挙げる
ヘッドライトを点灯するタイミングは例えば日没30分前。
ドライバーからするとまだ明るい時間だから必要ないと思うかもしれませんが
ヘッドライトはドライバーが視界を確保するためだけのものではありません。
LEDを使用した昼間点灯用の「デイタイムランニングライト」があるように
自分の運転するクルマの存在を周りに知らしめ交通事故を防ぐ役割もあります。

交通事故が多い時間が日没時。
令和元年から5年の警察庁による統計でも午後5時から7時は
他の時間帯よりも抜きん出て死亡事故が多いというデータがあります。
交通事故を未然に防ぐために早めのヘッドライトの点灯が推奨されています。

2020年以降の新車には夕方になると
ヘッドライトが点灯するオートライト機能があります。      
ただ、点灯時間はメーカーによって違うので
点くのが遅いと感じたら自ら点灯するようにしましょう。
また、日中でも天候が悪い時には積極的に利用してください。





次にロービームとハイビーム。
2017年3月の道路交通法改正でヘッドライトは原則ハイビームで
対向車がきた時や先行車がある時はロービームに切り替えると明文化されました。

しかし、この「ハイビーム基本」については
“クルマが少なく、街灯がない頃の名残り。現代には適さない”という批判もあります。

ただ、適切に切り替えれば、ルールを守りつつ、安全確保にも繋がります。
対向車がいない、周りに車がない、そんな時はハイビーム。
また、郊外や交通用が少ない夜の高速道路を走る時もハイビーム。
他の車がいたらさっと切り替える。周囲の状況に合わせて上手に使い分けます。





ヘッドライトは、点灯する時間を考え、
切り替えを丁寧に行ったとしても充分ではありません。
「光軸」があって“角度”をあらかじめチェックしておく必要があります。

平成18年以降に製造された車からは、
上を向いたロービームの照射方向を下に調整するための装置
レベライザーの装備が義務化されています。
オートとマニュアルのものがありますが、
装備されているクルマであれば調整してから乗るようにしましょう。





また、レベライザーがなくても光軸のチェックは簡単!と
JAFのサイトではその方法を伝えています。

正しいロービームの光軸は『カットオフライン』と呼ばれる
光が当たっているところと当たっていないところの境界線が
ヘッドライトの地上からの高よりも下に来るように調節されているのが正しい状態。
通常は1%程度、下向きになるように調整されていて10mごとに10cm下がります。

そこで、クルマのヘッドライトをロービームで点けて、
体の一部にカットオフラインを映して、指で押さえます。
そのまま車から5m、だいたい車1台分くらい遠ざかります。
その時にカットオフラインが、指で押さえた位置より5cm下なら問題ありません。
カットオフラインが指で押さえた位置よりも上に来てしまったら
整備工場やディーラーに相談して下さい。

ヘッドライトはドライバーの「目」をアシストしてくれると同時に
クルマの存在を知らしめる大切なパーツ。
適切な使用で事故を未然に防ぎましょう。
最近の交通社会は些細なことでトラブルが起こりがち。
ドライバーはハンドルを握っている時、急いだり慌てたりせず、
優しい気持ちとマナーを胸にクルマを走らせることが必要です。
それが事故回避にもつながります。





すれ違うことができない狭い道で対向車と出くわした場合、どんな対処をとりますか?
日本自動車ジャーナリスト協会 会長で日本自動車連盟 交通安全委員会 委員もつとめる
菰田潔 さんによると、狭い道と言っても山中の狭い道や住宅街で狭い道と環境はさまざま。

いずれにしても相手の運転技量は分かりません。
手前にすれ違いできそうなスペースがあったら停車することが得策です。
どうしても早く行きたいからとどんどん行ってしまうと、
結果的にうまくすれ違えずに時間がかかってしまうこともあります。

停車する時にはできるだけ左側に寄ること。
左に寄っているつもりでいながら実はそうでもないドライバーも少なくありません。
ふだんから自車の左側のタイヤがどこを走っているかを意識して走るといいでしょう。

また、すれ違う時に停車して待っている自分のクルマが斜めになっていると
それだけ横幅を取ってしまい相手のクルマが通りにくくなるので
なるべく平行に停車できるような運転技量を身につける努力をしましょう。





次に狭い坂道でのすれ違い。
マニュアル車の時代は、いちど停まると再び坂を上る時に
後続車と衝突事故が発生する可能性があったので上り坂優先がマナーでした。

しかし、菰田さんによると、今のクルマはエンジンにパワーがあり
ブレーキペダルを離してからも上り坂なら2秒間はブレーキが効き
アクセルを踏むまでブレーキが効いてるヒルスタートアシスト搭載のクルマが増えました。
さらに大多数がオートマチック車で坂道発進も楽になって
譲りやすい方が譲ればいいという状況です。


ただし、ここで気をつけたいのが、対峙した相手のドライバーの考え。
特に自分が下り坂側で上り坂側が年配のドライバーだった時、
かつての習慣から上り坂が優先という行動を取る人もいるでしょう。
クルマの動きや顔の表情などから相手の考えを察知するようにしましょう。





そして、譲り合いの精神から発生してしまう不幸な事故もあります。
聴いたことはあるでしょうか、いわゆる「サンキュー事故」。

右折しようと思っていたクルマが直進車に道を譲られたあと
譲ってくれた直進車の脇から走ってきた二輪車や
別の車線がある場合には そこを走ってきたクルマに衝突してしまうケースです。

多くの日本人は律儀で人がいいですから
クルマを運転していて右折しようとしている時に
対向車が停まってくれたり、「お先にどうぞ」の合図をしてくれると、
「ありがとう」と思いつつ、急いで右折しよう考えてしまいが地。
感謝の気持ちを持つことは大切ですが、何時も急がず、慌てずの気持ちを忘れないで下さい。

譲り合いの気持ちを胸に、上手な譲り合いテクニックを身につけて、
事故やトラブルを起こさないようにしましょう。
2024年は長いこと夏のような暑さが続いていましたが、
11月も半ばともなり、さすがに冬の訪れを感じます。
雪が降る地域の方はもう冬用のタイヤに履き替えたことでしょう。

あまり、あるいはほとんど積雪がない地域にお住まいの方は
このタイミングで「オールシーズンタイヤってどうだろう?」と思っているかもしれません。





自動車評論家 国沢光宏さんによると
オールシーズンタイヤはアメリカでは長い歴史があります。
その特性は夏に使えて、冬もほどほどの雪であれば走れること。

ただ、とても滑りやすい日本の雪質。
だから日本では夏は夏用タイヤ、冬はスタッドレスタイヤがセオリーになっています。

そこへ最近になって、オールシーズンタイヤの性能がかなり向上してきて
一年を通しても使えるということで人気になっているようです。





これからの季節に気をつけなければいけないのが、
降った雪が押し固まった圧雪道路や雨などが凍った氷結道路ですが、
オールシーズンタイヤの特徴を見てみると

● 凍った道路(アイスバーン)は苦手

○ 圧雪や降りたての雪は得意

● 雪が降らない地域では意味がない

となると、冬の道路での安全運転を考えた場合、
オールシーズンタイヤに全幅の信頼を置けるエリアというのは、
あまり広範囲には及ばなそうです。

国沢さんの見解も”降りたての雪や長靴で歩けるような圧雪は得意なので
あまり雪が降らないところで長距離走行しないのであれば
オールシーズンタイヤでもいいと思います”
”ただし、舗装された道路の乾いた路面でのブレーキ性能は夏タイヤより劣るので
雪が降らないところでは意味がないと思います”とのことでした。
日本では、なかなか使い勝手が難しいのかもしれません。

タイヤメーカーに話を聞いても、アイスバーンを走るならスタッドレスタイヤ。
ただ、シーズン中に雪が降らないかもしれないという地域だったり
大した量が降らない地域、新雪・圧雪ではオールシーズンタイヤで全く問題無し。
関東地方のように、年間に何日か雪が降るかなというところは
オールシーズンタイヤがいいんじゃないでしょうか?とのことだったそうです。





積雪の多い地域にお住まいで
「オールシーズンタイヤがいいんじゃないか?」と思っている方や、
積雪が全くない地域にお住まいで
「オールシーズンタイヤがいいんじゃないか?」と思っている方は、
考え直した方がいいのかもしれません。

ちなみに、これからの季節、走行しようと思っている道路に
「冬タイヤ規制」や「全車両チェーン装着規制」が出ることがあります。
そうした時にオールシーズンタイヤは「スノーフレーク」という
スタッドレスタイヤのマークがタイヤについているので
高速道路の冬タイヤ規制、チェーン規制はクリアできます。
ただし、「全車両チェーン装着規制」の場合は、
どんなタイヤでもチェーンを装着しなければいけないので気をつけましょう。





オールシーズンタイヤを使用するか否かは、
以上のような情報を元に安全性を鑑みて決めて下さい。
高速道路での交通事故は減少傾向にありますが
その中にあって減っていないのが「二次事故」と呼ばれるケース。
高速道路を走行するクルマは時速100km近くで大惨事になりかねません。
今回は高速道路での二次被害に遭わないための術をお伝えします。





高速道路における二次事故とは、
事故や故障で路肩や本線上などに車が止まった後に
後続車に追突された事故や、事故や故障などの事情で
車外に出た人が後続車にはねられる事故のことです。

モータリングライター  藤田竜太さんによると
高速道路での死亡事故のうち4件に1件は故障や事故で駐停車中の車や人に
後続車が衝突するというケースです。

例えば、今年5月に首都高速道路湾岸線で24歳の男女が乗ったワゴン車のタイヤが
パンクして追い越し車線上に止まってしまい、その故障者を助けようとした別のドライバーが
後続のトラックに追突されて亡くなる痛ましい事故がありました。
また、一昨年の10月の3連休に東名高速「横浜青葉IC」付近で単独事故を起こし、
車外に出たところ後続車にはねられて女性が死亡。
男性が重傷を負う事故がありました。





高速道路の死亡事故のうち4分の1が、
故障や事故で停まっているクルマや人に衝突した事故!
しかも、助けようとした人まで命を落としているというのは、
“もしも”の時の行動には、充分過ぎるほど気をつけなければいけません。

衝突事故や故障という事態に見舞われて
自分のクルマを速やかに停車する必要に迫られた場合
まずは高速道路上で停車しないこと。
ハザードランプをつけて路肩を徐行してでも、車が動く限りは、
サービスエリアやパーキングエリアなど安全な場所まで移動しましょう。

もしくは約200m間隔で設置されている非常駐車帯まで逃げ込んで下さい。
それ以外の場所では、たとえ路肩であっても車を止めるのは非常に危険です。
一部重複しますが、次のような対応をとるようにしましょう。

1)ハザードランプを点滅させて、できるだけ路肩に寄せて停車
  停まる際はくれぐれも急ブレーキを踏まないようにする


2)発煙筒停止表示機材を後方に設置。
  乗っていた人は全員すぐにガードレールの外など安全な場所に避難します。
ガードレールの外側など安全な場所に避難したら、車に戻ったりしない


3)発生した故障・事故状況を通報する。
  110番道路緊急ダイヤル「#9910」に電話して状況を伝えて指示に従います。
  携帯電話が使えなければ1kmごとに設置してある非常電話を使いましょう。






でも、状況によってはクルマが道路上で動かなくなってしまうこともあり得ます。
そうした時の対応は高速道路における緊急時の3原則に従います。

① 路上に立たない

② 車内に残らない

③ 安全な場所に避難する



このときできれば、ハザードランプを点滅させて、発煙筒を焚いて
後続車に停車している車両があることを知らせること。
いずれも後続車に十分注意して行動することが肝心です。


二次事故に遭わないためには、そもそも最初の事故を起こさないこと。
高速道路で本線に降り立っていたり、停車車両の車内にとどまっていたところを
後続車に衝突されて亡くなった事故のうち、その25.4%は車の故障が原因でした。

高速道路で起きる故障で一番多いのは、タイヤのパンクとバースト。
次が発電不良など電気系のトラブル。そしてオーバーヒート、燃料切れです。
また、エンジンオイルの不足、ライトの球切れなども要注意。
このうち大半は高速道路に乗る前に5分ほど点検すれば防げるトラブルです。

あとは時間に余裕を持って行動すること。車間距離を十分取って運転すること。
寝不足などがないように体調を整えて運転すること。日没の30分前や雨になったら
ヘッドライトをつけること。だらしない姿勢ではなく、正しいドライビングポジションで
目線を遠くにするようにして運転することも大事です。
また、100km/hならそれで一定の速度で走り続けるのも安全で疲れない運転のコツ。
クルーズドコントロール、特にアダプティブクルーズドコントロール機能を積極的に
活用するとスムーズで安全、疲労感が少なく、目的地にも早く着けるのでおすすめです。

高速道路での故障や衝突事故、
衝突事故と遭遇の際にはくれぐれも慎重に行動して下さい。

今日11月1日から改正された道路交通法が施行されます。
これによって、このところ危険な運転がたびたび指摘されてきた
自転車の利用に今までなかった罰則が設けられます。
今日から施行された改正道路交通法での自転車の罰則強化は以下。

① 運転中のながらスマホ

  自転車に乗りながらスマートフォンで通話する、
  画面を注視するといった行為には、
  6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金。
  交通の危険を生じせると1年以下の懲役または30万円以下の罰金。


② 酒気帯び運転および幇助

  これまでも自転車の酒気帯び運転はこれまでも道路交通法違反。
  ただ、厳密な罰則はありませんでした。
  それが今回、具体的な罰則が設けられたのです。

  <違反者>
  3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

  <自転車の提供者>
  3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

  <酒類の提供者>
  2年以下の懲役又は30万円以下の罰金





自転車の安全利用 促進委員会 メンバーで
自転車ジャーナリスト遠藤まさ子 さんによると
酒気帯びやスマホながら運転の自転車利用者が
特に歩行者に危害を与えてしまうケースが散見されるから。

自転車のスマホを操作しながらの運転と、それに絡む受傷・死亡事故は
今年の1月から6月上半期に全国で18件も起きているそうで、これは去年の2倍以上。
また、電動キックボードを利用して道路交通法違反で捕まった人たちにも
「お酒を飲んでキックボードに乗ってはいけないと知らなかった」という例が多いとか。





今年7月に東京都内で飲酒運転の取締りが一斉におこなわれた際、
酒気帯び運転の疑いで検挙されたのは12人。
そのうち5人が電動キックボードの利用者でした。
今回の法改正はこうした状況を変えることが期待されています。

「運転中のながらスマホ」は片手にスマートフォンを持っているだけでは
交通違反にはなりませんが、全ての操作・通話に関しては禁じられます。
イヤホンを使っての通話も、スピーカーフォンもNG。
「画像を注視した場合」というのもダメなので
「運転をして走りながら、次の音楽に変えてみよう」ということも
地図アプリを操作するのもNGです。





自転車事故は毎年、減ってはいるのですが、
自動車や二輪車の事故がさらに減少している分、
全交通事故に占める自転車事故の割合は上昇しています。
2022年は23.%。

クルマやオートバイほどスピードが出ないとはいえ、
重症事故、死亡事故も起きています。
きちんと交通ルールを守って利用して下さい。
そして、必ず自転車保険に加入してから乗るようにしましょう。