先月23日、自動車評論家のまるも亜希子さんと
カーライフ・エッセイスト吉田由美さんによる
交通安全応援ユニット「OKISHU(オキシュー)プロジェクト」が、
「今日からできる交通安全〜お肌も美しく〜」を開催しました。 
今週はまるも亜希子さんにお話を伺い、
お2人のプロジェクトについてお伝えしました。





OKISHUプロジェクトの結成は3年前の9月27日「女性ドライバーの日」。
女性ドライバー応援プロジェクトの一環で始まったといいます。

結成当時はペダルの踏み間違いによる事故が目立った時期。
高齢者運転の危険が指摘される中、実は若い世代と
ハイヒールやサンダルを履いて運転する女性にも多く、
事故に繋がりやすいとを知って欲しということで
車内に運転用の靴を置き、運転前の履き換えを呼びかける活動として
OKISHUプロジェクトをスタートしました。名称は置きシューズの略になります。





交通安全には、少し堅苦しさがある。
そこで、楽しく学び、考え方とやり方を変えるだけで、
すぐに交通安全に繋がるアクションはたくさんあることを伝えているそうです。

先月のイベントでは「交通安全トリビア」のトーク。
タイヤの空気圧チェックや車庫入れを実践レクチャー。
さらにタイトルは「今日からできる交通安全〜お肌も美しく〜」なので
料理研究家の方が“美しい肌”をテーマに食についての話などがありました。

交通安全トリビアとして話したのは、
例えば実は運転事に一番大切なのは感情のコントロールだということ。
これは国際交通安全学会の報告書にもあること
イライラを運転にぶつけると事故に繋がる行動が出てしまうので
アンガーマネージメントしましょうという話など。





これらは男女ドライバーともに通じる話なので覚えておいて下さい。
その上で「OKISHUプロジェクト」は女性向けの交通安全啓蒙ユニット。
女性が運転する時の注意点についてお聞きしたところ

女性は男性に比べて一般に小柄なので前がしっかり見えてない状態や
ペダルがきちんと踏めるような位置に足がない状態で
運転している人っていうのが多い傾向にあるため
適切な位置に座ることが大切という指摘でした。

シートの高さ / シートの前後の位置 / 背もたれの角度
ヘッドレストの高さ / ハンドルの高さと遠さ
さらにシートベルトの位置 / ミラーの位置といったところを
次にクルマに乗る時にチェックしてみて下さい。




今回のテーマは「一般道路での追い越し」に注意。
追い越す場合にはスピードを上げることになり、
追い越したクルマの前に出るので接触の危険が伴います。
その注意点をお伝えしました。





本論に入る前に交通ルール上の「追い越し」の定義をお伝えしておきます。
「追い越し」は、車線を変更して前のクルマを追い越して、そのクルマの前に出ること。
これには明確なルールが存在します。

そのルールの前に追い越しに関してはどんな事故が起きているのか?
日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員 菰田 潔さんによると
上り坂で加速が思うようにできず追い越しできずに対向車が来てしまうケースや
追い越しを前の車に並んだところで、その前の車が右折するケースがあります。
また、右側から追い越している時に前方右の道路から左折する車が出てきて
そのドライバーは自分が入ろうとしている道路を走ってくるクルマがあるとは思っていないので
衝突してしまうことがあります。





そして、教習所で運転免許証を取得するための講習で習った
道路標識がなくても追い抜き禁止とされているところがあります。
どんなところか覚えていますか?

● 道路の曲がり角やカーブ
● 勾配が急な下り坂
● 車両通行帯がないトンネル
● 交差点とその手前30m以内(優先道路を通行している場合を除く)
● 踏切とその30m手前以内
● 横断歩道とその手前から30m以内の場所
● 自転車横断帯とその手前から30m以内の場所  

覚えておいて下さい





そして、多くのドライバーが把握していないかもしれない追い越しのルール。
黄色のセンターラインが追い越し禁止と思ってる人が多いですが、
これはセンターラインをはみ出しての追い越しが禁止。
逆に言うとはみ出さなければ追い越しは問題ありません。
その上で、黄色いセンターラインに加えて追い越し禁止の標識があれば
車線の中でも追い越しはできません。

それから白線と黄色線が2本が平行に引いてある場合
自分側に黄色線がある場合は、はみ出して追い越しは不可で
自分側が白線で対向車線が黄色の場合ははみ出して追い越しも可能です。





追い越しする時の注意点は先行するそのクルマとの車間距離を少し空けること。
そうすると、その先の道路はカーブが続くのか、直線があるのか、対向車が来ないか
視界が広くなって確認することができます。

一般道での追い越しについて、理解は深まったでしょうか。
追い越しをする時はルールに則って無理をしないようにしましょう。

交差点の一形態「ラウンドアバウト」。
日本語名称を「環状交差点」が、どんな交差点かご存知ですか? 

2014年に道路交通法で明確に定められて10年。
この番組では3回目のテーマですが
全国で導入が進む中、初めて遭遇した時に戸惑わないよう
毎回お話を伺っている日本のラウンドアバウト研究と普及の第一人者
名古屋大学 大学院 環境学 研究科 中村 英樹 教授にお話を伺い
その利用の仕方と注意点をお伝えしました。





ラウンドアバウトの交差点には信号がありません。
上写真のように中央にクルマが入れない円形区域があり
周囲をドーナッツ状の道路が1周ぐるりと通っています。
その環状道路に複数の道路が接続していて
接続箇所の手前に横断歩道が設置されているところもあります。





ラウンドアバウトは環状道路に接続する道路から
左折して交差点内に入ることになります。
その際、優先順位は環状道路内を走行中のクルマにあります。

クルマの流れを見計らって交差点内に入った後は
自分が進路を変えたい方面の道路を経由して環状道路を出ます。
その時にも横断歩道があるケースが多いので充分に気をつけましょう。





日本では、導入から10年。
2015年5月には全国に「45」あったあラウンドアバウトの数は
今年の3月末の時点では「155」に増えています。
導入してみての評価は、中村教授曰く上々。

出会い頭の事故が劇的に減る。
信号の場合に比べるとドライバーの待ち時間が少ない。
信号機を設置しなくていいのでコスト削減になる。
そんなことが理由です。

また、一般の交差点と違って猛スピードで侵入することは出来ず
確実にいちど速度を落とすことになります。
さらに環状道路では全車同じ向きに走っているので
接触事故が起きても大事故になりにくいというメリットもあります。





さらに自然災害が多い日本。
停電によって信号機が表示されなくなると交通は混乱し、大事故も起こりかねません。
そんな時にもラウンドアバウトは有用だと中村教授はおっしゃっていました。

特に都市部に住む方は、未体験の方も多いかもしれないラウンドアバウト。
今日の情報を頭の片隅にメモしておいて下さい。

1日を時間にわけてみると最も交通事故が多く
危険なのが「薄暮時間帯」と言われる日没前後の1時間。
日没が早くなっている今の時期は特に注意! 
今回は運転を科学する株式会社 ディ・クリエイト 
代表取締役 上西一美さんにお話を伺い
秋から冬にかけての薄暮時間帯の交通安全を注意喚起しました。





薄暮時間に事故が多いのは、
1つに運転手の目が暗さに目が慣れていないため。
そこに夏至が過ぎて日没時間が早くなり
「薄暮時間帯」と仕事や学校からの帰宅時間と重なると
交通量が増えるため、多くの事故が起こってしまいます。
そして、これは毎年繰り返されていること。





警察庁の平成30年から令和4年までの事故件数を集計した資料
「薄暮時間帯における死亡事故に係る分析」によると
時間帯別死亡事故件数は、多い順に17時台・18時台・19時台とまさに薄暮時間。
そして、月別の死亡事故件数を並べると11月、12月、10月の順。
つまり、これから3ヶ月が最も多い時期です。

そして、事故当事者別の件数を見てみると、
薄暮時間帯を除く昼間は車両単独が31%、自動車と歩行者が20%、自動車と自動車も20%
これが、薄暮時間帯になると自動車と歩行者の事故が20%から48%に上昇して
反対に車両単独と自動車と自動車は減ります。
薄暮時間帯はドライバーも歩行者も気をつけなければいけません。





実は薄暮時間帯に突出している自動車と歩行者の事故は、
特徴が顕著なので対策が立てやすいと上西一美さんは言います。

1つに高齢者が死亡する事故が多いこと。
次の特徴は車からすると右側、 歩行者から左側の車と接触するケースが多いこと。
高齢者には目の前のリスクは考えても、その次の続くリスクに考えが及ばない特性があります。
道路を横断しようという時手前で近づく右からくる車には注意を払いますが
その先の左からくる車にはあまり関心を寄せていないようです。

薄暮時間帯における「自動車対歩行者」事故の85%が歩行者は道路を横断中。
そして、道路を横断中に死亡事故に遭った歩行者の7割が横断歩道以外の道路を横断中で
さらにその横断歩道以外の道路を横断した歩行者の7割に法令違反が認められています。

ドライバーからすると「えっ!? なんでここで人が!!」という
取り返しのつかない事態が起きかねないわけです。





そんな悲劇を呼び込まないためにドライバーがすべきことは、まず早めのライト点灯。
交通量が少ないところはハイビーム走行が基本なのでハイビームで走る。
対向車が来た時にはロービームに変えますが、通り過ぎたらハイビームに戻しましょう。
もう1つは万が一、歩行者と接触事故を起こした時のために速度は極力落とすこと。

一方で歩行者や自転車利用者としては交通ルールをきちんと守り
自分から危険を招かないようにしましょう。
家族や近隣に子どもや高齢者がいる方は、このことを伝えて下さい。

今の時期の薄暮時間帯。
ドライバーも歩行者や自転車利用者も充分に気をつけましょう!