先月、気象庁は5月から7月の3か月予報を発表しました。
それによると、全国的に気温は平年より高くなる見込み。
5月や6月でも30度以上の真夏日になる可能性があるとして、
熱中症への早めの対策を呼びかけています。





滋賀医科大学 社会医学講座 一杉正仁教授によると
この時期に一般的な外気温が一般的な22 - 23度という環境だったとしても、
車内の温度は、それよりもかなり高くなり、40度を超えることさえあります。

そして、車内温度がエアコンの表示で25度だったとしても、強い日差しは車内に温度差を生み、
同時に乗車する人に日光が当たっていると皮膚表面の温度と体温も上昇します。
その状態が続くと体の中の温度も上がり、熱中症になる恐れがあるのです。





車内で熱中症にならないための対策は、まずは頻繁に水分を摂取すること。
エアコンの使用で車内の湿度は低くなり、
乗車している人は体内の水分を取られ脱水症状になりやすくなります。
そして、長い時間の乗車は室内温度や体温の上昇を気付きにくくするので気をつけましょう。
特に高齢になると温度の感覚は鈍くなり、体温の調整能力も低下するので注意すること。





自動車の運転は非常に複雑な認知・判断と操作能力が必要ですが
熱中症になると集中力がなくなり、認知能力と判断能力が低下するので
そうなれば交通事故を起こしやすくなることは想像に難くないでしょう。

さらに、熱中症は重度になると痙攣を起こしたり、
意識を失い、最悪な場合は命を落としてしまうことさえあります。
その年の暑さによって数に大きな違いがありますが熱中症で亡くなった人は
2020年には1,528人、2021年には755人、2022年には1,477人もいます。
その意味でも気をつけなければいけません。





現在、自動車事故の約1割は運転者の体調変化が原因と言われています。
一番怖いのは自分に熱中症の初期の症状が出ている、
それによって疲労感が出ていることや集中力が低下していることに気づかないこと。
少しでもいつもと調子が違うと感じた時はクルマを停めて休憩して下さい。
きちんと熱中症対策をして、おかしいなと思ったら無理をせず、安全運転に努めましょう
もうすぐ梅雨のシーズン。
雨の日のクルマの運転は、視界が悪かったり、スリップしたり、通常より危険度が高まります。
安全な運転を心がけるのはもちろんですが愛車のメンテナンスが事故を遠ざけます。

今回は 自動車ジャーナリストの高根 英幸さんにお話を伺い
今のうちにやっておきたい「クルマの梅雨対策」についてお伝えしました。





まずはワイパーについて。
ワイパーの拭き取り力が落ちていることに気づきながら
それを放置して運転している方もいるかもしれませんが、これはNG。

ワイパーの交換は一般にワイパーゴムが半年から1年に1回。
ワイパー本体は1~2年に1回が目安です。
屋外に停めている車は、直射日光でワイパーの劣化が進みやすいので
もっと交換サイクルを早めた方がいいかもしれません。

晴れている時にワイパーの拭き取り具合をチェックして
線のように拭きムラが出たらワイパーブレードゴムの交換時期です。

ワイパーブレードは丸ごと取り替えると高額なので
カー用品店やホームセンターで売っている先端のゴムだけを交換するのがお得です。
自分で交換するのも難しくないので挑戦してみてください。

その場合、断面形状にはいろいろ種類があり、ゴムの幅や長さもまちまち。
自分の車に適合するのはどのタイプか? 確認してから購入するようにしましょう。

交換する時は、ブレードをまず車から外して
ブレード先端のゴムを取り替えた方が作業がしやすいことを覚えて置いて下さい。





そして、フロントの視界を確保するために大切なのは、
もう1つ、フロントガラスのコーティング。

最近のゲリラ豪雨に遭遇した時は、ワイパーが間に合わないようなことも起こります。
そんな時のためにもフロントガラスのコーティングがお薦め。

最近は自分でかけられるウインドコーティング剤もたくさんあって
作業性と耐久性が改善され、使いやすく、長持ちするタイプもあります。

また、ウインドウォッシャー液でコーティング効果を出すタイプや
カーシャンプーで撥水効果を与える商品もありますが、共に効果はそれなり。
しっかりとコーティングをかけた方が長持ちすると高根さんはおっしゃっていました。

次にケアするのはドアミラー。
撥水のように水を弾くのではなく、なじませる「親水タイプ」もあります。
これをサイドウィンドウの外側にスプレーすると雨の日は非常に見やすくなります。





そして、タイヤ。
まず、最近は燃費を良くするために転がり抵抗の少ないエコタイヤが一般的で
タイヤの転がり抵抗を減らす工夫と雨の日のウエット性能は相反して両立は難しいですが
日本自動車タイヤ協会がタイヤ性能を等級化したラベルがあって
転がり抵抗のグレードとウエット性能のグレードの2つを表示しています。

転がり抵抗は大文字アルファベットで、ウェット性能は小文字アルファベットで表記されて
A/aほど評価が高く、転がり抵抗についてはさらにAの数が多いほど高評価。
これを購入するタイヤを選ぶ時の参考にしましょう。

そして、タイヤは走ってるうちに当然磨耗し、
残り溝が半分を切ったあたりからウェット性能は低下するとされています。

新品のタイヤの溝は平均でおよそ7.6mm。
通常の夏用タイヤは残り溝の深さが1.6㎜まで摩耗すると使用限界を示すスリップサインが出ます。
そうなると法律上、使用禁止なので即交換する必要がありますが、
スリップサインが出ていなくても残っている溝の状態でブレーキの効き方に差が出ます。
溝が新品の半分、4mmぐらいになった時には交換しましょう

今から愛車の準備をしっかりして、
梅雨の時期を安全運転で乗り切って下さい。



最近、都市部でよく見かけるタイヤが太く、電気モーターとペダルがついていて、
電気モーターだけでも、ペダルを漕ぐ人力だけでも走行できる、
前輪・後輪の二輪がある乗り物、通称「モペッド」。
かなりのスピードで走るのを見かけ「危険だな」と感じたことがある方は多いでしょう
今回は若者を中心に利用が広まる、この「モペッド」についてお伝えしました。





「モペッド」は「モーター」と「ペダル」をミックスした造語ですが
NPO法人 自転車活用推進研究会  理事の疋田 智さんによると
源流は1993年に世界初の電動アシスト自転車として発売された ヤマハの「PAS」。

電動アシスト自転車は人間が足でペダルを踏む力に応じて
モーターが動力をアシストしてくれます。
人間の足の力を感知する「トルクセンサー」がついていて
マイコンがモーターの力を制御してアシストする仕組みです。
これは道路交通法上では自転車扱い。

マイコン&トルクセンサーは非常にハイテクでコストがかかります。
そのため日本から中国に渡った電動アシスト自転車は、国土は広く、
危険はないという認識でトルクセンサーとマイコンが外されました。
中国のメーカーがこれはいいと大量に生産するようになり
日本に入ってきたのが10年ぐらい前のこと。

インターネットで5万円〜20万円ほどで買えることもあり、
モペッドは東京ではここ2、3年、若者を中心に乗る人が増えています。
利用者が増えれば必然的に事故も多くなります。

疋田 さんによると自転車をモベッドが猛スピードで抜く際に衝突していったり
「モベッドは自転車だから歩道もいいんだ」という理屈で歩道を暴走し
ベビーカーにぶつかったり、お年寄りを突き倒したりという事故が起きていて
警察が問題視し始めてるというのが今の状況です。





自転車は基本的に歩道の通行は禁止ですが
モペッドは道路交通法上でどんな車両区分になるかというと
原動機付自転車(原付スクーター)と同じ範疇になります。

出力が600Wあるものは原付一種で白ナンバープレート
1000Wまでは原付2種でピンクのナンバープレートをつけねばならず
ストップランプ / ウィンカー / バックミラーなどを装備し
その上で自賠責に入った上で乗るべきもので、もちろん歩道を走ってはいけません。

今回お話をお聞きした疋田 智さんは
現状、モペッドに乗っている方達へ声を大にして注意を促していました。





事故を起こしてしまった場合、責任の比率はほぼ100%モペッド側にあります。
死亡事故を起こすと今の利用者は自賠責や任意保険に入っていないと想像され
自転車保険に入っていても自転車ではないので保険金は下りません。
膨大な損害賠償金の全額を自費で支払うことになります。

そうなると「自己破産」を考えるかもしれませんが
破産法は故意や重大な過失がある場合には免責がなく
ほぼ全てのモペッドの事故はこれに該当することになります。
賠償金は一生ついて回り、収入の4分の1は全額支払うまで差し押さえられ、金利もつきます。
それはおそらく一生かかっても払い切れない金額・・・

モペッドに乗っている方は法令に則って正しく、安全に利用しましょう。
身近にモペッドを利用する人がいる方は注意を促して下さい。

日々、全国各地で、交通事故を減らすため活動する人たちがいます。
今回は東京都と福岡県からのメッセージをお伝えしました。

東京・小金井警察署の管内で子どもたちの交通安全への意識を高めるため
活躍しているのが交通安全大使の「コガネイダー」と「ブンジー」。

警視庁 小金井警察署 交通課長 田中将太さんによると
地域に密着し、管内の小金井市、国分寺市、それぞれの地域の特色を生かした
ヒーロー的な存在として誕生しました。





コガネイダーはコガネムシをモチーフにしていて
小金井市の花、桜をベルトのバックルに刻んで輝く緑と金色に身を包んでいます。
ブンジーは国分寺市のイメージキャラクター「ぶんじほたるホッチ」がモチーフ。
国分寺市の花である綺麗なさつき色に身をまとっていて可愛らしいです。

そんなコガネイダーとブンジーは警察署や市役所主催のイベントや地元の祭り、
催し物などのイベント会場で交通事故防止のPR活動や交通事故防止啓発品などを配布しています。

また、屋内のホールでのイベントで警視庁音楽隊や中学生の吹奏楽の演奏に合わせて
歌や踊りを披露したこともあります。その他、交通安全教室やイベントでは子供たちと一緒に
道路の渡り方を練習するなど、都民に寄り添った活動をしています。

最近では、4月7日に国分寺市立第四小学校で新1年生入学式終了後に合わせ
横断歩道を安全に渡る歩行訓練を実施しました。

今年3月に「YouTube 警視庁公式チャンネル」で小金井警察署交通事故撲滅ソング
「ノー・トラフィック・アクシデント」が配信されました。ぜひ、聞いてみてください。





そして、もうお1人ご紹介したのは福岡県 大野城市で
半年前から「通学路戦士パトーラ」に扮して子どもの交通安全の為に活動する村岡麗菜さん。

通学路戦士パトーラは女性を連想させる赤・ピンク・白を基調とした色を纏ったヒーロー。
ふだんは通学路の見守り活動や、警察にも協力してもらって、子供から大人までが楽しく学べる
交通安全教室の開催などを取り組んでいますが、村岡さんは警察官ではなく一般の方。





通学路戦士パトーラの活動を始めたきっかけは12年前。
京都で起きた通学路での交通事故で、妊娠7ヶ月だった村岡さんはいとこを亡くしたのです。

現在、村岡さんも子どもを持つ母親。
交通事故は日々繰り返し起こり、子供たちが犠牲になる日常を変えたいと思い
交通安全に関心がない人も交通安全に参加しようと思うきっかけを作りたくて
通学路戦士パトーラに扮することにしました。

『通学路の見守り活動では子供たちが「何してるの?何のヒーロー?」と
関心を持って近寄ってきてくれるのが本当に嬉しいです』と村岡さん。

「私のように大切な人を失って、手遅れになってしまう前に、
外に出る以上、運転する以上は、事故に遭ってしまったり、
事故を起こしてしまったりする可能性があるということを意識していただけるよう
みんなで私と一緒にヒーローになりましょうという事を伝えていきたいです」と
話してくださいました。





この社会で多くの人は「無関係」かもしれない交通事故。
でも中には家族・親族・友人を失い、心に傷を負ってしまった人がいることを忘れてはいけません。

そして、自動車を運転する一人一人が村岡さんのような気持ちで
この自動車社会に関わっていけば交通事故はもっと減るはず。
力を合わせて頑張りましょう!




GW後半の5月3日。    
そろそろ各地でUターンラッシュが始まります。
この時期に避けられないのが高速道路の渋滞ですが
高速の渋滞に巻き込まれてしまった時は特に慎重に走行しましょう。

というのは高速道路の渋滞発生時は死傷事故率が高いから。
NEXCO西日本の資料によると渋滞してない時に比べ40倍以上という数字もあります。





今回、話を伺ったモータリング・ライター 藤田竜太さんによると
考えられる理由はノロノロ運転や低速でストップ & ゴーを繰り返す渋滞中の運転は
次第に集中力が削がれ、前の車の減速に気がつくのが遅れて追突したり
停止しているつもりだったのに、いつの間にかブレーキを踏む力が弱くなっていて
車が動き出してしまったり、車の間をすり抜けてくるバイクに気がつかず
車線を変更し始めたりといったことが挙げられます。





藤田さんによると、まずは渋滞の最後尾に並ぶ時にハザードランプを点滅。
後続してくる車に渋滞が始まることを知らせるようにします。

そして、渋滞の中でもきちんと車間距離をキープすること。
割り込みされないように車間距離をできるだけ詰めるクルマもありますが、それは追突事故の元。
前走車のタイヤが下まで見えるぐらいの車間距離を保って下さい。

また、車線変更時には確実にウインカーを出す。
日没の30分前にはヘッドライトをつけること。
疲労や眠気、便意を感じる前に早め早めに休憩を取ること。
燃料の補給も十分余裕を持って行なうこと。
以上が大事なポイントです。





渋滞中に自分だけ早く進みたいと車線変更を繰り返すクルマや
走行車線の左側の路肩を走っていくクルマを見かけることがあります。
多くのドライバーからすると腹立たしい運転ですが
実はこまめに車線を変更しても目的地への到着時間は変わりません。

それどころか、ふだん一番流れの良い追い越し車線は
渋滞時になると車が集中して最も平均速度が遅い車線になることがわかっています。
渋滞発生中に限れば走行車線が最も流れが速いというデータもあります。
右往左往せずに車線をキープして走り続けたほうが効率的です。

そして、渋滞時に路肩を走る行為は通行区分違反、
路肩走行禁止で違反点数2点普通車で反則金9000円が科せられます。
ドライブレコーダーが普及している昨今、
他の車が渋滞に並んでいるのに路肩を走ったりすると
動画を証拠として警察に届ける人も出てくるかもしれません。
路肩は故障車両の一時停止や警察車両や救急車などの緊急車両が出動するためのスペース。
一般の車両が走行することは厳禁です。





気が緩んで事故の危険も多い高速道路の渋滞は出来るだけ運転を避けたいもの。
NEXCOのWEBサイトには各高速道路の渋滞予想が細かく紹介されているので
混雑が予想されている時間は極力避けるようにしましょう。
1時間ずらすだけでも結果はかなり違ってきます。

また、渋滞発生箇所は、下り坂から上り坂にさしかかるサグ部が6割と言われています。
サグ部や上り坂、トンネルなどで速度が低下しないように意識することが大切。

また、流れが悪くなりそうな箇所でも車間距離を40m以上は確保し、
前の車が不用意にブレーキを踏んでも自分はなるべくブレーキを踏まず
流れのよどみを距離で吸収して後続に渋滞を伝播させないようにする
「渋滞吸収走行」をドライバーの1人1人が心がけ
みんなで渋滞を発生させないようにするのが一番なのです。





最後に家族や友人・知人としてクルマに同乗した場合も、
「運転しているのは自分じゃない」と好き勝手に振る舞わず、
みんなのためハンドルを握るドライバーを気遣ってあげて下さい。
ゴールデンウィーク中のクルマでのお出かけ、くれぐれもご安全に!